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慢性心不全について

こんにちは。理学療法士として日々、心疾患に関わっていますが、当院は所謂ケアミックス病院です。対象となる心疾患で最も多いのが「心不全」です。
今回は心不全について知識の整理をしていこうと思います。


慢性心不全の病態

慢性心不全は「慢性の心筋障害により心臓のポンプ機能が低下し、末梢主要臓器の酸素需要量に見合うだけの血液量を絶対的にまた相対的に拍出できない状態であり、肺・体静脈系または両系にうっ血をきたし日常生活に障害を生じた病態」と定義されます。

ここで注意してほしいのが、心不全は病気ではなく病態です。
どういうこと?って思う方もいるかと思いますが、風邪って病気ではなく何らかの病気によって風邪の症状が出ているってことですようね。これと同じで心不全も心筋の障害により生じた病態なんですね。

この画像のように、心不全はあらゆる心臓疾患の終末像ということになります。

心不全の代償機転

心不全になると、交感神経亢進、レニンーアンジオテンシンーアルドステロン系の更新など、いくつかの代償機構が働き、心拍出量と血圧を維持し、各組織が必要とする血液量を維持しようとします。
しかし、代償機転が破綻するとしんふぜんの症状が著明に出現するようになります。


症状・理学所見

心不全の症状は左心不全症状と右心不全症状に分けると理解しやすいです。

左心不全症状
○心拍出量低下による各種臓器の症状
・心拍出量低下の症状として、易疲労性(骨格筋への血液供給不足)、尿量減少(腎血流量減少)などがある。
・夜間尿量も心不全初期に見られる症状で、日中は活動しているので相対的に骨格筋に血液が流れているが、夜間は腎血流量が回復し、尿の産生量が増加することが要因です。

○左室ポンプ機能低下による左室拡張末期圧や拡張末期容量の増加により、左室に戻りきれない血液が鬱滞して生じる肺うっ血症状
・肺うっ血により、運動時の呼吸困難や、起座呼吸、発作性夜間呼吸困難が生じます。
・肺うっ血が進行すると肺水腫となり人工呼吸管理が必要となるケースもあります。

右心不全症状
・右心不全は、左心不全に続発して起きることが多いです。
・左心不全時に認められる肺静脈圧の上昇は、右心系にとっては後負荷であり、左心不全による肺静脈圧の上昇が長く続くと右心不全になることがあります。
・右心不全の主な症状は、静脈の鬱血症状で、全身の鬱血、浮腫、消化器症状などがあります。
・静脈圧の上昇によって水分が胸腔や腹腔内に漏出すると、胸水や腹水となります。
・身体初見としては、肝腫大や頸静脈の怒張があります。


血液検査

○BNP
BNPは心室への負荷の程度に鋭敏に反映するマーカーです。
基準値は≦18.4pg /m Lです。(リハ算定には80以上が必要です)
BNP濃度はNYHA重症度分類と正相関します。
BNPの数値が50以上で心筋へのストレスがあることが確認でき、200−400では中等度の心不全、600を超えると重度心不全となり予後が不良です。

https://med.toaeiyo.co.jp/contents/cardio-terms/test-exam-diagnosis/4-16.html


心エコー検査

・左心室の収縮機能は、左室駆出率(LVEF)で評価します。
・LVEFは左室のポンプ機能を示す重要な指標です。
・一般にLVEF <40%未満を左室機能障害といいます。


今回は、ざっくりと心不全の症状にフォーカスを当てて記載しました。
今度は心不全の運動療法についても記載していきます。
少しでもセラピストの心疾患への苦手意識がなくなればと思います。

ご閲覧ありがとうございました。

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