記事一覧
無人島生活福袋 #毎週ショートショート
沈む客船から避難して、無人島に漂着した男2人。
「なんで福袋なんか持ってきたんだ」
「咄嗟の判断でこれを持ち出すしかなかったんだ」
「よりによって福袋かよ。本当にお前は頭が悪いな。昔からそうだった。成績はいつも俺が上。俺は大学に行き、お前は中学校もいかず引きこもり。俺は大卒で就職し、お前はフリーター。この社会で何が必要なのか、お前は何もわかっちゃいない。まったくなんでお前なんかと旅行しようと
キンモクセイ盗賊団の池 #毎週ショートショートnote
410字のショートショート。
はじめて【裏お題】にもチャレンジしました。
キンモクセイ盗賊団の池
サイレンの音が近づいてくる。夜の池を照らす赤色灯の光が徐々に大きくなる。
奪ってはいけないものを奪ってしまった。あれだけいたキンモクセイ盗賊団は、もうあと二人しかいない。
「ボス、俺たちは正しかったんでしょうか」
「正しかったか、正しくなかったかは私たちが決めることではありません。私たちが行
沈む寺 #毎週ショートショート
「ようこそ、ここまでおいで下さいました」
「どうしても止めることができませんでした。止めようと思えば思うほど、一回だけならいいかという気持ちが出てしまって、ダメだとわかっていながら、また手を出してしまうのです」
「お辛かったでしょうね」
「服役して、出所して、最初はもう絶対にやらないと思っていたのに、捕まる前の仲間からまた連絡が来るんです。『いいの入ったぞ』って。『もう、連絡しないでくれ』っ
モンブラン失言/毎週ショートショートnote
今週も参加してみました。410字のショートショート。
モンブラン失言
秋の新商品の開発会議。正念場。課長が、この難局を打開するアイディアを打ち出せないか、腕を組み、険しい表情で見つめる。新入りの田中くんも額に汗を流し、必死にホワイトボードに思いつきを書いていく。
このままではA社に勝てない。
A社が先月打ち出した新商品には、久々にやられた。
モンブラン型のスイーツはマロンクリームでなくても
誘惑銀杏/毎週ショートショートnote
唐突ですが、今週も参加してみました。410字のショートショート。
タイトル見て思いついたのはオマージュでした。しかし、まあ、どぎつめの内容になってしまいましたので、閲覧注意です(笑)
誘惑銀杏
銀杏の樹の下には屍体が埋まっている!
昔、そんな小説を読んだような気がする。
市内の一番大きい公園には、幅10メートルの舗装道の両側に大きな銀杏並木が並んでいる。
秋には、一枚一枚数えている間に夜
ひと夏の人間離れ/#毎週ショートショート
410字のショートショート、今週もやってみます。
ひと夏の人間離れ
7月7日、僕は一度死んだ。
なるほど、これが三途の川か。
せめて彼女を作りたかった。毎日コンビニで会って気になっていた店員のあの子を、ちゃんと誘えばよかった。いつものように同じおにぎりとウィルキンソンの炭酸水を買って、彼女は「今日も同じですね。私もこのおにぎりと炭酸水好きですよ」とほほ笑んでいた。そのあとの意識がない。ああ、
黒幕甲子園/#毎週ショートショート
先週やって面白かったので、今週もやってみます。
今回の、テーマは【黒幕甲子園】。410字くらいです。
黒幕甲子園
「あんたが黒幕だったのか」
「まったく、君のしぶとさには感服するよ。ただ、君は僕が用意したプランの駒にすぎない。結局、僕の完璧な計画の前には無力なのだよ」
「くっくっくっ」
「何がおかしい」
「どうやら、まだ気がついていないようだね。君がいう完璧な計画は、すべて僕の掌の上
鋭利なチクワ/#毎週ショートショートnote
※ホラーになってしまったので閲覧注意です
はじめてですが、たらはかにさんの企画に参加してみようと思います!
410字くらいのショートショートとのことです。
テーマが【鋭利なチクワ】でした。ホラーになりました。。。
鋭利なチクワ
盆の夜。男は、怒りに任せて仏壇の位牌を投げ飛ばした。
蒸し蒸しとした畳6畳の部屋。
振り返ると6歳くらいの少年がいる。一人で来たはずなのに。
もしかしたら霊か