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【映画】『マンガ家、堀マモル』感想@幼馴染の本音恋よりも深いきずな

■幼馴染の本音と恋よりも深いきずな
・幼馴染の春との関わりが良い。春は病気があり、マモルと一緒にマンガ家になりたいにも関わらず拒絶してマモルを独り立ちさせようとする。その行為が春が死んでからもマモルを苦しめるが、ノートには本音が書かれていてその内容がマモルを再起させてマンガ家として成長、そして独り立ちさせる。

・春の気持ち、マモルの気持ち、二人はすれ違うが最後には一緒になる。実は3人の少年少女は幽霊ではないが、春は幽霊としてマモルに会いに来ており、マモルの原稿を触るという驚きの行動をする。春が死んでからもマモルを見ており悲しいながらもそこからのマモルの覚醒が印象的だ。

・マモルがマンガを描けなくなったのは春の呪いみたいに感じていたが、実は二人共マンガへの真摯な想いがあるためである。春がマモルに独り立ちしてほしい一心で拒絶するのだか、本心はマンガを一緒に作りたいというもの。最後はしっかり話し合うことでマモルは自分を取り戻す。

■幽霊の正体
・久しぶりに泣いた作品。マモルの家には3人の少年少女がいるが、まさかの正体。幽霊かと思っていたら、終盤でひっくり返されるのもある意味で心地よい。マモルと顔が違うから別人かと思っていたが、実は彼らの過去をしっかり見ていくとマモル本人かというのが分かる。少女は幼馴染の春かと思い、違う人物かと思ったが実は3人ともマモルというのはびっくりした。彼女の過去は春との重大な過去なので、自分とは違う存在として女性の姿にしたのかもしれない。3人の話を知るたびにマモルという人物が分かっていく。

・泣いてしまったのは、終盤の展開。春の死により、マンガが描くことができなくしまったマモルがマンガを通して過去と向き合い、春と会話する。その場面に連れて行ってくれるのが過去の自分達3人であり、自分で自分と向き合う姿に思わず涙が出てしまった。

新人賞をとって以来、描きたいものがなくなってしまい、休載中の漫画家・堀マモル。苦悩する彼の部屋にある時、海、樹、愛と名乗る幽霊たちが現れ、「漫画を描かせてあげる」と言う。小学生の海は母にさみしいと言い出せなかった思いを、中学生の樹は周りにうまくなじめず孤独を抱えた自分を救ってくれた教師への思いを、そして高校生の愛は一緒に夢をかなえようと誓った友への思いを語り、彼らの話をマモルは3編の漫画に描き上げていく。そしてマモルはいつしか、自身の大切な人である春との別れや果たせなかった約束など、心の奥底にしまっていた過去と向き合い始める。


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