【小説】 逃走 #02 電話ボックス
車に誰も乗っていないなんて、そんなことがあるわけがない。自動運転なんて存在しないし、ベンツもちょっと古い型のように見える。もっとよく覗き込んでみる。街灯もないところなので車内がよく見えない。しかし、目を凝らしてみてみると、何とハンドルもない。そんなバカな。ハンドルがない車なんてこの時代にあるわけがない。まさか地球のものじゃないとかと言う話でもあるまいし。タケシはちょっと気持ちが悪くなりながらも、持ち前の分析力で頭をフル回転させた。絶対に何かある。トリックにしても何かある。現実としてハンドルがない訳が無い。タケシは心の中で事実を何回も見つめ直して考えた。可能性があることはなんだ。
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