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教育実習生が見せた、ずっと見ていたい授業

教育実習生が来ていて、私も少し指導に関わっている。

先週末は研究授業が立て続けにあり、5人の先生の授業を見学する機会に恵まれた。

教育実習生たちは限られた期間の中で、本当に精一杯取り組んでくれている。その努力にはいつも感心させられるし、指導教員の先生たちがどれだけ時間をかけてサポートしているかも感じずにはいられない。

そして、最終日の金曜日。ある学生さんの授業が、心に深く残った。

その授業は、どこかずっと見ていたい、そんな気持ちにさせるもの。一緒に見学した他の先生方も同じ感想を持っていた。

内容はきっと指導教員の先生と話し合って作ったのだろう。

時間が足りなくなって、「あ、走った!」なんて場面もあったけど、それさえ微笑ましい。

私はなぜ、「ずっとその授業を見ていたい」と感じていたのかな?

後で振り返ってみると、その理由が少しわかった。

その学生さんは、先生の基本の「き」をしっかりと身につけていた。きっと、彼のパーソナリティや落ち着いた声のトーンも影響しているのだろう。

教室全体が「安心」「安全」で包まれているような、穏やかな空気が流れていた。

授業中、いろんな生徒がいて、いろんな表現方法で発信していた。関係ないことを発言する子、言葉ではなく絵で表現する子、そばにいてほしいと伝える子。

その一つ一つに対し、学生さんはしっかり受け止めていた。何が出てもまず受け止めて、ゆっくりと落ち着いたトーンで応じる。その様子に安心感を感じた。

心配になるほどじっくり受け止めている場面もあったけれど、それもまた彼の持ち味。ギリギリのところでさらっと流す、そんな小技も交えて、クラス全体が一つの空間として整えられている。

声を大きくしてむやみやたらと盛り上げるでもなく、無表情で授業を進めるでもなく、ただただ「安心できる場所」を作り出しているその様子に、私は魅了されていたのだ。

この学生さんはすでに採用試験に通っていて、地域の小学校で勤務することが決まっているらしい。

支援学校に来てくれないのはちょっと残念だけど、これから彼に出会う小学校の子どもたちは、きっと安心できる環境で伸び伸びと成長していくことだろう。

これからも彼は、多様な子どもたち、保護者、先生たちと出会い、支え合いながら日々成長していくはず。時にはのれんのようにかわしながら、相手の思いを一旦受け止めるその姿勢。これからも大切にしてほしいな、と心から応援したくなる授業だった。

たくさん私も学びを得た。素敵な授業をありがとう。

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