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何がムダか理解できていますか?

ムダはどこにでもある。
読まれない本、冷蔵庫の奥の期限切れ食品、無意味に眺めるスマホ。
見つけるたびに損をした気分になるが、本当にムダは悪いものなのか?

『この世からすべてのムダが消えたなら』を読んで、ムダの定義がいかに曖昧で、状況や価値観によって変わるものなのかを考えさせられた。

ムダをなくすためにリサイクルや節約が推奨されるが、
究極のエコは「何もしないこと」。
しかし、そんな暮らしが楽しいとは限らない。

賞味期限は消費者だけでなく、生産者の利益のためにも設定されている。
僕たちは自分の舌ではなく、数字を信じて食べ物を捨てる。でも、本当にムダなのは、それを判断する力を失うことではないか?

興味深かったのは「ムダから生まれる価値」の話だ。
売れ残ったトルティーヤチップスがドリトスになるように、ムダが新しいものを生み出すこともある。陶芸家が作品を割るのは「美意識」として受け入れられるのに、食品を捨てると「もったいない」と感じるのは、価値観の違いによるものだろう。

結局、ムダをなくすには価値観と行動のズレを減らすしかない。
安さにつられて買ったものはムダになりやすいが、本当に必要だと思って買ったものなら、たとえ使わなくても後悔はしない。ムダを否定せず、どう活かすかを考えることが大切だ。

そもそも、ムダが存在するのは、この世界が有限だからだ。
無限の時間や資源があれば、ムダという概念すら生まれない。
ならば、ムダと向き合い、うまく付き合っていくほうが健全なのかもしれない。

ムダとは何なのか、正しいムダ感を育める本だった。


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