読書感想:ラギッド・ガール
こんばんは。今日も本の感想を書きます。
極力ネタバレはせず、魅力だけ語れればいいなと思います。
読んだ本はこちら。
ラギッド・ガール 廃園の天使Ⅱ
著者:飛 浩隆
本書は、「グラン・ヴァカンス 廃園の天使Ⅰ」の続編です。
↓「グラン・ヴァカンス」も感想を書いています。
Ⅱでは完結しておらず、次回作「空の園丁」は執筆中とのこと。
うーん、早く読みたい!
①あらすじ
人間の情報的似姿を官能素空間に送りこむという画期的な技術によって開設された仮想リゾート“数値海岸”。その技術的/精神的基盤には、直感像的全身感覚をもつ一人の醜い女の存在があった―“数値海岸”の開発秘話たる表題作、人間の訪問が途絶えた“大途絶”の真相を描く「魔述師」など全5篇を収録。『グラン・ヴァカンス』の数多の謎を明らかにし、現実と仮想の新たなる相克を準備する、待望のシリーズ第2章。
(「BOOK」データベースより)
前作の「グラン・ヴァカンス」は長編小説でしたが、今回は短編集です。
②ストーリーの感想
とにかく面白かったです。
前作の「グラン・ヴァカンス」を読んでから本作を読むと、謎だった部分が次々に鮮明になっていきます。
「数値海岸」が何なのか。どのようにして出来たのか。
「前作の彼」は一体どこからやって来たのか。
「ある程度謎が明かされるんだろうな」くらいにしか思っていなかったので、頭をぶん殴られたような衝撃でした。
短編だからこそ、多様な切り口から謎を明かしていくことが出来たんだと思います。
後半は、前作にはない激しい動きがあるシーンも多くて、読んでいて楽しかったです。
あと、これはキャラクターの話ですが、表題作「ラギッド・ガール」に出てくる「阿形 渓」がめちゃくちゃやばい。
稚拙な語彙に頼ってしまうくらい異常な性質を持ったキャラクター。どうやってこんな存在を思いつくんだろう、と思いました。
飛先生の頭の中を覗いてみたい。
もう1人やばい人がいるんだけど、それはネタバレに繋がりかねないので書くのは控えます。(この発言自体が若干のネタバレなのか)
とにかくやばい奴らが出てくるので、スリリングさには事欠きません。
③ストーリー以外の感想
前作もそうですが、心理描写が卓越しています。
異常性があるとも取れる心理状態を丁寧に描写していて、本来共感できる種類の感情ではないはずなのに、文章に妙な説得力が付与されています。
すごく不思議な感覚です。
あと、SFなので架空の知識・用語が出てきます。
その架空の用語をふんだんに使って事象が説明されます。
それを理解できるギリギリのラインで読ませる技術は、凄すぎるとしか言えません。
普通の人が同じことを書こうとしても、説明できずに白旗を挙げると思います。
また、文章の中に「引っ掛かり」が多く設置されているので、見逃さないように注意しなければなりません。
まあ注意したところで騙されてひっくり返ってしまうんだけれど。
④最後に
続編の出版が待ち遠しいです!
紹介していただいた、高梨 蓮 さん。ありがとうございます!
読書の幅が広がりました。
いろんな種類の本を読んでみたいので、オススメの本がある方は教えてもらえると嬉しいです!
今日の日記
1日在宅勤務でした。
震災関連の番組が多くて、改めて防災の勉強になりました。
それでは。