生きづらい初老オジは、生き方をゴリラから学ぶことにした
皆さん、こんな経験はありませんか?
スマートフォンを片時も手放さない若手社員を見て、思わずため息をつく。
会議で新入社員が斬新な提案をしてくると、なんとなく反発を感じてしまう。
かと思えば、自分の体力の衰えや、新しいテクノロジーについていけない焦りに押しつぶされそうになる――。
私は52歳。
毎朝、出社すると、新入社員のHさんが机でスマートフォンを触っています。
「おはようございます」のあいさつもそこそこに、画面に没頭する姿。
かつては「若い者は...…」と苦々しく思っていた私ですが、今朝、こんな記事を読んで思い出しました。
この記事で紹介されている霊長類研究の第一人者・山極寿一氏の「ゴリラ社会」と「サル社会」の考察。
これが、私たち初老世代が抱える様々な課題への、驚くべき解決のヒントを示してくれているのです。
私の日常と、向き合う苦悩
まず、私の日常をもう少し具体的にお話ししましょう。
先日の部署会議では、入社2年目のO君が、従来の業務フローの改善案を提案してきました。
「Google WorkspaceとSlackを連携させれば、情報共有がもっとスムーズになります」という内容です。
その瞬間、私の中で違和感が走りました。
「若い子が何を言い出すんだ」という古い思考が頭をもたげ、「今のやり方で何が悪いんだ」と反論しそうになった自分がいたのです。
一方で、体の衰えも気になり始めています。
かつては終電後の飲み会も翌朝の会議もこなせた体力が、今では夜9時を過ぎると急激に集中力が低下。
デスクワークが続けば肩こりや腰痛に悩まされ、新しいシステムの導入には頭を抱えてしまう。
「このまま時代に取り残されていくのではないか」という不安が、日に日に大きくなっていきました。
希望の光「ゴリラ社会」との出会い
そんな中で出会った「ゴリラ社会」の考え方。
この概念は、私たちの働き方や人間関係に、新しい光を投げかけてくれました。
まず、現代社会の特徴である「サル社会」について見ていきましょう。
サルの群れでは、強者が弱者を支配し、厳格な序列によって食べ物や休む場所が決められます。
この構造は、現代の競争社会と驚くほど似ています。
たとえば、終身雇用が崩壊し、成果主義が台頭する中で、私たちは知らず知らずのうちに「サル社会」的な価値観に染まっていました。
新入社員のHさんがスマートフォンを見ている姿に不快感を覚えるのも、「若者は年上の前では謙虚であるべきだ」という序列意識が働いているからかもしれません。
一方、「ゴリラ社会」はどうでしょうか?
ゴリラたちは、驚くべきことに、力による支配や序列にこだわりません。
むしろ、群れの中で助け合い、互いを思いやる関係を築いています。
年長のゴリラは若いゴリラの面倒を見て、若いゴリラは年長のゴリラを敬い、自然な形で調和が保たれているのです。
この「ゴリラ社会」の考え方を実践してみて、私の職場生活は徐々に変化していきました。
たとえば、先ほどのO君の提案。
以前なら即座に否定していたかもしれません。
しかし、「ゴリラ的」なアプローチで、こう返しました。
「面白い提案だね。具体的にどんな効果が期待できるの? ただ、これまでの経験から気になる点もあるんだけど、一緒に検討してみない?」
するとO君の目が輝き、くわしい説明が始まりました。
私の経験と彼の新しい視点を組み合わせることで、より良い解決策が見えてきたのです。
Hさんとの関係も変わりました。ある朝、いつものように彼女がスマートフォンを見ている場面で、こう声をかけてみました。
「おはよう、Hさん。今、何を見ているの?」
「すみません。実は、クライアントからの緊急メールで……」
この会話をきっかけに、彼女が実は、仕事に真摯に向き合っていること、新しい時代のコミュニケーション方法に長けていることがわかりました。
むしろ、私の方が固定観念に縛られていたことに気づかされたのです。
さらに、私自身の働き方も見直してみました。
無理に若い人たちの生活リズムに合わせるのではなく、自分の体力に合った働き方を模索。
夜9時以降は意識的に寝る準備するようになり、その分、朝型の生活にシフト。
すると不思議なことに、仕事の質が上がり、若手とのコミュニケーションも増えました。
日本の伝統に見る「ゴリラ社会」の知恵
実は、かつての日本社会は「ゴリラ社会」に近い特徴を持っていました。
私が子供の頃を思い出すと、近所のおばあちゃんが「おやつ食べていきなさい」と声をかけてくれたり、町内会の行事で世代を超えた交流があったり。
そんな相互扶助の精神が息づいていたのです。
その知恵を現代に活かすことで、私たち中年・初老世代には、新しい可能性が開けてくるのではないでしょうか。
年齢を重ねることは決して後退ではなく、むしろ経験という財産を活かしながら、新しい時代との調和を図るチャンスなんですよね。
最近では、若手社員たちが自然に相談に来るようになりました。
技術的なアドバイスは彼らから学び、経験に基づくアドバイスは私から提供する。
そんな相互学習の関係が築かれつつあります。
体力の衰えという現実は避けられませんが、それを受け入れた上で自分にできることを模索する余裕も生まれました。
新しいテクノロジーへの不安も、若手たちと協力しながら少しずつ克服していっています。
新時代を生きる私たちへのゴリラからのメッセージ
このように、「ゴリラ社会」の考え方は、単なる理想論ではありません。
具体的な行動の指針となり、実践的な効果をもたらすのです。
特に私たち中年・初老世代にとって、この考え方は新たな希望を示してくれます。
ゴリラたちが教えてくれる「思いやり」と「助け合い」の精神。
それは、私たち人間社会が忘れかけていた大切な知恵なんですよね。
年功序列や競争原理に縛られた「サル社会」から脱却し、世代を超えた調和のとれた「ゴリラ社会」へ。
その転換は、私たち中年・初老世代にこそ可能なのではないでしょうか。
さあ、明日から職場で、家庭で、地域で、一歩ずつでも「ゴリラ的」な生き方を実践してみませんか?
きっと、そこには心穏やかで豊かな人生が待っているはずです。
年齢を重ねることを恐れず、むしろその経験を活かしながら、新しい時代との調和を探っていきましょう。
私たち中年・初老世代にこそ、その扉を開く力があるのですから。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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