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「立ち位置を変える」ことの効用

私の今のところ一冊しかない本、『多文化マインド』では、「立ち位置を変える」ということについてかなり書いていると思います。
これを強く感じたのは、10年近く前小笠原諸島に旅行に行ったときでした。なんとなく島旅を考えていたのでしょうか。(そう言えばその前年も奄美大島に行っていました。)ある意味発作的に、ある旅行サイトでまず宿を予約することができ、その後東京都離島フェアみたいのがあり(「島じまん」)、船旅も予約して実現しました(通常はもうちょっとシステマティックに予約などをしますが、だいたいが宿と交通が取れれば、行けてしまう感じです。)
私はだいたい、旅先で現地についての本を探しますが、このときも宿にあった本や、現地の生協で売っていた本が「手がかり」となりました。小笠原の暮らしや歴史について知るにつれ、「海から見た世界」や「海から見た日本」を意識するようになったのです。
日本に大航海時代的なことがなかったのは、損失だったのかもしれません。戦国時代にはそのような気配がありながら、江戸時代に入ってから鎖国してしまったので。ですがご存知の通り、鎖国中もまったく外国の情報が入ってこなかった訳ではありませんでした。
「海からの視点」のようなものを持ったとしても、父島にいたのは1週間足らずでしたし、またそのようなブームもいずれ落ち着いてしまいました。ですが今でも思い出すと「その視点」や「感覚」は残ってはいます。
小笠原旅行以前にも、アメリカ(ニューヨーク)に長くいたので、「別の視点」は持っていたのですが、ある意味東京もニューヨークも大都会なので、あまり変わらないところもあったのかもしれません。

立ち位置や視点を変えると、それまで持っていたシステムをある意味解体して組み直すことになります。人生のさまざまな節目で、私たちはそのようなチャンスを与えられていますが、それをあまりチャンスとして生かさないこともあります。
たとえば学生から社会人になるとき。今では、即戦力の養成が優先されているのでそうでもないかもしれませんが、やはりただ学んでいることと、社会でコストや諸々の現実の絡んだ実戦に揉まれることの間には落差があります。
たとえば子どもが生まれたとき。これまで世話される、保護される側だったのが逆の立場になります。子育てを順調に行うためには、ある程度自分自身の親との葛藤が落ち着いていることが必要かとも思いますが、その大変さやリワードを知ることにより、確実にその人の器は大きくなります。大変さばかり強調され、子育て経験のプラス面があまり理解されていないのは残念に思います。
定年や退職も同じような「立ち位置が変わる」タイミングでしょう(まだ経験していませんが)。アスリートで言えば、それまで戦力だったのが戦力外通告を受けるようなものです。社会の中心と言うよりはやや横にどいて見守るような位置に、立ち位置が変わるのかもしれません。
とは言え人生100年時代、生涯現役のような人も多いですしこれからも増えていくのでしょう。

このような時期は、すべて成長のための原動力となり得ます。しかし変化というのは曲者で、変化に柔軟に対応していけないとするとむしろ成長が阻まれてしまいます。それは人であれ組織であれそうでしょう。視点や立ち位置を変えるエクササイズ(いろいろありますが、今回書いた旅もですが、本を読んだり映画を観たり、属性の違う人と話してみたり、などがあるかと思います)を積んでいることにより、自分に実際にそういうことが起こったときにも、柔軟に対応していくことができるでしょう。
脳科学的には、脳の柔軟性・可塑性を保っていくためにはマイルドに不快な経験をした方がいいとのことです。快適・心地よいばかり求めるのではなく、上記のような「違ったものに触れてみる」ことも大なり小なり不快(や不安)を伴い、脳の可塑性のために良いようです。家事や生活習慣など、ちょっとした身近なことでも良いようなので、できるところからやってみたいですね。

(『多文化マインド』はオンデマンド出版なので、アマゾンから入手可能です✨)
(写真:「ボニンブルー」と呼ばれる小笠原の海の色。)

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