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哲学者ヤナセの正義について


7割の子供はアンパンマンを一度は通る。
僕は一度も通らなった。
母曰く僕はアニメは見ずにずっと石を積み上げては崩していたとのこと。

アンパンマンを通らなかったことがわりとコンプレックスだった。
姪っ子はアンパンマンが大好き。
姪っ子になんで好きなん?と聞くと
「だって優しいしかっこいいんだよ。知らないの?」
と叱られた。

今からアンパンマンを全話見る勇気はなかったのでアンパンマンの遺書 を読んだ。


本人が書かれているので文体も優しく読みやすい。
柔らかく、ただどこか哲学的な言い回しの文に、手を休ませない魔力が宿る。
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本当の正義とは

本の結構序盤でミソの部分が登場する。
この部分だけでこの本を語れるレベル。

正義は或る日突然逆転する。
正義は信じがたい。
逆転しない正義とは愛と献身だ。
それも決して大げさなことではなく、目の前で餓死しそうな人がいるとすれば、その人に一片のパンを与えること。


やなせさんが徴兵、戦争を経験されたことにより、揺るぎない戦後の思想の基本となった。

正義は或る日突然逆転する。衝撃的な言葉である。
この正義への考え、どこかで聞いたことないだろうか。

ワンピースの作者 尾田栄一郎さんもアンパンマンにかなり影響を受けているとのこと。

この言葉を聞いた時、真っ先にドフラミンゴが脳裏に浮かんだ。


当たり前に使っていた正義という言葉を考え直す良い機会になった。

「あなたにとって逆転しない正義とは何ですか?」

‥‥‥




大丈夫です。
僕も全く出てきません。
これからゆっくり考えていきましょう。


ほんとうの正義というものは、けっしてかっこいいものではないし、そして、そのためにかならず自分も深く傷つくものです。

アンパンマンの見る目が変わってます。
正義を軽視していました。すみませんやなせさん。
アンパンマンの顔を分け与える描写には、こんな深い正義論があったんですね。

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本当はもっと書く予定でしたが、めちゃくちゃ長くなるのでアンパンマンのマーチを軽く考察して終わります。

これはやなせさんの正義論と22歳の若さで戦死した弟への気持ちが含まれていると感じた。

そうだ うれしいんだ いきるよろこび
たとえ むねのきずがいたんでも

わすれないでゆめを こぼさないでなみだ
だから きみはとぶんだどこまでも

この部分にやなせさんの正義論を感じた。

いまをいきることで あついこころもえる
だから きみはいくんだほほえんで

ときははやくすぎる ひかるほしはきえる
だから きみはいくんだほほえんで

ここに特攻に志願し亡くなった弟への気持ちが出ていると感じた。

まとめーーーーーーーーーーーーーー

逆転しない正義とは愛と献身。
古典に書いてそうな内容がまさかこの本で出会えるとは驚き。

僕は愛と献身を【自己犠牲を厭わない持続的な愛の実践】と捉えた。

やなせさんはアンパンマンを自分であり、子供のようなものと言われている。
自分の哲学を表現した作品がアンパンマンなのだ。
古典が今も読まれるようにアンパンマンも未だに見続けられている。

姪っ子の
「だって優しいしかっこいいんだよ。知らないの?」

優しいが先に来ているのがアンパンマンの真の魅力なんだなと納得した。

アラサーですがお盆は姪っ子とアンパンマンを正座して見ようと思います。


以上です。


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