ビジネス基本編:モノとお金とカウンセリングの関係:その③付加価値って何?
前回から引き続いているお題でもある、肝心のカウンセリングの代金。
結局いくらにしたらよいのか?というお話だが、その前にもう一つ考えてほしい。
QUESTION:あなたのカウンセリングにはいくらの価値があると思いますか?
これ、言われると結構痛い‥‥。
例えば、「1万はある!」とはっきり言える人は、それだけしっかり研鑽を積んできた人だと思うし、そういう人は即座に開業できるだろう。ちなみに、私は平均相場を言うタイプ(笑)。つまり5000円前後。
で、ここまでは経費の点から金額を算出するという観点で価格設定を考えていたけれど、今回はそうではない。
顧客の立場に立ってみた時、「自身のカウンセリングにはいくらお金を払ってもらえそうだろうか」と考えてみる。
これが顧客視点であり、CS(Custemer Satisfuction)、顧客満足度という視点からの考え方だ。
なぜならば、「なんでこの価格なんですか?安くなりませんか?」とCLさんに尋ねられた時、開業者にはその価格に対する説明責任が発生する。
その時、自身のカウンセリングの価値を説明できないでは商いとして成り立たない。
開業者の提供するカウンセリングはサービスだ。
そのサービスには必ず品質を伴う。
こうした点から、自身のカウンセリングを評価してみると、いくらなら払ってもらえるだろうか??
例えば、2つ前のnoteで書いた、コンビニとスタバのコーヒーを比較した例。
この両者の間には約190円の金額差がある。
そのnoteの中で「この金額の中には製品そのものの価値と、人的資源による付加価値=サービスの費用=無形財の費用が含まれている。」
と私は書いた。
今回考えて頂きたいのはまさにこの「付加価値」という部分である。
〇あなたのカウンセリングの付加価値とは何ぞや?
カウンセリングと一口に言っても、その対応幅は広い。
それを考えると、実は開業カウンセリングも色んな形態や、またカウンセラーの特異な領域、提供できる技術によって、カウンセリングを受けたいといっても色んな手法やカウンセラーが選べる。
その違いの中に付加価値はある。
私がこうした付加価値の説明の際によく使うのは、コーヒーの淹れ方の話だ。
スタバのコーヒーは基本的にはマシンドリップなので、例えば東京のスタバであっても、大阪のスタバであっても、店舗の差はあれど基本的には同じ味が出来上がる。
これに対して、サイフォンでたててくれるハンドドリップのコーヒーはどうだろう?
基本的にプロが入れてくださるコーヒーは同じ味、同じ質で提供されるが、気温や湿度などによって微妙に味は異なる。
でも、ハンドドリップされるコーヒーは一回一回コーヒーを抽出して下さる方の手間という付加価値がついている。
まさにオーダーメイド、「あなただけの一杯」だ。人の手間という、そして一つずつ手作りされる人件費とその手間にこそハンドドリップの付加価値がある。私たちは手間暇かけてと言われる、この手間という時間ごと、ハンドドリップのコーヒーの価値を買っている。
私たちの仕事はつねにこの「あなただけの一杯」、否、「あなただけの1時間」を提供をしている。
これぞまさに最大の付加価値だろう。
この1時間が1000円とか2000円で良いかと言われると、疑問が残る。
例えば、コンビニの深夜帯のアルバイト。高いところだと時給1100円がついていたりする。
この時給には「あなただけの~」なんて付加価値はない。
つまり、臨床の付加価値は意外と高いのだ。
と、いうわけで、付加価値とは意外と高いという前提に立つと、そこで考えたいのが、その他の付加価値としての技術料金である。
技術料には、いうまでもないが各カウンセラーが使う技法の料金が含まれる。各技法には研修を1-2日受ければその技法を使えるものから、〇年以上経験を積まないと、その技法を使えますと言ってはいけないものまで千差万別だ。
例えば、私が現在トライをしている某技法は、まず3か月弱の研修に週末ごとに通う。これがstage1。でその次の段階として、1年以上勉強を続けて、stage2の前日研修に参加が出来、最後は実務試験を受けてやっと資格をもらえる。そこまでたどり着くのに、ざーっと40万かかる…。
かと思えば、この技術の簡易版みたいなのがあって(詳しく書くと身バレしてしまうので、奥歯にモノが挟まった言い方になるが)、それは1週間の講習10万程度で〇〇療法講師とか書いていたりする。『おぉ、ちょっとどうなん、それ‥‥』って感じだが、顧客側から見た時、そんな差は一見では分からない。
でも、こうした〇〇療法講師とか〇〇協会認定〇〇カウンセラーとかって書いてあると、いかにもちゃんとしてそうな感じがする。
実はこういうのも付加価値の一部である。つまり、料金に反映されたりするということだ。
と、いう訳で、自身が付加価値を何に置くかで商品の金額は変わってくるのだ!!
それは経験年数もありだし、認定資格の数もあり、もしかしたら、有名大学院卒の肩書かもしれないし、有名カウンセリングセンター勤務や博士号の肩書でもいい。
付加価値は自身の見せたいもので付けることができる。
こうした付加価値の作り方をブランディングという。
と、いうわけで次回はブランディングのお話をしたい。ではではまた。
[あとがきにかえて]
きりん。は、とにかくコーヒーが好きだ。美味しい焙煎所が出来たと聞けば飛んでいく。コーヒーの落ちる音、立ち上る湯気のふわっと空気を温めていく感じ、少しずつ広がっていく豊かなコーヒーの香り。サイフォンだけをただ見つめている、時計の針が止まったかのようなあの時間ごと、コーヒーが好きなのだと思う。心理臨床はどこかコーヒーを丁寧に入れている時間と似ていると思う。どんな仕事にも共通点があり、尊敬すべき技がある。付加価値とは、こうした技のすばらしさにお金を払ってもらえることであると思うのだ。一杯のコーヒーが日常を豊かにしてくれるように、一時間の臨床面接がその人の人生を豊かにする。なんて素敵なんだろうと思いつつ、明日もまた面接室に座れることを願っている。
〇前回のブログ。補足しました(20/12/06)
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