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【追悼】「村田兆治さん」を偲んで

(写真 現役時代の村田兆治さんのサイン色紙)

 長い歴史の「オリオンズ全史」を書き始め、ようやくカネやんの時代に辿り着き、ちょうど川崎球場に移転する時まで書き進め、毎年「村田が」「村田が」「村田が」という場面になっているところだった。
 突然の訃報を聞き、じっとしておられず、この文章を記している。

 1974(昭和49)年の日本一の時は7年目の25歳、まだ粗削りの印象が残っていた。成田文男、木樽正明、金田留広、八木沢壮六という投手陣の中で、19歳の三井雅晴とともに、若手としてチームを支え優勝に導いた。

 その翌1975(昭和50)年に先発とリリーフにフル回転して初めてのタイトルとなる最優秀防御率を獲得。翌年は初の20勝となる21勝を挙げ、最多勝はならなかったものの、2年連続で最優秀防御率を獲得した。

 この頃、成田、金田留、木樽、三井と主力投手が続々とケガで離脱していった。若手も伸びて来ない、トレードも上手くいかないという状況は「村田におんぶに抱っこ」という状況に陥った。「人生先発完投」が座右の銘。先発完投しながらリリーフとしてもマウンドに上がり、何度、オリオンズを救ってくれたことだろうか。

 突然の訃報に言葉も出なかったが、ちょうど村田の奮投した場面を綴っていた。
 私が綴っている中で、強く印象に残っている二つのエピソードを今日は追悼の思いを込めて綴りたい。一つは1971(昭和51)年の後期開幕20試合の奮闘。そして、もう一つは1979(昭和54)年の大記録にあと一歩だったという2試合のマウンドをご紹介。

【1971(昭和51)年 後期開幕20試合の奮闘】
 後期に入って奮闘したのはエース村田だった。首位に立つ20試合までの登板を追うと
○2日・開幕南海戦(大阪)で江夏に投げ勝ち9回完封勝利
―中2日で5日・南海戦(大阪)リリーフ登板、1回1/3を1失点引き分け
●中2日で8日・太平洋戦(平和台)リリーフ登板して1回2/3を1失点で黒星
○中2日で11日・日本ハム戦(宮城)先発し9回1失点完投勝利
○中3日で15日・太平洋戦(後楽園)先発し9回3失点完投勝利
―オールスター戦は18日2戦目(後楽園)で2回を、20日3戦目(大阪)は1回をともにピシャリ。
○オールスターから中4日で25日・阪急戦(西宮)先発して9回完封勝利
○中2日で28日・近鉄戦(神宮)リリーフ登板して1回無失点勝利
○翌29日・近鉄戦(神宮)リリーフ登板して3回無失点勝利
―中1日置いて31日・日本ハム初戦にリリーフ登板して2回2/3を2失点引き分け
○中4日で8月4日・阪急戦(宮城)に先発し完封勝利

 チームはちょうど20試合を消化して13勝7敗。村田は、先発5試合、リリーフ5試合の10試合に登板。先発の5試合は全て完投勝利でうち完封3試合、リリーフで2勝して7勝1敗、チームの勝利の半数の勝ち星をつけるフル回転だった。
 村田はこの後、中3日と中4日の間隔で先発マウンドに上がった。
 結局後期は阪急、南海との三つ巴の戦いの末、村田も終盤に失速して3位に終わったが、村田が奮投して支えた首位争いだった。

【1979(昭和54)年 村田、大記録へ2度のあと「1」】
6月8日 近鉄9回戦(日生)
先発・村田は立ち上がりから三振を奪い、2点を失ったものの、9回までに16三振を奪う力投を見せた。奪三振の当時の記録は、1962(昭和37)年5月24日に阪急の足立光宏が記録した17。あと「1」三振で日本タイ記録だった。

6月13日 西武11回戦(宮城)
前回の16奪三振から中4日で先発した村田はこの日も絶好調。西武打線を完璧に封じ、西武先発・東尾と白熱した投手戦を展開。その村田は三者凡退を重ね、7回表まで完全試合ペース。8回表も一人打ち取り一死。完全試合まであと5人となった。ここで、5番の土井にレフトスタンドへ運ばれる。その裏、打線が東尾を攻略し、4点を奪い逆転、9回表も3人で片づけ4-1で完投勝利を飾ったが、許したヒットは「1」本だけ。一人の走者を背負わないピッチングだった。

 村田兆治さんの活躍は、これから当ブログで何度も何度も出て来ます。ヒジ痛との苦闘も「どう綴ろうかな」と考えていたところでした。
 突然の訃報が未だに信じられませんが、活躍をしっかり綴っていくことが供養になるのかな、などと勝手に思っております。
 兆治さんは、我々オリオンズファンにとっては、神様以上の存在でした。たくさんの夢をありがとうございました。心からお悔やみ申し上げます。合掌。

ちょうど読み込んでいた二冊の本。
左は兆治さん著「先発完投わが人生」 右は奥様淑子さん著「明日ありて」

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