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B.E.夏号 第2章「巻頭特集 水谷緑先生インタビュー」

※本記事の文量は約1万字です。

漫画月刊誌の「月刊!スピリッツ」で連載されていた『こころのナース夜野さん』の作者である水谷緑先生にインタビューを実施。執筆当時の心境や、今後の制作テーマについてもお伺いさせていただきました。

取材字に弊社にて撮影

水谷緑(みずたに みどり)
神奈川県生まれ。2014年、『あたふた研修医やってます。』(KADOKAWA)でデビュー。著書に『精神科ナースになったわけ』(イースト・プレス)、『カモと犬、生きてる』(新紀元社)、『コミュ障は治らなくても大丈夫』(共著・吉田尚記/KADOKAWA)、『大切な人が死ぬとき〜私の後悔を緩和ケアナースに相談してみた』(竹書房)、『男との付き合い方が分からない』(大和書房)、『まんが やってみたくなるオープンダイアローグ』(解説・斎藤環/医学書院)等。好きなものは、モチモチした食べ物。

ー改めまして本日は取材のお時間をいただきまして、ありがとうございます。早速自分語りを始めてしまい恐縮なのですが、なぜ水谷緑先生に取材を申し込んだのかの背景からご説明させてください。わたしは、これまで広告代理店に勤めていました。世間的にも激務だと言われていますが、おそらくそれ以上の激務で「うつ状態」という診断をされ2年間ほど休職した時期がありました。そのときに出会ったのが水谷先生の『こころのナース夜野さん』(小学館)でした。当事者として読んでいたので、どのエピソードにも親近感を覚えましたし、特に第5巻が大好きです。コミックス巻末に取材された方(全てではなく一部)のお名前がありますが、とても多くの方に取材されていたと思います。取材した全ての情報を本篇に盛り込まれているわけではないと思うのですが、読者はその情報に触れることでまた、作品の奥深くに入っていくことができるのではないかとわたしは思っています。ですので、本篇を読むときの副読本みたいな形になればいいなと思っております。

(水谷) 既に連載が終わった作品なので、お声掛けいただいてとてもありがたいなと思っています。逆に、なぜ声をかけてくださったのかなと思っていたんです。

ーわたし自身が『こころのナース夜野さん』を読んで随分助けられたなと思ったことが一番大きいですね。とても苦しんでいる時期だったので、全てがわたしに向けて描かれているのではと思って読んでいました。

(水谷) わたしも広告制作会社に在籍していたことがあるので、広告業界が激務であることはとても共感できます。

ー早速お伺いさせてください。この作品を描かれたきっかけが、第1巻の巻末に描かれています。この点を詳しく伺わせてください。


(水谷) きっかけですが、「夜野さん」を描く前に『精神科ナースになったわけ』(イースト・プレス)という作品を描いて、それを読んでくださった編集者さんが「うちで描きませんか?」とお声がけくださったのをきっかけに、この作品が始まりました。そもそも、精神科に興味を持ったのは、巻末に描いたことと重複しますが、父親を癌で亡くしたあと、仕事を猛烈に頑張ってしまう時期がありました。その一方、会社のトイレで一人泣いてしまったりする自分もいて。しかし、携わっていた案件が一段落ついたときになんだろう、フッと気が抜けたみたいな感じに襲われて「なんかどうでもいいや」みたいな気分になってしまいました。そのときは、普段ならなんとも思わないはずなんですが、電車に乗った時に突然割り込んでぶつかってきた人に対して、肘鉄してやり返してしまったことがありました。そのときは、ちょっとおかしいというか、ネジが外れてる感じだったんだと思います。どうでもいいや、みたいなテンション。自分ちょっとやばくないかな、みたいに考えてたと思います。ちょうどそのとき、ウェブ媒体に掲載するのに看護師の漫画を描いてたんです。当時は、『ドクター倫太郎』(日本テレビ)という精神科医のドラマもやっていて、精神科ってどんな感じなのかな?なんて気軽な感じで編集者さんと雑談してて、「じゃあちょっと取材してみましょうか」みたいな軽い感じで言ってくれたので取材を始めてみたんです。そうしたら、すごく面白くて。自分のこともあったので、なにがおかしいのかとか、おかしい場合はどうなったら治るかとか、取材を通して色々と学んでいく感じでした。

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春号の購入、誠にありがとうございました。最新夏号では「こころの問題」をテーマに、『こころのナース夜野さん(小学館)』『リエゾンーこどものこ…

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