読書メモ『阿Q正伝』

青空文庫で読んだ『阿Q正伝』の読書メモです。ネタバレ注意。

・主人公は阿Qということになっているけど、読んでいるとどうも最近のネットスラングで言うような「底辺」同士の叩き合いを見ているような気分になる。人を見下したり一目置いたりがどちらに転んでも安易。

・人が出会えばケンカして軽々しく暴力が振るわれる様子、なんとも中世的だ。

・上下関係が強かったり封建的な社会でも上に立つにはそれなりの徳、あるいは才がないと、土地とかお金があるだけでは続かないのではと思うのだけど、それを維持するためには結局教育なのかもしれない。しかしそれも多分革命でガラガラポンになってしまうという……。

・阿Qは愚か者で見下されているのにプライドばかり高い、という風に解釈されているようだけど、そうでもしないと人は生きていけないのでは。心理的な防衛反応というか、彼がそうなるのはむしろ自然な成り行きのように思える。彼がもし謙虚に思慮深く生きるにしても、未荘という農村はそれに見合う社会ではないよなあ。相手が自分より劣ると見るやケンカをふっかける阿Qも阿Qだが、警察のお世話になったら謝礼金を払わなくちゃいけない社会、なんたるディストピア。

・翻って、現代に生きていてもプライドばかり高くて……とならないように自戒。（と言い訳を記しておく。）

・時代背景となっている辛亥革命を調べたい。好きな映画『覇王別姫』の時代背景でもある。

・出版された本だと新しい訳だったり解説もあったりするので、またそちらでも読みたい。

故郷/阿Q正伝 (光文社古典新訳文庫 Aロ 5-1)

故郷／阿Q正伝 （光文社古典新訳文庫） [ 魯迅 ]