全力で推したい駄洒落【ショートショート】
「ふとんが……ふっとんだ!」
いくら小学生でも、それじゃぁ笑えないよ?
うちのじぃちゃんは駄洒落王だ。
でも、必ず1こめは、この布団。
布団が飛んだら、
わたしの寝る場所がなくなる!吹っ飛んだら困るのだ。
「布団が、吹っ飛んだ!」
どうだ!
今回は笑うだろう?と、
満面の笑みで言われても、苦笑いしか出てこない。
わたし高校生になったんだよ。
小学生のときでさえ、笑ってない駄洒落に笑うものか。
まだまだ元気なじいちゃんである。
大学になり一人暮らしを始めた。
毎日のように
母から来る電話に
少しイラっとするけど、
まぁ、仕方ないのかなーなんて思ってた。
あれ?今回はトーンが違う。
「よく聞いてね……」
新幹線に飛び乗って、
急いで病院に駆け込む。
交通事故って何!!じいちゃん。
「おぉ、来たのか」
呼吸器をつけながら、かろうじて話しかけてくれる。
「大丈夫なの?」
「あぁ……布団じゃなくて、じいちゃんが吹っ飛んだわ」
「もぅ、笑えないよ」
ニカっと笑うじいちゃんに、泣きながら笑うしかなかった。
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