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かませDJ!?不登校のメロディーは、転調が魅力
〜「Swichー!」〜
YouTubeの音楽解説動画で、曲が転調するたびに興奮して叫ぶDJ PATRICK MORDIさん。
彼のリアクションを見ていると、音楽に詳しくない私でも「えっ、今の何がすごかったの!?」と気になり、一緒に「オー!」と感心してしまいます。
彼が取り上げるのは、YOASOBIの『アイドル』や椎名林檎の『本能』など、日本でもおなじみの曲。
バックで流れるドラムやベース、ほんのわずかな変化も見逃さず、「Oh!Swich!」と曲を止めて解説する姿に、プロの耳の鋭さを感じます。
こうして、知っているはずの曲に新たな魅力を発見するのです。
そして、ふと気づきました。
この「Swich!」という言葉、不登校にもすごく当てはまるな、と。
不登校という名の転調
思春期は、まるで曲の転調のようなもの。
ある日突然、明るいメロディーがダークに変わることがあります。
「ごめんママ! もう♪クラリネットこわしちゃった♪じゃ盛り上がれないんだよ〜!」
子どもの心の中で、そんな声が響いているのかもしれません。
この時期には「春を想う」ような変化が訪れます。
思春期には3つの「春」があると感じます。
身体的春 ー 成長による体の変化や性への興味
恋愛的春 ー 異性への関心や、自分をよりよく見せたいという気持ち
将来の夢的春 ー 自分の夢と現実のギャップをどう埋めるかの模索
この変化の中で、親はつい「もっと勉強に集中してほしい」と願います。
でも、子どもにとってはもう「耳タコ!」なのです。
例えば、『アイドル』の曲調を思い出してください。
冒頭の「♪究極のアイドル!」は、子どもがまっすぐに育っていた時期。
ところが途中で転調し、「♪妬み嫉妬なんて無い訳が無い〜」とダークなラップ調に変わる。
この変化に惹かれ、何度も聴きたくなるのが思春期の特徴なのです。
「もう聞き飽きた!」のサイン
子どもの中では、もう『アンパンマンのマーチ』も『クラリネットこわしちゃった』も流行っていません。
代わりにAdoの『うっせぇわ』や米津玄師の『KICK BACK』のような、社会の矛盾を感じさせる曲が心に響く時期。
それを「ただの反抗期」と片付けてしまうのはもったいない。
実は、この時期の不登校は「根を張る時間」とも言えます。
幼い頃は目に見える成長(テストの点や運動の記録)が嬉しく、親子の関係もスムーズでした。
でも14歳を過ぎると、見えない部分の成長(心の葛藤や価値観の変化)が重要になり、外に向かっていたエネルギーが内側に向かうこともあるのです。
だから、不登校という転調が起きても、「この先、もっと深みのあるメロディーが生まれるのかもしれない」と思ってみてはどうでしょう?
転調の先にあるもの
DJ PATRICK MORDIさんの「Swich!」は、曲のクライマックスへの合図。
同じように、思春期の転調も、人生のクライマックスへと続く大切な変化なのかもしれません。
信じて、期待してみませんか?