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#愛読書で自己紹介

こんにちはと初めまして。おすぬです。

山根あきら様の  #愛読書で自己紹介 という企画に参加します。

どの本にするか悩んで、どう書いたらいいのかも悩みました。
愛読書というと何回も読んで新たな発見がある本のことでしょうか
今回は愛読書といいますか記憶に残る読書体験となった本をご紹介します。

実は少し前に本や漫画をかなり処分してしまったので地元の図書館に駆け込んだのですが、見事にすべて閉架書庫に保管されてました。。。
逆に言えば名作と確定しているものばかりです!たぶん。

ご興味ありましたら皆様の「今後読みたい本リスト」に加えてもらえたらうれしいです。


1 『鳴りひびく鐘の時代に』 マリア・グリーぺ

私が『指輪物語』『モモ』といった海外の児童文学orファンタジーを読み漁っていたころに出会った本。小学校高学年〜中学生でした。
(当時ハリーポッターはまだ存在してません笑)

マリア・グリーぺはスウェーデンの児童文学作家です。

時代は中世。教会の鐘の音が人々の生活を支配するように鳴りひびいていた時代。
主人公は十三歳で王位についたアルヴィド。アルヴィドは人嫌いで自分には王の資質がないと悩んでいる。
そこに王の身代わりに「むち打ち刑」を受けることになるヘルゲという活発な少年がやってくる。
アルヴィドとヘルゲ。陰キャと陽キャ

この本、挿絵がとにかく暗い。というか神秘的にすら見えます(作者の夫君によるものだそう)。陰鬱な城内。ゴブラン織りのユニコーンに象徴される死生観。

本書にはいろいろな儀式が出てきます。謁見式、むち打ち式、夏至祭、死の舞踏…。
二人の少年たちは役割にがんじがらめな世界に一石を投じる。
アルヴィドは「王」すらその役割に過ぎないと悟ります。

少年の葛藤と成長が時代背景と相まった深い物語。
歴史をちらっとでも学んだ大人こそ深く理解できる本ではないかと思います。

子ども繋がりの友人(ママ友)の本棚にこの本を見つけたとき「この人といい友だちになれそう!」と一方的に思った覚えが。細々とだけど彼女との交流は続いてます。


2 『侍』 遠藤周作

ひとり暮らしを満喫してたころ、クールでロックな飲み友だち(女性)から勧められた本。

江戸時代のはじめ、東北のある藩で藩命を帯びて遣欧使節団として海を渡った「」の物語。実在した支倉(はせくら)常長と宣教師ルイス・ソテロがモデルとされています。
この話、それぞれの団体で、それぞれのレイヤー(階層)で、野心的な思惑や駆け引きが渦巻いている。侍は巻き込まれるように使節団に加わることになります。

行く先々で、なぜ皆が「痩せこけたあの男」をあがめるのか侍には理解できない。そんなときインディオの集落にいる日本人の元修道士に出会う。彼はイエスは金ピカの教会にいるのではなく泥まみれでみじめな場所にこそいると説く。

侍は流されるまま洗礼を受けるが、帰国した彼を待っていたのはキリシタン禁止令と厳しいお沙汰。敬虔な信者となっていた下人・与蔵は侍にこう言います。

「ここからは……あの方がお供なされます」

「ここからは……あの方が、お仕えなされます」

『侍』遠藤周作 より

このシーン、震えました。。。
前段の、雪の降る描写としらどり(白い鳥)のたとえも美しく悲しい。

遠藤周作は野心的な宣教師ベラスコのことも最後まで丁寧に描いています。
ロックな彼女、こんなシリアスな本を読んでたのよね。いまどうしているかしら。


3 ふたりの証拠 アゴタ・クリストフ

悪童日記』シリーズの二作目。シリーズ全体を推したいのですが、あえて1冊なら個人的にはこの本です。『悪童日記』はYoutubeで取り上げてる方も多いので若い方もご存じかもしれません。

『悪童日記』は第二次大戦末期、東欧と思われる国境沿いの田舎町を舞台に、祖母に預けられた双子がつづった日記風の物語。(映画化もされてるそうです。)
非道な世界を生き抜くために双子がやってることが色々衝撃的。何が善で何が悪かわからなくなる。最後はひとりが地雷原の国境を超えて国外へ。

二作目の『ふたりの証拠』は国内に残ったリュカの青年期のお話
一人称ではなく普通の小説スタイルですが、相変わらず心情が語られることはない。共産党体制下。リュカは血のつながらない子どもマティアスを育てる。マティアスは体に障がいがある。とても賢いが劣等感と寂しさからリュカの愛情がうまく伝わらない。

この子が本当にいじらしくて悲しい。マティアスの存在が二作目を忘れがたくしています。ついでに言うと、本を書きたいと思いながら何もしないアル中の書店主のエピソードが自分のことのようで身につまされる

続く三作目のタイトルは『第三の嘘』。いままでのお話はなんだったの??
最後はバッドエンドを予感させます。暗い。。。
ちなみに双子の名前はリュカクラウス。アルファベットのアナグラムになっています。

『悪童日記』の原題は”Le Grand Cahier”(日本語で「大きな帳面ノート)」)。「書くこと」こそ三部作のテーマなのではと考えさせられます。もっと言えば「虚構を書く」こと。

作者のアゴタ・クリストフは1935年ハンガリー生まれ。2011年に亡くなっています。ハンガリー動乱(1956年)の際、二十歳そこそこで赤子を連れスイスに亡命。工場で働きながらフランス語を学び、やがてフランス語で戯曲や小説を発表するようになります。
自伝的短編集『文盲』では、四歳で本を読んでいた自分が亡命後は文盲になってしまった、フランス語で作品を発表するのは文盲者としての挑戦だと書かれています。

政治体制に振り回される理不尽さ。親兄弟や母国語と切り離された不安孤独
書くことによる精神の救済みたいなものを、三部作の登場人物たちに反映させていたのではないでしょうか。

悪童日記シリーズは日本では1990年代初めに出版されました。私は初版リアルタイム読者です。wikiによると糸井重里さんがゲーム制作の際にこのお話に影響を受けたそうですね。(全然知らなかった!)


あとがき
山根様、素敵な企画をありがとうございました。
参加された皆様の記事もこれから拝見します!

私個人はアニメやドラマに時間が取られて本を読む機会がぐっと減ってしまったのですが、本の世界に没入する楽しさは失いたくないな〜と思います。

長文お読みくださりありがとうございました。

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