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ビジネス基本編:モノとお金とカウンセリングの関係:その②開業経費と損益分岐点

前回のnoteの最後に皆様に出したお題。

Question:仮にあなたが開業をするとして、その金額はいくらに設定するでしょうか?

このQuestionを考えて頂けた方はいるだろうか。

きっと今このnoteを読んでくださった方は、前回の分も読んでくださった方なのだろうし、もしこの更新までの期間にこの問いについて、一人でも、ぼんやりとでも考えて頂けた人がいたなら心から嬉しく思う。

〇開業経費をどう扱うのか?

開業に際して、カウンセリング代金を考える時、実はその開業をする上でかかるお金が0円という訳にはいかないことが多い。

開業をするとき、本来は開業経費というものが必要になる。

開業経費はその方の開業規模によって大きく異なるが、ここでは共通するものをいくつかあげたい。

まず一番に考えるのは開業場所。対面面接をするかしないかで、かかる経費は異なる。最近ではリアル店舗を持たず、オンラインのみで行うカウンセラーも増えている。この場合、開業時に必要となる開業場所の契約金等は一切必要がない。
【注意Point】ちなみに、開業場所を賃貸で契約した場合、なんと保証金は経費にはできません!この保証金は税務上は資産になるので、その辺り誤解している人が多いと思うので要注意!このあたりの税務上の基礎知識に関して知りたい方はリクエストあればまたnoteに書きますよ♪

次に、開業にまつわる広告宣伝費
広告宣伝費ってイメージが一番つきにくいところもあると思うし、そんなのにお金をかけるの?っていう方もいるだろう。広告宣伝には、フライヤーや、ネット広告などの大きいものもあれば、自身が開業したお店の開業のお知らせのはがき、普段使用する名刺なども含まれる。
ちなみに、この業界で一番確かな宣伝方法は口コミな気がするが、そのコネがないと使えない広報の仕方でもある…。コネはほんとに大事です。コネは大事。

次は什器や備品など、相談室に必要な一切合切の設備費
たとえば、机やソファーなどの什器、オンライン相談では必須のPCやタブレット、またネット回線などの通信設備費。細かいところで行けば、契約書を印刷するための紙代、筆記用具などの文具代、待合室に書籍を置くなら書籍代もいるし、空間づくりのための観葉植物なんかも代金に含まれてくる。

〇カウンセリング代金を設定することの意味と責任を考える

ざーっと計算して、ここまででどの程度のお金をあなたは用意するつもりがあるのだろうか。

これまで開業をしたいと言っている方に数多く出会ったが、心理職の開業で一番ネックになるのはこの開業準備金が用意できないという困りごとが多い気がしている。なんせそもそもの平均年収が低すぎて、普段の生活でかつかつって人が大半な業界だ。いや、もちろんきりん。もその中に一人ですけれども。

いきなり法人を立ち上げるのであれば、銀行に融資を求めることもできるが、そもそも融資が下りる事業ができるためには、借主の付加価値として、それなりのキャリアと社会的価値が必要になる。
この辺りはまた後日詳しくきりん。の経験したお金の借り方をnoteで書こうと思う…。

話は戻るが、この開業費を回収するにはどの程度、月額収入で見込めたら回収できるだろうか。当たり前の話だけれども、開業するのにかかったお金は回収せねばならない。回収できない場合はそもそもビジネスとして成り立っていないという事になる。つまり、赤字経営って事だ。

心理職で開業を目指す人の根本には、「困っている人の役に立てる場所を作りたい」という臨床家の熱意があることが多いように思う。
この姿勢はすばらしく、だからこそ開業する価値もあるってものだが、少し冷静に考えてみてほしい。

仮に皆さんが、どこかの病院でもセンターでもいい。通所しているとしよう。なんらかのきっかけで、どうやらそこが赤字経営っぽい雰囲気を感じたとする。あなたは不安にならないだろうか?

私なら、たぶん「え、このセンターつぶれないよね?大丈夫?」と思うだろうし、今まで自身が頼ってきた場所がなくなる不安に駆られる気がする。その相談者の方がお金に余裕がありちょっと応援気質のある方だったりすると、「治療費大目に払ってあげようかな…」なんて余計な負担をかけないとも限らない。まぁ、あんまりないケースかもしれないが…。

と、いうわけで、カウンセリングセンターを運営するには、それを続けていくための収入が必要不可欠であり、また開業時にかかった経費を回収できないなんてことは、ありえない話でもある。これは相談に来てくれた人を大切にし続けていくための、開業者の責任でもある。ここを軽視すると、開業をすることで誰かを助けたいという心理職としての大切な思いがマイナスの方向に動いてしまうように思う。

つまり、「カウンセリングの代金をいくらに設定するのか?」という問いは、シンプルな問いだが、そんなすぐ答えが出るような単純な問いでもないし、考えなければならないことが実は山ほどあるのだ。

こんな時、経営を円滑に運営をしていくために、まずは検討をお勧めしたいのが「損益分岐点」という考え方である。

〇損益分岐点を検討しよう

多分、心理が専門の方は初めてこんな言葉を聞いたよ!って方も多いと思うので、ちょいと説明。

損益分岐点(BEP : break-even point)とは、相談室の運営のために係る費用をどの程度収益でカバーできて、そして、損益が「0」になった時、これ以降は利益が出るよという全体の売上(収入)金額のことをいう。

ここだけ読んで、「は?」となった方も多いと思うので、以下に図解したい。

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収入を得るためには、まず最低限必要な経費というものがある。それに対して、労働をすると対価が支払われる。これが収入となる。

本来経営をするときは、この絵のように最低でも必要経費に対して収入がイコールにならないと、経営は赤字となってしまう。この必要経費=収入となった状態が、損益が「0」になった状態という。

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この上の図のように必要経費>収入となっているのはすなわち赤字経営であることを示している。この前月の赤字の補填が重なるとセンターを閉めざるを得なくなって、相談者さんの力にもなれないことに‥‥。悲しいね。

というわけで、損益分岐点とは必要経費<収入の状態に持ち込める収入金額っていくらなのかを考えるための大事なポイントなのである!!

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目指すべきは黒字化であり、それがあってこそセンター運営は可能になるし、クライエントに対しての責任も十二分に果たせているといえるだろう。

と、いうわけで、カウンセリング代金を決める時の目安に、この損益分岐点をきちんと計算してみたか?というのは大切な点だと思っている。

その上で、カウンセリング代金を決める際に次に検討をするのは、自身のカウンセリングの付加価値なのだが、今日はとりあえず、この辺で。


今日のまとめ:損益分岐点を計算せよ!





【あとがきにかえて】先日きりん。がこのnoteを書き始めたことを、一部のリアルな人間関係の中で話してみた。反応は様々だ。だが、バイザーに話した折の反応が心にしみた。「きりん。は面白いよねぇ。あなたがそうやって楽しんで喜んで人のためにできることをあなた全部で考えてる。それは臨床家だよね」と。私に限らず、人に貢献したいという思いはどんな形であれ尊いものだと思う。恩師の言葉からはそんな信念が見えた気がする。

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