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偶然を知る読書

人類はなぜ誕生できたのか

人類の誕生は偶然の重なり

今回、ご紹介する本は、
眞淳平(2021)『人類が生まれるための12の偶然』である。

私たちは、あたりまえに日々を過ごしているが、
人類が地球で生きられているのは、
いくつもの偶然が重なった結果であることを、
著者はこの本を通して教えてくれる。

私たちはふだん、
自分たちの住むこの世界を
「当たり前のもの」として暮らしています。

その中で、笑ったり怒ったり、悲しんだり喜んだり、あるいは希望を持ったりあきらめたりしながら、日々を過ごしています。

そんな忙しい毎日の中で、
私たちがどのようにしてこの世界に誕生するにいたったのか、などと考える人は、ほとんどいないかもしれません。

眞淳平(2021)『人類が生まれるための12の偶然』岩波ジュニア新書 223項


日常の生活で気が付かない″問い″に惹かれた。

余談になるが、
私が本を購入する決め手として
1)「はじめに」を読む
2)「目次」を見る
3)「あとがき」を読む

これで面白かったら購入している。
本書は『3)のあとがき』が素晴らしくて購入した。

次に目次をたどってみると、
人類の誕生が偶然であることには、
●宇宙の誕生
●太陽系
●月
●水
●気候
といったキーワードが挙げられている。
そのなかで、学びになった内容を3つ挙げる。

①宇宙の大きさ

宇宙は膨張を続けて、
地球から遠い所に、天の川銀河や、
アンドロメダ銀河といった星が2,000億個以上存在していることはイメージとして持っていた。

ただ、著者が語る宇宙には、
「グレートウォール」と呼ばれる
もっと大きな構造があると述べている。

グレートウォールは、
銀河があたかもひとつの壁のように連なっている場所で、いくつもの超銀河団がこの一部になっています。
こうしたグレートウォールが、宇宙全体で少なくとも20以上あると見られています。

私たちの宇宙とは「別の宇宙」が存在するかもしれないというのです。
私たちの宇宙がポンと生まれたのであれば、ほかにもポンと生まれた宇宙があった可能性があるかもしれません。

ビレンケン教授らは、これを「マルチバース」「多宇宙」と呼び、
じつは宇宙は私たちの宇宙だけではなく、
ほかにも数限りなく存在している。

ひょっとしたら、その宇宙には別の私たちがいて、そこで私たちが想像できる以上の無限のパターンの人生が待っているかもしれない。

眞淳平(2021)『人類が生まれるための12の偶然』岩波ジュニア新書 23-31項

これを読んでいると、
自分の悩みや、人類同士のもめごとが、
あまりにも小さいことに気づかされる。

②太陽と地球

毎日見ている太陽は、
地球との距離が違うだけで人類は生きられない。

「太陽からの距離」という偶然
もしも地球と太陽との距離が、
現在の85%(0.85天文単位)以下になると、
地球の表面は非常に熱くなり、計算上、海の水はすべて蒸発してしまうといいます。
逆に、現在の1.2倍以上になると海は凍りついてしまいます。

眞淳平(2021)『人類が生まれるための12の偶然』岩波ジュニア新書 48項

地球に近い、金星や火星との比較もあり、
なぜ地球に海の水が存在し、生命が誕生できたのか、好奇心をそそられる内容である。

③海の水は、なぜ蒸発しなかったのか

地球が誕生した当時は「水の惑星」であり、
海ができたとき、大部分を占めていたのは、
二酸化炭素の影響があったと言われている。

二酸化炭素には、大きな温室効果があるため、
60気圧に相当する大量の二酸化炭素がもし減らなければ、地球の気温は上昇し続けることになるでしょう。
そのため、このままではせっかくできた海も、
金星と同様に、蒸発してしまう可能性がありました。

ところが地球を救ったものがあります。
海の水が二酸化炭素を吸収したのです。

大陸が大きくなるにつれて、
プレートとともに大陸の下にもぐり込む二酸化炭素の量や、大陸の材料となる炭酸カルシウムや炭酸マグネシウムの量が多くなっていきました。
こうして海洋プレートの移動や大陸の形成とともに、大気中の二酸化炭素の量は急減したのです。

眞淳平(2021)『人類が生まれるための12の偶然』岩波ジュニア新書 102-105項

一部の文章を引用したが、
地球にはプレートがあり、
プレートの影響で私たちが住める大陸がある。
さらにプレートが移動することで二酸化炭素の量が減少するという、
知らなかったことを一つ知れた。

最後に

宇宙誕生以来、約137億年。
現在までの長い時間の間に、宇宙と太陽系、
そしてこの地球には、数多くのできごとが偶然起きました。
そして、その結果生まれたのが人類です。

私たちに今必要なのは、
私たち自身が滅びないために何をすべきか考えることです。
「地球に優しく」ではなく、
「私たちや今の生態系が滅びないために」、
「人類がこれまで獲得してきた、知識や思想などの貴重な遺産を次世代に引き継いでいくために」何ができるのかを、
私たちひとりひとりが真剣に考え、
行動するべきなのです。
それこそが、私たちに起きた偶然を、
私たち自身が最大限に活かす道なのです。

眞淳平(2021)『人類が生まれるための12の偶然』岩波ジュニア新書 214-222項

この素晴らしい一文を読んで、
今、生きている偶然を当たり前と思わず、
何ができるのかを真剣に考えていきたい。

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