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ゲストハウスの悲喜交々(深めの雑記)

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長野市の小さなゲストハウス・1166バックパッカーズの飯室がゲストハウス経営の悲喜交々をちょっと深めに綴ります。現場の話からスタッフ育成、宿をこれからどう育ててゆくか大きな声で言…
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宿の暖房でゲストの上着が溶けたらどうするか

 昨夜、現場スタッフからメッセージが届いた。  1166バックパッカーズのラウンジには大きなブルヒーターの他に、小さな石油ストーブを時々使う。ヤカンを上に置くような、あれだ。今回はそっちの暖房での出来事。オーストラリアからの女性が、上着の一部を溶かしてしまった。 飯室からスタッフへの返信

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雇用主と被雇用者の立場のちがい

 同じ人間ではないので、確実に価値観は違う。加えて、雇用主と被雇用者という立場の違いは大きい。考えてもみてほしい。私はある程度の資金を投じて、自分の責任のもとに宿を動かしている。宿が潰れたら困るという焦りはいつだって持っているが、一方で自分の采配で動かす自由があり、アルバイトのスタッフへの指揮権もある。被雇用者にはその自由はないが、一方で大きな責任を負うこともない。退職してしまえばそれまでだ。  つまり、スタッフのことを非難しているわけではなく、ただそういう立場の違いがあると

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あなたが宿主で、私が旅人で

 そんな妄想をしてみると、自分は宿の人が欲しいであろう情報を良きタイミングで伝えようと頑張る。例えば予約の際には、簡潔に、でも少し温度を持って「そちらに住む友人を訪ねに行きます。チェックイン時間の前に荷物を置きたいですが可能でしょうか? その場合はあらかじめ到着時間をご連絡しますので」と書き添えたり、チェックインで宿を訪れた際は少し微笑みながら「こんにちは〜、お世話になります」と声をかけてみたり、立て込んでいるようであれば「急いでないので大丈夫です〜」と伝えてみたり。  そ

オーバーツーリズムとその周辺に対して感じること

 興味を持っているからか私の携帯にはオーバーツーリズム関係のニュースが上がってくる。富士山のオーバーツーリズム化を避けるべく登山者数の上限が設けられたり、小路や一通の多い京都では増加する観光バスやレンタカーで渋滞が起こり、都内の住宅街では夜間もガラガラとスーツケースを引く音に痺れを切らした住民が"民泊反対"の看板を立てたり…。そういった状況を改善すべく、宿泊税はもはや当たり前になってくるのかもしれない(余談だが、それにしても先日京都が宿泊勢の最高額を1万円に引き上げる方針を発

振り返りと2025年まずやらないといけないこと

 毎年、本当ならば元旦に抱負を書き綴ったりしたいのだけれど、通常営業中の宿の裏仕事と冬休み中の子供との関係で、落ち着いて考えごとができる環境になかった。今週からようやく平常運行といった感じ。  2024年を振り返ると、精神的には落ち着いていた年だったと思う。インバウンド特需で最低限の売り上げは確保でき、それに従いスタッフ全員無事に昇給できたし、客数が多い=厚めにシフトを作れたのでスタッフ間のコミュニケーションも取れて働きやすかったと思う(ちなみに閑散としている夜はスタッフは

満足のいく遠隔サポートと現場づくり、そしてその悩み

 コロナ前とは比較にならないほどに海外からの旅人が多い。そして彼らの受け入れに関して15年の営業のなかでニーズの変化はあれど、我々に経験値が蓄積されているのも実感する。雑多な書き方になってしまうが、どんなことが海外勢の胸を打つのか、何を準備しておく必要があるのか、思ったことをメモしておく。これからうちのような小規模宿を開く人のヒントになるかもしれない(それ以外の人にとっては対して面白い話ではないと思う)。 チェックイン前のサポート  当たり前のことだけれど、異国へひとり旅

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ひとりで15人定員の素泊まり宿を経営するのは可能なのか

 2010年に、ひとりで開業した1166バックパッカーズ。そのときは定員が12名だった。それ以降、雑魚寝スタイルだった客室に2段ベッドを入れたり、スタッフルームを個室作り替えたりして、今は最大で16名が泊まれるようになった(*コロナ禍以降は引き続きベッドを間引き、12名で満室扱いにしていることが多いが)。  これから開業したい人たちとの会話のなかで、ひとり営業で素泊まり宿を回してゆくにはやはり定員12名がひとつの目安になっているように思う。 200名規模の旅館で働いていた過

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宿とはなんぞや

 私は宿屋である。宿代をいただき、それによって生計を立てている。宿屋とは泊まる場所である。ただ、「泊まる」というのは単に「寝る」ではないとも思っている。 宿=泊まるところ≠寝るところ  宿は泊まるところであるが、ここでいう「泊まる」は「寝る」つまり布団の中で横になり、目を瞑る…という行為を意味するわけではない。 宿に泊まる=宿を起点に過ごす  宿に泊まるというのは、そこで誰かと出会い、話し、そこで知った場所で食事を取ったり、銭湯に行ったり、流れでいつも飲まない缶ビール

2024年の周年祭を終えて

 先週末に、1166バックパッカーズの周年祭を行いました。関わってくださった皆様、ありがとうございました。2010年10月に開業したので、これで15年目の営業に入ります。 周年祭とは何なのか  初めの頃、あまり本質について考えたことがなく、ただお祭り気分だったけれど、よくよく考えるとこれは意外と難しい問い。数年前に行き着いた答えは周年祭はただのお祭りではなく、感謝祭だと言うこと。 主な対象者 × フライヤーを撒いて、たくさんの人に来てもらう ○ SNSなどで告知しそも

「人が足りない」と「仕事が足りない」の間で

 つい最近まで「スタッフ募集をしているけれども、人が集まらない」と頭を抱えていたけれど、今の課題はスタッフの収入をアップするために「仕事を増やしたい」。従業員の数と仕事量のバランスって本当に難しい。 繁閑期  幸い長野市はそこまで繁閑差が大きいエリアではないので、年間を通じて同じ人数を雇用することはそこまで大変ではない。ただ、そうは言っても、(おおよそだが)満館13人*4000円の売り上げが続くお盆に比べると梅雨+酷暑の7月の平日なんかはその半分くらいの稼働になる。インバ

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朝のまち歩き

 朝のまち歩きはいつ始めたか覚えていなくて、ただ少なくとも2014年くらいにはやっていたように思います。10年くらい経っていますね。 いつやるのか  最近は月に2〜3度くらいの頻度で設定しています。ただシフトの都合で平日の朝に開催なもので、希望者がいなければやらなかったり。朝8:30から10:30くらいまでのコースです。10月はこんなカレンダー。 どこを歩くのか  コースはその時々で変わるのですが、多いのは1166バックパッカーズを出発して、西町を通り、花の小路を抜け

みんなで朝ごはん

 2014年10月に始まった1166バックパッカーズの「みんなで朝ごはん」という朝食会。2017年に第38回までカウントしていたんですが、その後はカウントすることを諦めてしまいました。また当時はおおよそ月に1回だったのが、今は月に3回くらいやっていたりするので、もしかしたら通算200回くらいやっているのかもしれません。ということで、私の中ではもはや日常になっている朝ごはん会ですが、初めましての人も多いはずなので改めて紹介します。 いつやるのか  おおよそ月に3回くらいのペ

ゲストハウスとキャリアブレイク

 少し前のことになるが、キャリアブレイクについて語られていたオンラインのトークセッションを拝聴し、とても興味深かった。というのも、ゲストハウスに来る旅人のなかには、求職中、失業保険中、転職活動中、仕事を辞めてワーホリ準備中、休学中など長い人生のなかでちょっとした休息をとっている人がとても多い。  「仕事を辞める」という決断は、収入が途絶える不安はもちろんのこと、社会との接点が減ったり、親や周りに心配されたり…とネガティブに考えられることも多い。とは言え、ゲストハウスでは治外法

居場所作りに興味のある人、将来自分で場所を作りたい人、旅人とローカルを繋ぐ仕事がしたい人、町の入り口に興味のある人

 2~3ヶ月スタッフ募集をしている。切迫しているわけではないんだけれど、それでも週末なんかは「あぁ、もう一人いないとちょっときついよなぁ…」と。なんとかマンパワーで凌げているが、時間の問題かもしれない。 求人の仕方  今のところ、自社メディアでしか求人を出していない。1166バックパッカーズに興味を持っている人に働いてほしいから。公式サイトにはけっこう細かくこちらの姿勢やマッチングしやすいタイプのひとなど記載している。応募がたくさんあっても、そもそも根底が違うと話にならな