『dyla ルーヴル・アブダビへ行く』
(値段設定がされていますが全文無料で読めます。と言いつつちょっと頑張って書いたので、なんというか応援度が高ければ姉妹編をどんどん書いていこうかなとか思っています。)
こんにちは。おひさしぶりです。dylaです。
ひょんなことから、アブダビという都市に滞在しています。そして先日、そのなかにあるルーヴル・アブダビに行ってまいりました。
このミュージアムを訪れてあまりにも「最高だな」という思いが溢れ出たので、その魅力を語ります!
本題に入る前に注意点として、私は世界史と美術史が十年来の趣味で前者は割と極めたほうではあるものの、世界史研究者/教育者でも学芸員でもなければ、史学系出身でも芸術系出身でもありません。
普段はデジタルアートの会社でディレクターの端くれをやっていますが、展示のテクニカルディレクターというのをやっており、どちらかというとデジタルアートの「デジタル」の部分を担当しているので、すごくアートに詳しいというわけではないです。
この記事はただ素人が語っているだけで、しっかり調べているつもりですが必ずしも正しいことを言っているわけと思います。ご了承ください。
そもそもアブダビとは
ルーヴル・アブダビは、中東の国家アラブ首長国連邦 / UAE の首都、アブダビに位置しています。
UAEは1971年建国というわりと新しめの国で、主な民族系統はアラブ系。アラビア語と英語が主に話されているスンナ派のイスラーム国家です。
UAEとは "United Arab Emirates" すなわち「アラブ首長国連邦」の略で、アラブ系の「首長国」というの連邦国家であるとことを意味しています。アブダビ以外の首長国の一例としてドバイがあります。(ドバイはアブダビの隣にあります。)
地理的には砂漠気候 (BWh) で、日中は最高気温40~50℃に達することもしばしばありほとんど雨が降りません。ドバイのビル群は砂漠の上に立ってます。
このルーヴル・アブダビのあるUAEの首都アブダビは、ドバイなど他の首長国と異なり莫大な石油の出る場所で経済力が強く、それに伴い政治的にも強い首長国で、当時ここアブダビ首長だったシェイク=ザイードによって1960年代後半〜70年代にかけて近隣首長国で1つの強い国家を作ろうという思いのもと建国されています。
という感じで今現在石油が出ており圧倒的経済力を誇る都市のひとつであるアブダビですが、将来を見据えて石油への脱却を考え観光にも力を入れていこうという方針を取り始めました。
そのうちの一つが、ルーヴル・アブダビの位置するサディヤット島です。
サディヤット島は、アブダビが世界的な文化の中心地になるべく開発を行っている一大プロジェクトの島です。美術館や博物館、そして宗教施設や学校など作っているようです。
ルーヴル・アブダビ以外にもグッゲンハイムを作っていたり、教会・モスク(イスラーム教の礼拝所)・シナゴーグ(ユダヤ教の礼拝所)を1つの場所に集めた施設など、盛りだくさんです。
詳しくはこれらの記事を読むのがわかりやすいかもしれません。
このサディヤット島の開発プロジェクトは莫大な予算がつけられているようで、どの建物も壮大です。
dyla ルーヴル・アブダビへ行く
そのUAEの首都アブダビのサディヤット島に位置するルーヴル・アブダビはフランスのルーヴル美術館の姉妹館です。
2017年にオープンし、建築家ジャン=ヌーヴェルの設計したドーム状の建物に本家ルーヴル美術館やオルセー美術館などの収蔵品を集めた美術館です。
姉妹館といえど、姉妹館と侮るなかれ。私はここが世界最高峰の世界史を語る美術館だと思いました。
ざっくりとした説明は美術手帖さんの記事がわかりやすそう。
ルーヴル・アブダビへの行き方はいろいろあると思うのですが、とりあえずアブダビに着きましょう。
皆さんはなかなかアブダビに行く機会がないかもしれませんが、ヨーロッパへ行くとき、若干安めの飛行機を使うとなるとたいてい「トルコ(ターキッシュエアラインズ)」「ドバイ(エミレーツ航空)」「アブダビ(エティハド航空)」「カタール(カタール航空)」のどれかを経由することになります。そこでアブダビを選んでで1-2泊していく価値はあると思います。
アブダビに着きさえすればあとは公営のタクシーがあります。
アブダビの公営タクシーはタクシーなのにぼったくらず、安価(Uberより安い)で、しかもクレジットカードのタッチが基本使えるという最高なインフラなので、たぶんタクシーが無難です。
公営バスはバスカードが無いと乗れなかったり、ちょっとカオスだったりとなんとも言えないのであまりおすすめしません。
ちなみにルーヴル・アブダビの入館料は62AED(税込み)です。2024年夏現在、1AED約42~43円なのでだいたい2,500円程度です。
チケットは一応館内でも買えますが、クレジットカードがあるなら公式サイトからオンラインでeTicket(買うと入場用バーコードのついたメールが送られてくる形式)を買うと簡単です。
ここからは魅力を語っていきますが、ネタバレにもなるので写真などは少なめに留めようと思います。
ルーヴル・アブダビ、巨匠ジャン=ヌーヴェルの賜物
ルーヴル・アブダビは現代建築の巨匠ジャン=ヌーヴェルによって設計されています。
特筆すべきはその外観です。建物自体は白を基調として、その上に網目を張り巡らせたような銀色のドームがあります。
私はあまり建築については詳しくなく、ジャン=ヌーヴェルも名前程度にしか知らない無知なのですが、公式のガイドブックを購入してそこに書いてあったこの建物のコンセプトが最高でした。
↑ chatGPTと私の合作訳 :
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ジャン=ヌーヴェルのドームのメタファー的な豊かさは、ほぼ尽きることがありません。砂漠の遊牧民を導く星のように、ドームは私たちへが上を見上げて世界への考察することを誘います。数学と有機的な生命の交差点において、それ自体がひとつの領域であり、美術館の空間と時間が展開する小宇宙を生み出します。アラビアにおける日陰の重要性を称えるように、ドームを通してフィルターされた光は、宇宙の書道のように永続的な価値の逆転を引き出し、対極の補完性から生まれる美しさの想像的な形態を描き出します。
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ほかにもいろいろ解説がされているのですが、私なりにつまみ食いして解釈するとこのドームの魅力は以下のような感じです。
① 最高気温40℃、50℃を簡単に生み出してしまうほど強いアラビア世界の日光は、人々が日中なかなか外出できなかったり日陰に逃げなくてはいけなかったりとデメリットも多いが、裏を返せば数百年数千年と共にあり続けた日常であり、慣れ親しんだ現象だからこそドームを通して芸術として生かす設計にした。
② ドームの形状にアラビア世界で古来から用いられてきた幾何を用いることで、イスラームのモスクをはじめとした中東建築史の延長線上にある建物として作り上げた。
(*アラビア世界は、古代ギリシアでユークリッドを中心として発達した幾何学を輸入し王国の研究機関でそれを発展させ、更に「アラベスク様式」を中心として独自の芸術としても確立し、現代に至るまで主にモスクを主として多角形をデザインに多用している。)
③ この「日光」と「幾何」を用いることでまるで星を眺めているような作りを生み出している。
(*アラビア世界は古来から星を重視してきた世界。幾何学同様に古代ギリシアから輸入した天文学が研究され発展した。そのお陰で砂漠や海という目印の無い道でイスラーム商人は星を眺めそして星を読み交易を行うことができた。)
最高ですね。
ルーヴル・アブダビは展示を通して世界史を語る
先述の通り、このサディヤット島はアブダビが世界的な文化の中心地になるべく開発を行っている一大プロジェクトの島と言いました。そのなかでもルーヴル・アブダビは「古代から現代までの美術」を扱っています。
といいつつも、実は現代美術に関してはルーヴル・アブダビのすぐ近くに現代美術の美術館グッゲンハイムの姉妹館「グッゲンハイム・アブダビ」が建設中です。
そういう意味でルーヴル・アブダビは "特に近代まで" の品々に力を入れているというわけです。
ではまずそもそも「古代とはなんだ」「近代とは何だ」という話です。
狭義の世界史は類人猿や石器時代みたいな時代(「先史」と呼ばれている)を含めません。その場合、世界史の最初に来るのが「古代」です。
古代の始まりの境目がどこに来るのかというと多くの場合「文献が存在している(=文字に起こされている)」というのがその状態です。
その古代の起こりことそが世界4大文明。です。皆さんなんとなく名前は知っていると思いますが、「エジプト文明」「メソポタミア文明」「インダス文明」「黄河文明」です。
特にアブダビとの関連でいうと、「エジプト文明」は西側の中東(名前の通り現在のエジプト)、「メソポタミア文明」は東側の中東(現在のイラク)で興っており、ルーヴル・アブダビにはこれらの品々が多く扱われています。
また、だいたい第一次世界大戦後や第二次世界大戦あたりを挟んで古い方を「近代」、逆に今に至る方を「現代」と呼んでいます。
(*世界史的というか欧米的な考えでは第一次世界大戦後を区切りとしていることが多いイメージですが、日本的には第二次世界大戦が区切りであり、美術史も第二次世界大戦あたりを区切りにしているようです。)
なのでルーヴル・アブダビは主に文明が起こってから世界大戦あたり頃までの美術、つまり世界史における美術を扱っているというわけです。
それを暗示しているのがこの屋外のモニュメント。ここには主な作品として奥の石版と手前の彫刻の2つあります。
奥の石版、作品自体は現代のものですが書かれているのは楔形文字。楔形文字というのは古代メソポタミア文明の中でも最古の都市国家を作り上げた人々であるシュメール人が発明し使用した文字で、世界最古の文字のひとつです。
逆に手前の像は『考える人』で有名なロダンの彫刻。ロダンは19世紀後半〜20世紀前半に活躍した人、すなわち近代の終わり頃に活躍した彫刻家です。
これだけで痺れますね。メッセージ性がかっこよすぎる。この配置は、わざとです。絶対。いきなりテンションが上がります。
といいつつも実は常設展示に最短ルートで行こうとするとここ最後に通ることになっちゃうんですよね。順路の最初にしてくれよと。
ということで常設展示へ入って行く!
ルーヴル・アブダビで最初に我々を待ち受けるもの
それなりの数の美術館 / 博物館へ行っている身からすると、こういう系統のミュージアムに入るときは、
.。oO( たぶん最初に土偶みたいなのがあるんだろうなー
みたいな予想ができるわけです。
が!!!!すごいぞルーヴル・アブダビ!!!!その予想を大きく裏切ってゆく!!!!
いきなり皿3枚とか、像3体とか、壺3個とか、同じ種類でデザインも割と似たようなものがそれぞれ3つずつ飾られているのです。
3個1セットになっている品々の説明書きを読んでみます。
例えば皿の説明書きでは1つ目が「Turky (トルコ)」、2つ目が「Italy (イタリア)」、3つ目が「China (中国)」。年代はすべて13~14世紀。
皆さん知っていますか。この白地に青い皿、ただの皿ではないのです。陶磁器です。陶磁器というのは世界史的にとても重要なアイテムです。
そう。陶磁器とは、かつて中国で作られ中東系を中心としたの商人によって海上貿易でヨーロッパまで運ばれていった、交易の世界史を象徴とする物品なのです。
この陶磁器を飾るルーヴル・アブダビのメッセージ性、最高ですね。
入っていきなりこういう品々を無言で魅せる。世界史の東西交易の重要な品物を流通経路の始点と中継地点と終点の3個所分、提示する。
そう、ここはイスラーム世界。そのなかの現代の雄のひとつアブダビ。最も文化に力を入れている街ならば、イスラームが世界史の中で東と西を結ぶ場所であったことを伝えなくてはいけない。最高です。
↑ 私なりの訳 :
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イントロダクション
私たちは文化のつながりの物語を語ります。ここでは、歴史を通じてさまざまな文化の芸術作品を並べて体験することができます。私たちは思っている以上に多くの共通点があることに気づくかもしれません。
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ルーヴル・アブダビ : ハイライト#1 ヨコの世界史
ルーヴル・アブダビの常設展示は4つの大分類、12の小分類でテーマが区切られています。
G1-3 : Ancient Worlds (10,000BCE - 500CE) [訳] 古代
G4-6 : Middle Ages (500 - 1500CE) [訳] 中世
G7-9 : Early Modern Times (1500-1850) [訳] 近代
G10-12 : Modern Era (1850-Present day) [訳] 現代
という感じで順路に沿うと古代から現代へと時代を進んでいく作りになっています。一応、先史や狭義の現代の品々も展示されています。
世界史では「タテの世界史」と「ヨコの世界史」という考えが学ぶ上でよく重視されています。
「タテの世界史」とは地域を1つに絞りそこに関して時系列で昔〜今にかけて学ぶ世界史です。日本史とかフランス史とか中国史とかインド史とか。
「ヨコの世界史」とは時代を1つに絞りそこに関して地理的に西―東の関係性を学ぶ世界史です。具体的に "◯◯史" とは言いづらいのですが、例えば世界帝国を作ったアレクサンドロス大王の時代とか、あと一歩でヨーロッパを支配するところまでいったモンゴル帝国の時代とか、別に征服史に限らずシルクロードで世界が結ばれたとか、ペストが世界的に流行ったとか、大航海時代(最近は大交易時代というらしい)とか。
たいていの美術館や博物館はタテの世界史を重視しており、入口のほうはその展示コンセンプトの初期の作品があり、出口の方には終わり頃や現代の作品があるイメージです。
(まあ、タテの世界史を意識しているというより、単純に歴史的経緯があるものは時系列順に置いたほうがわかりやすいよねという話ではあります。)
先述の通り、ルーヴル・アブダビもタテの世界史の通り古代から現代へと時代を進んでいく作りというわけです。
ただルーヴル・アブダビ、ここがすごい。タテの世界史で順路が作られているとはいえど、各部屋はヨコの世界史をかなり重視しています。
次の写真は私が感動した部屋、大航海時代の部屋です。
この部屋は大航海時代における世界地図や様々な国の地図などが置かれた部屋です。特筆すべきは日本地図や江戸の地図があることです。
ここで山川世界史の大航海時代の書き出しを見てみましょう。
ここでいう『世界の記述(東方見聞録)』の「金の空想」とは、皆さんもご存知の "黄金の国ジパング" つまり日本のことです。
これを踏まえると日本の地図や江戸の地図があることの背景がわかります。西方の国々にてジパングを目指し始まった大航海時代は多くの人々が海を渡り、最終的に日本という国を明らかにしたという話です。もう最高ですね。
限られた面積(ルーヴル・アブダビは本家ルーヴルや大英博物館等々、既存の超有名美術館ほど大きくはない)のなかで大航海時代の特に世界の一体化を意識した部屋を1つ作る美術館が他にあるのかと。
ルーヴル・アブダビ : ハイライト#2 文化史の変遷
つぎの写真を見てください。これは古代エリアの写真です。
この大きい像は古代エジプト、新王国時代のファラオのラーメス2世(ラムセス2世)の像です。
いやこれがなんなんだと。エジプトを扱う美術館ならこの類のものはよくあるだろうと。
もちろんこれだけを見たらすごいにはすごいのですが、ルーヴル・アブダビのすごさというわけではありません。
特筆すべきはこのラーメス2世とその奥に見えている2つの白い立像です。
美術史の話で、彫刻は古代ギリシアにて大きな発展を迎えます。
古代ギリシアは紀元前二千年ころ〜紀元前338年ころの話で、特に紀元前500年前後に強い力を持っていました。ちょうどその頃のギリシアでは様々な文化が発展しそのうちの1つに彫刻があります。
古代ギリシアではかの有名なギリシア神話が信仰されており神々の姿を形作ることが多くありました。そこで作られたものの1つが彫刻です。
美術史上、古代ギリシア(のなかのクラシック期)より前の彫刻というのはピシッと姿勢の整った左右対称の像が基本でした。
また、全体的なバランスに関しては、一例として、頭は実際の人物に近い顔から造形をとり、対して胴体は実際よりも理想的な屈強な身体を表現するといったことを行っていました。その結果、サイズ感や形が頭と胴体で異なることに起因してすこし比率のおかしな像が多かったのです。
(他にも宗教的意義から目をはじめとした身体の一部のパーツを大きくすることなども一因になっているものが多いです。)
古代ギリシアではそれを覆す技術が発展しました。
題材が神話が多かったということとも相まって、彫刻で「美」を追求するようになります。
その結果、男性像は屈強さ・女性像は優美さを意識し少し小顔な美しい頭身比率のバランスの整った形状を持ち、「コントラポスト」と呼ばれる左右非対称で動きを表現したポーズを取ります。
↓ 参考)コントラポスト
そして更に衣服は現実により近づけるべく、"ひだ" を多用したり身体のラインがわかるような密着性を表現したりとなっています。
これによって古代ギリシアは現代に至るまで彫刻の最高峰と呼ばれるような転換期になりました。
あらためてこれを踏まえて先程の画像をみてください。
いやー素晴らしいですね。エジプトとギリシアという彫刻が有名な2つの時代&場所をピックアップし、彫刻に関する文化の変遷を同じ画に収めています。
ルーヴル・アブダビ : ハイライト#3 宗教の科学
序盤に述べた通り、ルーヴル・アブダビのあるUAEはイスラーム教が国教の国家です。
そもそもイスラーム教はユダヤ教やキリスト教と同一の神を唯一神としている宗教です。始まった順としては、ユダヤ教(紀元前500年よりすこし前)→キリスト教(30年ころ)→イスラーム教(610年)となっています。
また現代における世界宗教とはキリスト教・イスラーム教・仏教です。
イスラーム教は特に生活に根付いた宗教でありおそらく中東諸国は我々日本人の感覚よりも宗教が身近にあるようで、それを色濃く表している部屋がありました。
これはユダヤ教の聖典『旧約聖書』、キリスト教の聖典『新約聖書』、イスラーム教の聖典『コーラン』、仏教の聖典が並んで置いてある部屋です。
いやーこういう視点、興味深いですね。
イスラーム諸国ではお祈りの時間に街中のモスクから「アザーン」と呼ばれるコーランの一節を読み上げるときがあります。そういう意味でも聖典というのは重要視されているのかもしれません。
この他にも、ルーヴル・アブダビには同時期で各宗教の宗教的意味を持つ美術品が並べられて展示している場所が複数あり、面白いです。
ルーヴル・アブダビ : ハイライト#4 航海の中東
ルーヴル・アブダビは各セクションの部屋同士を通路で区切っています。
会社の有識者の大先輩がおっしゃるには、通路には必ず窓がありそこから海が見えるようになっているそうです。
ほとんどの通路にはなにも置かれておらず窓があるだけなのですが、おそらく唯一展示がある通路がありました。
最後のハイライトはこの部屋です。部屋というより通路です。
ここに置かれているのは羅針盤とアストロラーベと地球儀です。すべてかつての航海用具です。
参考)こちらの外部ページを見るとわかりやすいです。
アブダビのあるUAEは元を辿るとベドウィンの国です。ベドウィンとはアラビア半島の砂漠地域で古来より交易を行ってきたアラブ系遊牧民のことです。そしてペルシア湾に面した湾岸国家です。
改めて皿のところで載せた引用の全文をご覧ください。
改めて考えるとイスラームの湾岸都市においていかに交易というものが重要視されているのかがこのルーヴル・アブダビを通して感じられます。
イスラーム商人が星を読むことにインスパイアを受けているドーム、最初に待ち受ける東西交易の重要な品である皿、大航海時代の特に世界の一体化を意識した部屋、そしてこの海が見える通路に置かれた航海用具。
この地は古来より世界の東とも西とも繋がっており、常に世界と一体化していた地域だったのです。
世界史でいうとそのネットワークの末端にある島国で生まれ育ったからこそなかなか意識しづらいこの考え方。ルーヴル・アブダビを通して得られるこの視点は最高としか言いようがなかったです。
この他にも、たくさん美術品があります。絵画もけっこうたくさんあります。
ぜひ、一度、ルーヴル・アブダビへ足を運んでみてください。
おまけ
本家ルーヴル、意識してる????
お土産コーナも航海グッズが充実している。ずるい。
終
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