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「なるようになった今日」と思えない夜があってもいい

前回の文章を書いてからずっと何かが引っかかっていた。そんな容易に割り切れるほど私が器用じゃないんだろう。その日のうちに処理しきれないことも起きるし、無意識に引きずっている時もある。
自分のことは割り切れても、人のこととなるとどうしても考えてしまう。自分に降りかかった「今日」ならまだしも、人との突然の別れなどは特に割り切れない。

でもそんな自分のそれは「性格」だと受け入れるようになったのが今年の変化。それすらも一人じゃできなくて、周りのやさしい人たちが言ってくれたおかげでそう思えるようになった。

「気にしすぎるのも気を使うのも性格。
長所と短所は紙一重。どう捉えるか。
ありのままでいることが一番やで」

妙に心に沁みた。
そう思えたら、自分のいろんなことも許せそうだとも思った。
いろんな夜があるように、考えてしまう夜があってもいい。それを受け入れた上で、『ワンピース』を読めばいい。そんなふうに対処できるようになったのが今年。

「やりたい」「行きたい」にできる範囲で正直になろうと、今年オープンした地元神戸の図書館「こども本の森 神戸」に行ってきた。

なかなかこんなに絵本に囲まれることもない。ジャンル別に分かれていて、不意に「人間」のコーナーが気になり、『いいこってどんなこ?』という絵本を手に取った。歳を重ねると絵本を手に取る機会も減るため、「何年ぶりの絵本だろう?」と少し心わくわくさせていた。

その絵本は子どもがお母さんに「いいこってどんなこ?」と聞きながら、お母さんがその質問に対して次々答えていくようになっている。
最初の方は「良い子」と思われる「良い言葉」が並べられ、ページをめくりながら「まぁな、そうよな。わかるけど、これを『良い子』としちゃうとどうなるんやろ?」と生意気にも少し疑念を抱きながら読み進めていた。

しかし、最後のお母さんの言葉に私は不覚にも泣いてしまった。正しく言えば、周りの子どもたちに不審がられないように涙はこらえて、バレない程度に目をうるうるさせていた。

私の大切な友人先輩たちに今年一番言われた言葉を絵本の中のお母さんに言われた。直接言われたくらいの衝撃を受けて立ち尽くした。

そのまま安藤忠雄建築の開放感に身を委ねた。誰にも邪魔されない場所だった。泣いてるのがバレても変に思われず何もかも受け入れてくれるような空間に感じた。

絵本でこんなにも衝撃を受けることに、もはや感動すらしていた。シンプルでわかりやすいからこそ、そっとやさしく胸をチクツク突いてくる。これ以上にない「絵本との再会」だった。当たり前かもしれないけど、今読むと全く違う受け取り方ができる。子供の頃に読んだあの本たちともう一度出会いたいと思った。

この日、この図書館に行き、あの絵本を手に取れたのは「なるようになった今日」だったんだと思う。たまたまだけど、たまたまじゃない。
だけどそう思えない時もあっていい。それがその時の私のありのままなんだと思う。そんなふうに自分のことを受け入れられたら、「なるようになる」と心から強く思えるのかもしれない。

今年は周りの人たちのことが愛おしく、改めて大好きだと思えた一年だった。そんなふうに振り返られたのは『いいこってどんなこ?』という絵本の最後の言葉のおかげでもある。帰省するたびあの図書館に行こっと。安藤さん、作ってくれてありがとう。

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おさない えりか
読んでいただき、ありがとうございます! 子どもの頃の「発見の冒険」みたいなのを 文章の中だけは自由に大切にしたくて、 名前をひらがな表記にしました。 サポートしていただけると とっても励みになります。

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