見出し画像

「ミノタウロス現象」を読んで

 突然ミノタウロスが出現し、人を襲うという現象が世界で起き始める。ただし、そのミノタウロスは、そこまで強くない。人が武器を持てば退治できるレベルである。だから、人は、ミノタウロスが出現するのは、自然災害の一つ程度にとらえ、普通の生活を送っている。
 こんな世界設定のなかで、ミノタウロスの出現に乗じた不可解な殺人事件が発生する。主人公は、25歳で当選した地方都市の元売れない女性ミュージシャンの市長である。
 表紙とタイトルを見たときには近未来SF小説かなと思ったが、突然ミノタウロスが出現するという設定が加えられた現実世界でのミステリー小説であった。
 ミノタウロスは、なぜ出現するのか?、出現する意味はあるのか?ということの解明と合わせて、殺人事件の謎が解かれていく。
 「どんな変な設定の現象であろうが、その現象が決まった理屈で作用するのであれば、論理的な展開を描くことが可能」ということを改めて教えられました。
 こんな本があるから、「適当にタイトルだけ見て適当に読む」ということが辞められません。『本は面白いなあ』と再確認しました。
 一風変わったミステリー小説を読みたい人にお勧めです。
9/16読了 出版:KADOKAWA 作者:潮谷験 タイトル:ミノタウロス現象

この記事が参加している募集