映画「正欲」普通とは何か
○普通とは何か。分からない。劇中では結婚や恋愛がクローズアップされていたが、人によって普通は違う。わたしは緑茶が好きで毎日飲んでいるが、他人からしたら普通ではないかもしれない。普通とは自分以外の人間の最大公約数的な出来事、趣向などを取り出して、それを基準にして他人を判断するための材料に見える。本作を観ていると、そーゆー普通とは違ったときのいきにくさを感じてしまう。
○人生での孤独と自身の理解。新垣結衣さんが演じる夏月は、子供よりある指向があった。親が望む結婚して子供を持つことはできない、といった描写があった。その中で自分と同じ指向を持つ佐々木と中学で出会うのだが、彼がいなければ周囲の理解を得るのは難しいかもしれない。現にお客さんと理解されず口論となるのだが、まわりに理解されない指向や考え方で孤独になってしまうだろう。劇中での佐々木との擬似結婚により救われたのかもしれない。
○稲垣吾郎さん演じる検事・寺井啓喜。悩みは小学生の息子が不登校になり、同じく不登校であるインフルエンサーの動画に影響されて、ユーチューバーになりたいと相談する。父親はユーチューバーに嫌悪感を抱くが、とりあえずやらせてみる。その後、様々な問題に悩まされることになる。検事の仕事柄か、普通を思考の基準にしている。普通に勉強し、学校に入り、安定した企業に入る。そーゆー基準だが、終盤で大きく変化するのが魅力だ。