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胸のドキドキ【日記】


近頃、動悸がする。
数ヶ月前から時々、安静時に心臓がバクバクするようになって、まぁストレスだろうと思っていた。
私はもともと血圧が低く、脈拍も遅い。平常時は60に届かないくらいなのだ。
それが昨日、職場で125という数値を叩き出した。微熱もあり、このご時世なので早退させてもらった。突然夜勤を代わってもらうことになり、申し訳なさで身の縮む思いをした(縮まないしむしろ縮みたい)。
帰宅してから今日の午後まで20時間ほど眠った。熱は引いたが、動悸は消えない。


自分のことを話すのが苦手だ。
嫌いなものについて話すのが苦手なのは、普通のことなのではなかろうか。
私は自分が嫌いだ。

私には外側から見てわかりやすく「普通でない」ことがあって、それは服を着ていれば隠せることなので普段は存在しないみたいに振舞っているのだけれど、時々、本当に時々、その部分の話を聞きたがる人が現れる。
そういう人は私と似たような経験をしていることが多く、私に聞くより先に自分のコアな部分を話してくれることも多い。
もしくは私と似たような経験をしている人が周りに多くいて、そういう話に抵抗がない人。
前者は類友、後者はメンヘラホイホイ。その両方を兼ね備えている場合もある。

前述の通り、私はあまり話したくないのだ、自分のことを。
しかし相手の(わりとヘビイな)話を聞いてしまった後は、
「相手は打ち明けてくれたのに、自分だけ黙っているのは卑怯なのではないか」
「この人なら話しても引かれないのではないか」
「いずれ話さなくてはならないのなら、早い方が良いはずだ」
などという自分の声がグルグル頭を駆け巡り、結果、だいたいの場合は話してしまう。

失敗を何度も繰り返して、もう誰にも話さない、と決めた。
決めてから数年間、リアルの人間関係でそのような話をすることは無かった。
しかし一昨日、よせばいいのに話してしまった。

結果、何が起きたか。
短歌にされた。
私は作中に「きみ」として登場し、主体に手を振り払われていた。

そっか、なんかごめんね、という気持ちになった。
短歌としては、良い歌で、だからまぁいいか、とも思った。

良い経験ができたじゃないか、と自分に言い聞かせながら、自分の過去を安易に消費されたような嫌な感じが拭えず、今こうして日記を書いている。

軽率に話した私が悪い。
インスタの画面を眺めて思う。

私の過去が詠み込まれた短歌についたいいねの数、22。


本人に届くことはないだろうけど、返歌を考えた。

軽率に話した過去が作中の「きみ」に成り果て 22いいね


短歌としてはあんまり良くないですね。
悲しい。

もう二度と、本当のことを話したりしない。

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おのぎのあ
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