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続かない人のための、マイプロジェクトの「続け方」

こんにちは、発明家の高橋鴻介です。
普段は主にコミュニケーションにまつわるものを発明しています。
自己紹介は以下にまとめているので、よかったら読んでください。

自分の活動は、基本的にマイプロジェクトとして始めることが多いのですが、様々なマイプロジェクトを立ち上げてきた中で、それを「続ける」ことの難しさに直面してきました。このnoteではその難しさをどう乗り越えるかについて書きたいと思います。

👋 このnoteはどんな人のためのものか
・マイプロジェクトを始めてみたけど、うまく続かない人
・研究で論文を書いてるけど、うまく続けられない学生・研究者
・新しい事業を始めようと頑張ってるけど、うまく続かない会社
・つまり、プロジェクトの「続け方」や「モチベーション」に課題を感じている人たち

💡 忙しい人のためのヒント
この記事はちょっと長めです。なので青色のスライド「チートシート」を随所に入れています。それだけ読めば、なんとなくこの記事で言いたいことがわかるようになっています。忙しい方はサラッと画像を追ってみてください。

発明家として、ここ8年くらい、様々なマイプロジェクトを立ち上げてきました。マイプロジェクトの良さは、自分のやってみたいことを、やってみたい人と、やってみたいようにできること。それができるようになって、人生がとても楽しくなりました。

年を経るごとにやってみたいことは増えつづけて、また今年も懲りずに新しいプロジェクトを始めてみたりしています。

自主プロジェクトの例:小さなボードゲームから、区役所のサイン計画まで

もちろん、プロジェクトの中には、お金になっているものもあれば、そうでないものも。でも、社会に対して少しづつインパクトを残しながら、モチベーションも比較的高く、立ち上げたプロジェクトを継続できている気がしています。

そんな中、よく聞かれるのは「どうやってマイプロジェクトを、続けてるんですか?」ということ。

意外とマイプロジェクトをやってみたい人は多いようで、自分なりにテーマを決めてみたりするものの、続かなくて悩んでいるという声をよく聞きます。

たしかに調べてみると、プロジェクトの「はじめ方」についての記事はたくさんあるのに、意外と「続け方」についての記事はあまりありませんでした。なので今回は、普段自分が実践しているプロジェクトの「続け方」について書いてみようと思います。

マイプロジェクトはなぜ難しいのか?

思い返せば、自分は、自主的にテーマを決めて、プロジェクトを継続して推進することが苦手でした。

学生時代は、課題制作をやったり、論文を書くのに、トレンドのテーマを選んでみたりするものの「なんか違うな……」と感じて、途中で失速することもしばしば。
テーマのある課題や、人に頼まれたことは続くのに、自分のプロジェクトとなると続かない。「自分には、やりたいことなんてないんだ……」と、劣等感を感じる日々でした。

でも、いま考えればわかります。頼まれた仕事のプロジェクトと、マイプロジェクトは性質が全く異なる、と。

頼まれた仕事は「ファスト」なプロジェクト
目標、締切、予算といった制約が設定され、その中で要素をパズルのように組み合わせて進んでいきます。そして制約の中で、最大限の結果を、最速で出すことが成果になります。

それに対して、マイプロジェクトは「スロー」なプロジェクト
自分のプロジェクトゆえ、目標も、締切も、予算も決まっていません。
すぐ成果が出るものではないし、そもそも成果が何なのかすら分からないことも多い。そんな中で、その曖昧さを許容しながらじりじりとゆっくり前に進む必要があります。

つまり、色んなことが曖昧な中で、前に進むモチベーションを自分で保つ必要があるから、マイプロジェクトは難しいのです。

マイプロジェクトは「育てる」という意識で。

そこで僕は、マイプロジェクトのモチベーションを「成果を出す」ことではなく、「育てる」ことに向けることにしています。

仕事のように明快に定義された目的と違って、自分の興味や目的はどんどん変わります。もしかしたら、自分の興味すらわからない人がほとんどかもしれません(少なくとも、僕はそうでした)

だからこそ、マイプロジェクトは「育てる」感覚でつくっていく。
種に水をやり、花が咲くまでお世話して育てるように、自分のプロジェクトに少しずつ水をやり、お世話をする。すると、自分の興味や目的がだんだん明快になっていき、きちんと育って成果が出てきます。

もちろん育てるときには「待つ」ということも必要です。
四六時中、お世話をしていては、自分が疲れてしまう。
適度に待つことで、プロジェクトが自然と育つこともあると思います。

僕たちは非合理な生き物だから、目的も興味も、移り変わる。
プロジェクトが進まないときは進まないし、進む時は進む。
だから、その曖昧さと変化を許容し、少しずつ着実に「育てる」
花を愛でるみたいに、ちょっとの成長を喜ぶ

つまり、短期の成果から、長期の成長へ。
そんな意識でやるほうが、マイプロジェクトは続くと思っています。

マイプロジェクトを続けるための、2つの育て方。

とはいえ、花に水をやらないと枯れてしまうように、プロジェクトも、停滞させすぎると枯れてしまいます
では、どのように育てていくのがよいのでしょうか。

そこには、2つポイントがあると思います。それは、自分の中のテーマを徐々に明快にしていくことと、それに対するアイデアを少しずつ探していくこと。つまり、「テーマを育てる」ことと「アイデアを育てる」こと。

この両輪をうまく意識できれば、マイプロジェクトは、うまく続いていくんじゃないかとおもっています。

ここからは、テーマとアイデアの具体的な育て方について紹介します。

①テーマの育て方:自分を研究する

テーマとは、プロジェクトの起点
ここでモチベーションの9割は決まると言っていいでしょう。

でも、「テーマ決め」が一番の鬼門だったりしますよね。
「自分のやりたいことってなんだろう…」という深遠な問いに巻き込まれて、いつの間にかやる気を失ってしまいがち。

ここで、先ほどのマインドセットが生きてきます。
テーマは「決める」のではなく、曖昧なまま「育てる」。

ではどう育てるか。その答えは「自分を研究する」ことだと思っています。
なぜなら、マイプロジェクトにおいては、自分が唯一のオーナーであり、
同時に、自分という存在こそが、オリジナリティの塊だから。
自分自身を深掘りすることで、他でもない自分がやる意味のある、オリジナルなテーマが育っていきます。

そのために、1つオススメの習慣を紹介します。
それは「自分研究ノートをつける」ことです。

自分研究ノートとは、「自分ってこんなことに興味あったんだ」に気づくためのノートのこと。ノートのつけ方のルールは1つ、「自分が気になるものを1日1つ集める」

自分研究ノートの例:好きなもの、こと、ことばをメモアプリにつらつらと。

このときの「気になる」は、もちろん色々ありますが、
大事なのは主語を自分にして選ぶことだと思っています。

「〇〇が流行っているから…」
「〇〇が評価されているから…」
「〇〇が良いって言われたから…」

といった他者からの評価を理由に集めるのではなく、

「(自分が)〇〇が好きだなあ…」
「(自分が)〇〇に違和感があるなあ…」
「(自分が)〇〇に共感するなあ…」

というふうに、自分の心の動きを中心にして考えると、良いテーマにたどり着きやすいと思います。

もちろん、ノートだからといって紙のノートに書く必要はありません。アプリを使ってもいいし、適当な紙に残しておくでも。とにかく見返せるような状態で保存することを心がけましょう。

僕の場合は、

・人の話を聞いたりして、自分が気になったことはiPhoneの『メモ』に。
・生活の中で見つけた面白いものや、風景の画像は『mymind』に。
・本の文章で気に入った一節は『biblog(※)』に。

※biblogは現在自分が開発している言葉のコレクションアプリ。リリース間近なので、乞うご期待!

それぞれ保存することにしています。

みつけた面白いもので画像やWEBのものも保存。
「ここがおもしろかった!」というポイントをメモしておくと、あとから思い出しやすい。

この習慣を1ヶ月ほど続けてから、ノートを見返すと、自分の気になっていることが可視化され、自分の興味や、好きなもの、好奇心が向いている方向が見えてきます。そして、それをまとめることで、自分がやる意味のある、オリジナルなテーマが形作られていきます。

基本的に、やることはこれだけ

こんな感じで、自分が面白いと思うものの共通点や方向性をみつけたら、それがテーマに。

もちろん、どのテーマから芽が出るかわからないので、僕は、生まれてきたテーマを捨てないで、たくさん持っている状態にしています。

ここで大切なのは、自分のテーマに自覚的になること。
それができているとタイミングが来たときに、モチベーションの高いプロジェクトが生まれるはずです。

ここについては次の項で解説します。

②アイデアの育て方:タイミングを待つ

テーマがぼんやりとでも見え始めると、それを実現するアイデアが欲しくなってくると思います。しかし、最初から斬新なコンセプトや、素晴らしいアイデアを思いつくことは、かなり稀です。なので、アイデアも決めきらず、生煮えのアイデアをたくさん持ち、少しずつ育てていきます。

ここでは「タイミングを待つ」ということが大事だと思っています。

「えーっ!ここまで読んできたのに、タイミングだなんて……」
と思うかもしれませんが、それには理由が。
先程の図を思い出してみましょう。この2つは掛け算なのが肝。

①で、テーマを育ててきたことがここで生きてくる。
テーマが全く育っていない場合。

どんなアイデアが来ても、何も生まれない。
でも、もしテーマがたくさん育っていたら、ちょっとしたアイデアでも、大きなプロジェクトになるかもしれません。

例えば、自分の発明品にBraille Neue(ブレイルノイエ)というものがあります。点字と文字を組み合わせた、目が見える人も見えない人も、同じ場所で読める書体です。

実は、この書体のアイデアは、「書体が好き!」という自分が、点字を使っている視覚障がい者の友人と偶然出会ったことで、「点字を読んでみたい!同じ文字だし、書体でなにかできないか?」と思ったところから生まれたアイデアです。

話を聞くまで点字に興味がなかったけれど、テーマを育てておくと、こういったときにふと好奇心が発火して、アイデアが生まれたり、仲間が増えたりするのが面白いですよね。

このように、自分の中でテーマを育て、興味や好きなものに自覚的になっておくことで、偶然のタイミングを掴みやすくなります。

なので、タイミングをうまく見つけられるようになると、プロジェクトが加速するはず。以下に、僕なりに発見した、アイデアが生まれたり、育ったりするタイミングの一例を書いておきます。

A.出会い👫
例えば、人との出会い。

テーマに共感してくれる仲間が見つかった!
違和感を共有できる人が見つかった!
自分だけの課題と思っていたことが、みんなの課題だった!

自分の興味について積極的に口に出しておくと、このタイミングが生まれやすい。人との共感や共有から、アイデアが見つかる事は多いのはもちろん、
そこからプロジェクトをともに進める仲間になってもらえることもあります。

B.チャンス✨
例えば、チャンスがきたとき。

予算がつく!
締切が決まる!
展示の機会がある!

そんな制約があるときは、良いタイミング。自分のテーマと掛け合わせて、こじつけると意外とアイデアが生まれやすい。
あと、チャンスは結構検索したら載っています。展示会のポスター、コンペのチラシ、社内掲示板の公募などをチェックするだけで、たくさん見つかったりします。

C.発見💡
例えば、発見があったとき。

すごい!
知らなかった!
実はそうだったとは!

驚きとは、心動かされるタイミング
なので、発見そのものが、そのままアイデアの種になることが多いです。
偶然の発見は忘れがちなので、メモする習慣をつけておくとよいでしょう。

締切のないマイプロジェクトだからこそ、焦らずじっくりとタイミングを待つこと。一見運のようにも見えるけど、きっと運がいい人はテーマがしっかり育っていて、そのタイミングをつかむ準備ができているのだとおもいます。

テーマを育てておくと、アイデアが向こうから飛び込んでくる感覚があるはず。僕はこの「育て方」を知ってから、日々の生活は出会いや、チャンス、発見に満ちていると気づき、人生が格段に楽しくなりました。

このように、ちょっとずつテーマとアイデアを育てていくことで、プロジェクトも大きくなっていきます

「続く」ことが、次の社会をつくる

今まで紹介してきたのは、
「自分研究でテーマを育てながら、アイデアが育つタイミングを待つ。」
という、僕個人のマイプロジェクトの続け方。

そして同時に「自分のやりたいことはなにか?」という問いに対し、曖昧な中を進みながら、解を見つけていく取り組みでもあります。もしかしたら、紹介した2つの「育て方」を実践することが、自分のやりたいことに気づく助けになるかもしれません。

もちろん、テーマとアイデア、それぞれの育て方は人によって違うと思っています。例えば、発明家の僕なりに、この式をブレイクダウンしてみると、以下のようになります。

これは、自分の好奇心のない発明はしない、ということでもあるし、好奇心があっても、出会いやチャンス、発見が足りないときは、あえて「待つ」ということでもあります。このように、このフォーマットはプロジェクトを進めるときの指針としても機能します。

もしかしたら、好奇心ではない他の要素が、テーマを育てる種になる人もいるかも知れません。もしくは、今回紹介した3つ以外のタイミングで、アイデアが育つ人もいるかも知れません。きっと人によって、自分なりのテーマの育て方や、アイデアが育つ最適なタイミングがあるはずなので、もし見つけたらTwitterなどで教えてください。ぜひ今後の参考させていただきたいとおもっています。

プロジェクトは、始めることよりも、続けることにこそ価値があると、僕は思います。もしかしたら、どんなに小さいプロジェクトでも、続けることで社会が変わるかもしれない。

だから、この記事を読んで、1人でも自分のプロジェクトを続けていく人が増えたら嬉しいと思っています。
きっと、誰かが続けていったことが、次の社会を作っていくはずだから。

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