PTSD回復にはPTSD状態が「必要」だ
体の不具合も、PTSDも、回復の段階を経るには不可欠だった。
逆説出来だけれど、PTSD状態から一気に回復の段階を上がることはできない。理由は明瞭だった。それが精神回復とすべての回復の段階として必要だからある。
物理なら、ボールを落とせば階段からとんとん何段階も飛ばして落ちるし、一気に下へ投げられる。
精神は段々だ。一段階、一段階、ときにはショックが大きすぎて大幅に段階を落ちることもある。
けれどこの精神の層を一段、一段、もう一段。落ちて落ちて「階層」になっている。
エレベーターに載ってこの精神階層を昇りましょうとなっても、一気にはいけない。一層、一層、昇っていく。
ときには一気に昇っていくこともある。それは自動的に起きる現象で自然発生だ。
手動で、自力で、となると、回復までの道のりをクリアしてしくためには、一段階一層ずつクリアするのが確実だ。
何弾も飛び越えようとすると人間はたいてい、そこまでの回復解放の道のりをたどっていないので、抵抗が出て出戻りになるか、もっと抵抗が強くなって、症状悪化、なんてことはザラだ。
だれだよ、余計なことをしたのは。治したくないと思っているやつが治そうと思うのは、治したくない状態を認めてからだ。
精神はあるていど、強度がある。物理ってのは、壊そうと思えば壊せる。脆い部分がある。でも精神は形がない分だけ、強度がある。強度があるだけに、固定化が起きたり、解放の仕方がわからないとそもそもエレベーターに乗れない、回復の一途をたどるのも一苦労、費用もかかって人生もかかって…なんてことになりかねない。
私はとりあえず、「それ」があってもいい、こんなだめな自分でもいいと「変えなくて良いものを変えようとする」抵抗を手放す。
そうすると、こんなだめな自分でもいいんだ、と聞こえてくる。必ず回復に向かうエレベーターが引っかかっている原因がある。
それは物理じゃ解けない。精神世界のことは精神から解かないといけない。それも物理と同じ方法じゃない。むしろ、物理と逆行するかもしれない。
物理エレベーターはとりあえず階を押せば行ってくれるが、精神のエレベーターはとにかく一段ずつ、ときどき急上昇、をくりかえすらしい。