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映画「ウィッシュ」可哀想な王とヴィラン×アーシャの願い×守るべきもの・願いの重さ

○この物語は王がめちゃくちゃ可哀想に見えた。盗賊に国をめちゃくちゃされてしまい、おそらく子供をその時に失っている。そこから願いを叶えながら王国を作るわけなんだけど、アーシャに邪魔されてしまった、王国は王妃のものになる。願いもただ、保存しておくだけで、壊すこともなかった。王からしたら、王国を滅ぼす、または混乱させる願いを選別していたわけであり、別に悪くはない。基本国民は飢えることなく、住居も無料でもらえるみたいだし、観光地としても成り立っている。序盤に観光客が王国に住もうかという台詞があるからだ。そんな王国がアーシャにより、徐々に瓦解していってしまう。まあ、願いをすべての叶えるのではなく、出来レース的に数人だけ叶えるのは不満は出てしまうのだが、それ以上に国は豊かに見えた。王は誰よりも王国を愛していたのに、少しずつ禁断の本によりヴィランになるのが悲しい。王国を守るために国民を完全に支配するというのはあまりにも救われない。中盤以降はヴィランになった王とアーシャとの戦いであり、観ていて王は引き返せなかったのかなあと感じた。

○王がヴィランになってしまったのは、国民が自分に反乱を起こすかもしれないと想像したからだろう。アーシャ達は王と戦う時に革命とか言っていたし、それは王には厳しい現実だ。そもそも、王は自分の国を強盗により失っていて、子供もなくしてしまった。そーゆー絵が描かれていたからだ。あまりにも悲しいし、国民が自分に対して質問や正論を聞いてからは、かつての国や子供をイメージしたに違いない。王は自分に降り掛かった災難が常に心の中にあり、それが再びやってくるのを回避しようとしている。優しい王はその災難への恐怖からヴィランになってしまう。禁断の本を読むのではなく、アーシャとの対話の道もあっただろうが、アーシャは願いは自分の心にあるものと固定観念があるから上手くはいかないだろう。

○最初はアーシャの行為が嫌だった。祖父の願いを叶えられないと分かってからは、願いを返さない王の批判をしていたからだ。どんな願いかは本人すら忘れるから、苦しい願いなら忘れたほうがいい。創作だから綺麗な人を傷つけない願いだからこそなりたつ。そーゆー願いだったらどうするのか。それに王はかつて強盗に住処と家族をめちゃくちゃにされているので願いには慎重になるだろう。まあ、展開的には終盤のアーシャは割と好きだが。

○今まで観てきたディズニー映画では、歌がめちゃくちゃに良かった。アーシャが星に向けた歌が良く、CMに使われていた。わたしは王のあの独善的な歌が良かった。人間らしいし、王も人間だから欲望や承認欲求はある。王妃がいたからブレーキがあったわけで、一人になると支配欲は生まれてしまう。やけに上手いなと思ったら、キャストは福山雅治さん。そりゃ上手いわけだ。今回は王の演技も良くて、アーシャよりも王に感情移入してしまった。

○アーシャが祖父の願いを叶えるために、王の弟子になろうとするのは良かった。人を思いやる気持ちがあることが分かるから主人公らしいなと。ただ、その過程がまったくなく、しかも王妃にまで気に入ってもらえているのはどうなのか?確かに王妃に気に入ってもらえれば弟子になれる可能性が高まるからだ。その意味で賢い選択なのだが、もうちょっと過程が見たかった。

○前評判とは思えないぐらい良かった。中盤から終盤へかけての盛り上がりが印象に残った。ただ、序盤の主人公が何と言うか浅はかというか。王様の弟子の試験で、祖父の願いを叶えてくださいというのはやばいし、それは職権乱用では?と感じた。まだ、弟子ではないけど。後、王が願いを返さないのは、みんなが善性みたいなものがあるからで、ネガティブな願いだったらどうするのか。例えば、友達から彼氏、彼女を奪いたいとか、出世のために相手を怪我させてくださいとか。

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