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モノカキングダム過剰考察
審査期間も終わったので、書いちゃいます~(笑)
先日、M-1グランプリがありましたね。
自分はまだちゃんと見ていないのですが、時間のあるときに録画を見て楽しみたいと思います。
令和ロマンが二連覇みたいですね。すごいです(結果だけ先に聞いちゃうタイプ)。
そんな令和ロマン高比良くるまさんの本が話題なので読んでいます。読んでみた限り、まあたぶん分析中毒ですねこの人は(笑)
12月はモノカキングダム2024ということばと広告さん主催の企画コンテストがありました。
題して、note界のMー1、ごちゃごちゃ言わんと誰が一番ええ記事書くか決めたらええんや!ということで、興味を持ち、私も参加させていただきました。
結果発表は明日です。
ことばと広告さんありがとうございました。
審査する前にとりあえず全部じっくり読むことにしました
このコンテストの特長は、参加者が同時に審査員もやるということ、自分以外の作品に2票投票して決めます。
作品数は、128点。参加者は、これを読んで審査をします。
ということで読むのは、自分のもの以外の127点。正直読むだけでも結構大変です。
できる限りフラットに読みたいと思って、最初は、投稿があってもなるべく読まずに、12月13日頃からマガジンの最初から順番に読み始めました。
最初は、ざっと読んである程度絞ってから、厳選したものを読む方針にしようと思っていました。しかし、最初の数作品を見た時点で、方針を変えることにしました。
「まずは、絞らずに全部読み込もう」
どの作品も明らかに意図がありました。これは、ざっと読みだとその意図を取りこぼしてしまう。それはあまりにももったいなさすぎる。そのため、最初は絞るという考えや他の作品と優劣を比較するという考えはいったん捨て、とりあえずその作品を「読み込む」ということに注力することにしました。
コメントを書くことも最初迷いました。自分は「全部書く」か「全部書かない」かのどちらかにしようと。ただ、作品の意図を汲み取っていただいて、リアクションがあると書き手はめちゃくちゃうれしいはず。なぜなら自分もそうだったから。特に、こういうコンテストに記事を出すって結構勇気がいる。それで勇気を出して投稿した作品。だから、リアクションがあった方がたぶん他の人も嬉しいだろうと(勝手に)考えました。そして、コメントするタイミング。これも迷いましたが、自分は審査の頭に切り替える前に全部書くことにしました。
逆に、頭が審査するほうに切り替わったら、せっかく読んでいるのに落とすことや他の作品との比較をどうしても考えてしまう。そうするとその作品のマイナスの部分がどうしても頭をよぎってしまう。そうではない読み方で最初に読んだ状態で、リアクションを残させていただこうと思いました。
そうして、結局一番大変なやり方を選択してしまったのですが、いったん審査思考抜きで全作品を読ませていただいて、分かった気づきがたくさんありました。心情的にも技術的にも。
さらにいうと、コメントを書いてまたそれに対するリアクションがあるとうれしかったりします。こいつコメントばっかしてるなと思った方もいたとおもいますが、その節はありがとうございました。
ということで、こんな過程で分析して得た、その気づきをここで書いてみようと思います。
ただここでも迷いが。こんなXがありました。
毎年、SNSを一億総評論家にしてしまうM-1現象がイマイチわからなくて、令和ロマンの髙比良くるま氏がM1直前に書いた『漫才過剰考察』を読んだ。その中に分析が当たり前になりすぎて「もはやお笑い学会と化した客席」に対して、シンプルに面白がってもらえるように「ダラダラ喋りながらこっそり生徒から… pic.twitter.com/etj3njW2hD
— 明石ガクト / ONE MEDIA (@gakuto_akashi) December 23, 2024
純粋に楽しめるはずの文章が、あんまりにも分析をしすぎて、学会みたいになるのも良くないんじゃないか、それじゃあ純粋に楽しめなくなっちゃうかも。
ということで、ここから先は、興味のある方だけ進んでいってください。まだ、純粋に楽しみたい方はここで進むのをやめておいてください(笑)有料にしようかなとも思いましたが、完全に人様の企画に乗っかりなので、無料にいたします。
前置きがかなり長くなりましたが、自分はひととおり、楽しみ味わい尽くしたので、こっから先は、脳みそ切り替え。素直に好きと言えず、推しも作れずに、分析と解釈に入ってこねくり回したことを言おうとしがちな(そしてたまに自分でも何を言っているのかわからなくなる)lionの過剰な考察です。審査期間が終了し、結果発表前というタイミングだからこそ、過剰な考察を出しちゃおうと思います(どれか特定の作品のことは言っていないです)。それは違うと思ったところがもしあっても、それはそれで(笑)。こんなやつもいるのかと思ってください(笑)
大丈夫ですか?(笑)戻るなら今のうちです。それでは行きますね。
M-1グランプリとの共通点
モノカキングダムのルールは、「ええ記事を書く」。テーマは「こえ」。ジャンルは不問。
これだけですが、文章の文量が1000字~2000字程度とされています。
人間の文字を読む平均速度は、1分間に400字から600字とされています。したがって、4~5分くらいで一記事を読むのが平均的です。
ちなみに、Ⅿ-1グランプリは、確か1ネタ4分間だったと思います。
なので、4分間にどういった要素を入れるかというのが基本的な方針になってくると思います。
私の中では
① 0~500字で何を書くか
② 500~1000字で何を書くか
③ 1000~1500字で何を書くか
④ 1500~2000字で何を書くか
ということに着目することにしました。
「こえ」というテーマについて
その前に、まず、テーマがどう料理されていたかということを検証してみようと思います。
一番オーソドックスなのは、「声」だと思います。
これ以外の「こえ」は、若干攻めている印象がありました。
「超え」や「肥え」、「こえ~」なんて言うものもありました。
このあたりを選択するのはⅯ-1でいえば、トムブラウンとかランジャタイみたいな感じですかね。オーソドックスの裏をとりにいくのは、それだけで大胆です。
でも、これ実はとても戦略的な選択だと思いました。Ⅿ-1とモノカキングダムで違うのは採点方式。全員の合計点方式ではなく、129名が一人2票ずつを持っています。したがって、全員から平均点を集めるよりは、何人かにめちゃくちゃ刺さるほうがいい。
Ⅿ-1も志らく師匠がランジャタイ最高点を付けていた気がします。Ⅹでもトムブラウンが100点と言っていた。ある特定の人に刺さるという意味では、実は理に適っている。
そもそもnoteなんて、全員に読んでもらうものではない、特定の誰か、ターゲットに読んでもらうもの。そうであれば、noteの書き方としても大正解だと思いました。
また、「声」でいく場合も、さらにバリエーションがありえます。
「音声としての『声』を聴く」というのが一番オーソドックスな使い方だと思いますが、それだけでは全くなかった。ここもさすがでした。こんなにいろいろな使い方があるのかと。
想像の中で聴こえた「こえ」、聞こえない「こえ」、音ではなく心で感じる「こえ」、人間ではない「こえ」……
ここでの工夫で個性を出しているものもたくさんあったと思います。
使い方としては、「きく」か「きかない」かというのが基本線であって、さらに「きく」からの発想で連想させて持っていくイメージかなと思います。なので、「声」に絞ったとしても、かなりのバリエーションがあって、自分の世界に持っていきやすい。
ということで、誰が一番すごいかというとこのテーマを選定した「ことばと広告」さんだと思います(笑)
① 0~500字で何を書くか つかみ(書き出し)
近藤康太郎さんの「三行で撃つ」には、出だしの重要性が書いてあります。
最初の一文、長くても三行くらいでしょうか、そこで心を撃たないと、浮気な読者は逃げていきます。
興味のない人がスキマ時間に読む場合、書き出しの一文でひきつけられなければ、獲物は逃げていくといいます。
いかに書き出すかの重要性は、否定しようがありません。今回エントリーされていた文章も、書き出しに何らかの意図を感じるものがとても多かったです。
ただ、今回のモノカキングダムにおいては、書き出しは少し「トロく」てもいいのかもしれない。読む人たちは、審査する観点から少なくともその文章を読もうという意識で読み始めています。一文目でノックアウトまでしてしまう必要はないのかもしれない。
逆に出オチのような感じで、書き出しがピークになってしまうとそのあとが苦しくなってしまうかも。
じゃあどうするか。
一文目で撃つ。しかし、一文目をピークにはしない。
そうすると出だしは、「いかに自分の世界観に持っていくか」ということが重要になってくるような気がしました。
すごいなあと思った文章は、どれも冒頭の三文くらいで、その人の文章の世界の中に入ってしまう。そうすると、最後まで一気に読みやすくなるような気がしました。
②と③ だいたい500字から1500字のあいだについて
起承転結をつけるかどうか
②500字~1000字と③1000字~1500字は、分けてたのに結局一緒にしちゃうのかよ(笑)。それだけバリエーションが豊富でした。ここについてはどう感じたか。
まず、いわゆる起承転結の「転」をつけるかどうか。
「転」をつける場合、より効果的にやろうとしたら、その前の布石としての「起承」が大事になってくるような気がします。ただ、2000字だと効果的な「転」に持っていくための布石を十分に打つには少し文字数が少なくて、なかなか難しいところがあると思います。
そんな中でも、鮮やかに転調した文章もあり、マジですげえなと思いましたが、いわゆる「転」までいかなくても、レベル高い文章がたくさんあったなあと思いました。
ただ鮮やかにひっくり返すだけではなかったと思います。
すごいなぁと思った文章に共通して言えることは
「なんらかの展開がある」
ということではないかと思いました。
何らかの展開はある
すごいなあと思った文章は、この500字~1500字の約1000字、少なくとも何らかの印象的な展開をしているのではないかなと思いました。それは、「転」ではなくても、何かが展開されている。世界が広がる、一歩進む、上に昇る、視点が変わる、斜めの上のことが書いてある、別のことが書いてある……
これって実はすごく難しいことだと思うのですが、さらっと展開している文章が多くて、どれもこれも勉強になりました。
最初②500字~1000字と③1000字~1500字を分けるかを考えていたのですが、たぶんここまで厳密には分けなくてもよかったのかもしれない。でも、一つ言えるのは、展開があるということは、展開前と展開後があるということ、ここに意図があると、あ、やっぱすごい文章だ、ってなる率が高かった気がします。
キラーワード、キラーセンテンス、そしてその文への持っていき方
展開だけじゃなくて、ことばのチョイスも印象的なものが多かったです。印象に残った文章は、何らかのキラーワード、キラーセンテンスがある。ここ絶対めっちゃ考えて書いたんだろうなぁとわかる一文もあれば、あまりにもさらっと書いてあるのにやたらと響く一文もありました。
ことばそのものが印象的というものが多かったですが、もう一つは、その一文までにどういう持っていき方をするかが、むちゃくちゃうまいなあと思う文章がたくさんあったこと。これは絶対意識して書いている、そう思わざるを得ない文章が多かったと思います。
この事実はだいたい一回目の読みでは気が付かず、なんで自分の感情はこう持っていかれたんだ?という疑問とともに余韻が残ります。これは、実はnoteだからこそできる技の可能性があります。そのことについては、後述します。
エピソード・コンテンツの強さ
文章で取り上げているエピソード・コンテンツが強い文章はやはり強いなあと思いました。とくに、家族(人間以外も含む)や恋人のエピソードが比較的多い気がしましたが、「こえ」というテーマとともにそれ自体がかなり強いなあと思いました。
しかし、エピソードやコンテンツが強いだけでは足りないかなあという感じでした。これは、それだけレベルが高かったということ。他のと比較してしまうと、そのコンテンツを効果的に伝えるための工夫があふれている。でも、この工夫はもはや個性です。それがあふれている文章だらけでした。これは逆に言うと、自分のエピソード自体はそこまで強くないから勝てないということでは決してないと思いました。
やはり、持っていき方の際立っている文章は、すごいという印象になるほかありませんでした。
④ 1500字~2000字くらい 終わらせ方(オチ)
意外とサラッとしていた
書き終わらせ方もだいぶ悩むところです。
終わらせ方については、意外とさらっとしているものが多いのかなあという印象。今回はどちらかというとピークは、最後の一文というより、その少し手前全体の80%~95%くらいの部分にピークを持ってきて、最後の一文はサラッと系のほうが多かったかなという気がしました。
その中でも、バシッと最後の一文が決まっている文章も結構ありました。これはピークを最後の一文に持ってきているということ。
共通して言えるのは、その文章のピークがあり、ピークのところで手のひらで転がされるように感嘆させられるものが多かったということ。
つまり、ピークをどこに持ってきているかという話であって、最後の一文をキメキメでいかなければならないということではないということかなと思いました。
あえて書かない
これもすごいなあと思ったものが多かったです。
え、この展開なのに、この文かかないの?このことについてはかかないの?っていう文章が結構ありました。
自分詳らかに説明をしてしまいたくなってしまうんですよ。特にnoteやっている人なんて書きたがりが多いから(笑)全部伝えようと思うとそのことにも触れてしまいたくなる。でも、それを書かない。2000字という文字数もあるかもしれませんが、これは、大胆だし、マジですごいと思いました。読み手の想像力に完全に委ねるんですよね。でも、想像ができてしまう。書いていないのにシチュエーションがありありと見えてきてしまう。これは、情景描写がめちゃくちゃうまいということだと思います。
読み手がどんな人かを意識しているのではないかと思います。だからこそ、その文章の幅が、書いてあることを超えて、読み手の想像力がプラスされて、2000字書いていないのに、あっという間に読み終わって、もっとたくさん書いてあったかのように感じる。いやぁ、すごかった。
本とnoteの読み方の決定的な違い
モノカキングダムを読み進めて、一つ一つコメントをしながら、気が付いたことがひとつあります。
それは、本とnoteの読み方の決定的な違いです。
これは、
noteは上スクロールする
ということです。
どういうことか。
コメントをするとき、私は、どの文章も絶対に上スクロールしてもう一回読んでいました。
そうすると、絶対に一回目に読んでいたのとは違う気づきがありました。上スクロールって文章の見え方も違うんですよね。本はページをめくるという動作ですが、上スクロールは後戻りするように流れていきます。
そんなふうに読んでいると、あ!ここにこんなことが書いてある!って気が付くことが多かったです。このnote独自の発見のしやすさはあるんじゃないかなという気がします。
そうすると、書き手がどうやって考えながら書いていたのかが垣間見える気がします。おそらく、書き手の人は、最初から最後まで一気に書いている人は少数で適宜削除したり、順番を変えたり、修正をしたりしているはず。上スクロールによって、その思考過程が垣間見えるような気がしてきます。
そうするとそうするとさらにびっくりする。え!ここでこの一文書いたの?なんでそう思ったん?となることがかなり多かったです。そして、「めちゃくちゃ考えて書いている」ということに気が付いてしまう。あーもう満足。自分の書いたやつとか審査のこととかは一回どうでも良くなってしまいました(そのあと我に返ってちゃんと審査しました笑)。
noteであるが故の伝え方というのがあるような気がします。そして、みなさんnoteをたくさん書いていらっしゃるから、noteとしての見せ方・読ませ方がやはりめちゃくちゃうまかった(笑)
ということで、気づきが非常に多く、とても勉強になる127作品でした。
本当にありがとうございました!
そんなわけで、つらつら、だらだらと書き連ねたクリスマスイブの朝、そんな一日でも「今日一日を最高の一日に」
結果が出ました!入選作品は上の考察で見ても、全部すごかったです!