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starry eyes

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レビューです。心さらわれた書籍や映画などについて。一首評から歌集評まで、短歌にかかわるものも含みます。
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記事一覧

ナイジェリア文学という奇跡─『なにかが首のまわりに』を読む─

夫のガールフレンドのことを知らされているあいだ、ンケムは、居間のマントルピースに飾られた…

柴田 瞳
3年前
6

この世にあるほうの腕ー 山崎聡子『青い舌』を読むー

はじまりよ 子どもを胸に抱きながらサルビア燃える前世を捨てる なんて美しく、悲しい決意に…

柴田 瞳
3年前
8

中東の歌一首評(『中東短歌2』より)

たましひは冷え冷え昏くハマシーンをさまりし夜の露天喫茶に  加藤孝男 エジプトには、…

柴田 瞳
3年前
2

中島京子の本2冊

『東京観光』(集英社文庫) 七つの短編が収められた作品集。 視点はすべて成人女性であるが…

柴田 瞳
3年前
6

サブカルの雨に打たれて──『花束みたいな恋をした』に寄せるラブレターのようなもの

エアスポット的な時間を見つけて映画館に足を運ぶことにした。 『パラサイト 半地下の家族』以…

柴田 瞳
3年前
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年末年始の観た・観てない・観たい

年末年始も平時と変わらず子育てに明け暮れ、方々への義理立てで胃をきりきりさせ、時期ならで…

柴田 瞳
3年前
8

『すべて忘れてしまうから』を忘れない

断片的回顧録。 燃え殻氏によるこのエッセイは、そんなふうに名づけられている。 それならば言いたい。 なんて純度の高い、まばゆい断片たちなのだろう、と。 早朝のコンビニで出会う異国のアルバイト「ド」さんのこと。 「和製マイク・タイソン」たる不良の彼が、作者にかけてくれた恩情のこと。 テレクラで「あんたさ、つんく♂に似てる?」と言われ、「はい、似てます」と答えてみたら切られたこと。 最初の授業で「お前らの九割にロクな人生は待っていません。だからせめて健康でいような!」と半笑いで

まだ名前のない感情に出会う旅 ―山本文緒『自転しながら公転する』を読む―

前作『なぎさ』以来実に7年ぶりとなる山本文緒の小説が刊行された。 『自転しながら公転する…

柴田 瞳
4年前
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「勝手にふるえてろ」がすばらしい理由

どんな言葉も足りないや 足りても困っちゃうけどね /黒猫チェルシー「ベイビーユー」 いやあ…

柴田 瞳
4年前
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『ジェニーの記憶』の記憶

※決定的なネタバレはほぼありませんが、予備知識なしで鑑賞したい方はご遠慮ください Amazon…

柴田 瞳
4年前
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