双影双書(週刊少年サンデー)
今回ご紹介する作品は週刊少年サンデーで連載中の「双影双書(作・舟本絵理歌)」です。
主要登場人物
サンデーの新連載について他にもいくつか紹介して来ましたが、この作品の大きな特徴とともにその魅力を追い続けて行きたいと思います。
ゴールの転換
少しネタバレを含みます。
主人公の宵(しょう)は皇太子の冠星(かんせい)の影武者として皇宮に連れてこられました。「中華、影武者」ときくとヤングジャンプで現在も連載中のキングダムを思い浮かべる方もいると思いますが、本作は戦記モノではなく宮廷内での権力闘争に特化している作品です(現時点では)。
Twitterなどで本作の感想を調べているとその展開の早さに驚きを感じている人たちが多かったようですが、皇太子の冠星は何者かの矢に射られてしまい命を落とします。しかし宮廷の地下研究室にあった"九転還丹もどき"を飲ませたら不死のキョンシーとして蘇ることになってしまったという展開がありました。
宵の目的は当初影武者として冠星の命を守るということでしたが、冠星が暗殺されキョンシーになってしまうことで大きく転換を迫られてしまいます。
陰陽の立場の変化
本作の特徴の一つに「立場の転換」が多くあることが挙げられる。まだ10話に満たない時点でここまで展開していくのはスピードを意識してのことだろうか。(しかし早々に重要カードをきってしまうことで逆に立場が悪くならないといいのだが、、)
宵(しょう)の元々の立場は廓(くるわ)で生まれ遊女よりも下の身分として最下層に置かれる存在だった。それが宮廷に影武者として身請けされることで明るい世界への一歩を踏み出すことができた。とはいえ、本来の名を明かさずに影武者として生きる身ではあるので、完全に"陽"の立場ではあるとは言い切れないかもしれない。
一方の冠星(かんせい)は、皇太子として生きてきたが彼の存在を快く思わない勢力によって暗殺され、地下研究室で見つけた怪しい丸薬を口にしてしまう。結果は、驚くことにまさかのキョンシー化だ。
以下の図にも示したが、宵(しょう)の"陰から陽への変化"、冠星(かんせい)の"陽から陰への変化"が本作の大きな印象ではないだろうか?それは、外部の人間が宵と冠星を見た場合、影武者として皇太子の役割を演じる宵は"陽の役割"を、太陽の光を浴びることができず夜の闇に生きるしかない冠星は"陰の役割"を果たしていると言えるだろう。
この漫画が単に下賤の者が高貴な者の影武者として生きる物語ではないことが分かって頂けたと思います。本作はまだ単行本1巻も発売前の段階なので、これからどう物語が展開していくのか一緒に眺めていきましょう。