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「花束みたいな恋をした」【映画は観たけれど】

本や趣味をきっかけに、付き合い始めたカップルの5年を追う本作。久しぶりに恋愛マンガの脚色(シナリオ)仕事が入ったので、イマドキの若者のハートを勉強しようとなめてかかったら、物語の完成度の高さにに打ちのめされていた。平成から令和を生きる、男女の出会いと別れ。同世代を生きる恋愛だ。

何物でも誰でもなかった主人公は、懸命で、ひたむきで、したたかで。男女演じたそれぞれの役柄に、自分の姿が重なった気がした。

なんというかジブリの『おもひでぽろぽろ』のように、「今だけの」恋愛映画だと確信して、鑑賞後は友人、知人、オンラインでもオフラインでも熱っぽくすすめて回った。が、実のところ反応はさまざま

なぜだろうか。おそらく自分を特に揺さぶられた シーンは彼女が彼に問うた「クーリンチェ、どうする」だったからだ。台湾映画『牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』のこと。あの年は、短期間ながら20年ぶり上映が相次いだ。休みの日に4時間の上映時間を天秤にかけて、劇場に駆け込んだ。映画のなかで、二人とも観たとは描かれていないのが気にかかる。

余談ではあるが、二人はヨリを戻すのではないか、私にはそう思われてならない。「普通」であることの難しさをなんべんも、本作はとらえようとしていた。

観た日:2021年3月
2021年5月に発行したフリーペーパー『映画は観たけれど』に掲載した原稿です。一部加筆修正を加えています。

予告編&詳細

公開日: 2021年1月29日 (日本)
監督: 土井裕泰
音楽: 大友良英
撮影: 鎌苅洋一
脚本: 坂元裕二

おまけ

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Hikari Onodera| 小野寺ひかり
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