法的に強いネーミングとは?!
皆さんは、新しい商品名や、サービス名をどのように考え決定されていますでしょうか?!
「記憶し易さ」、「親しみ易さ」、「語呂の良さ」等、様々なことを考慮して決定されているものと思いますが、法的に強いネーミングかどうかまで考慮されたことはありますか?
法的に強いとは、商標権を取得した後の商標権の強さのことです。
つまり、同じく商標権を取得しても、登録した商標によって守られる強さが違うということです。
商標権を取得した場合に強い権利になるのは、以下の順です。
1.造語 :既成語ではなく新しい言葉からなる商標です。
⇒ 例:「Google」「Yahoo!」等
2.恣意的 :言葉自体はあっても、その商品やサービスとの関係で使われていない商標です。
⇒ 例:「Apple」等
3.暗示的 :暗に商品の品質やサービスの内容を表す言葉からなる商標です。
⇒ 例:「味の素」等
4.記述的 :商品の品質やサービスの内容を表す言葉からなる商標です。
⇒ 例:「安い」「早い」「うまい」等
5.一般名称:商品やサービスの一般名称からなる商標です。
⇒ 例:時計に商標「時計」等)
造語は、新しく作った言葉ですので第三者が使用する必要のない言葉です。
顧客への認知のスピード、定着性などは、「恣意的」「暗示的」なネーミングと比較して低く、定着させるにはそれなりの広告・宣伝が必要になりますが、定着した場合には、他を寄せ付けない強いネーミングになり得ます。
恣意的な商標は、すでに一般的にある言葉を採用したネーミングです。例えば「Apple」は「リンゴ」を表す言葉ですが、「スマートフォン」等の電子機器に対して一般的に使用されている言葉ではありません。そのため、「スマートフォン」等の電子機器等に対して「Apple」は、恣意的な商標となり、商標権の効力としては、比較的強いネーミングになります。
暗示的な商標は、暗に商品の品質やサービスの内容を表す言葉からなる商標です。例えば「味の素」は、何らかの味の素になることはわかりますが、具体的にどのような味になるのかはわかりません。商品の内容と、商品名がセットで顧客に広まり易いネーミングになりますが、記述的な商標になりやすく、管理を徹底する必要があります。
仮に記述的な商標になってしまうと他人の無断使用を禁止しづらくなります。
記述的、若しくは一般名称のみからなる商標は、そもそも単独で商標登録を受けることができません。したがって、効力も弱いということになります。
商標権を取得できないため、第三者も自由に使用でき、ブランドとして確立するのが難しいネーミングになります。一方で、使用しても訴えられるリスクが低いネーミングでもあります。
いかがでしょうか?これらは、これから販売する商品の性質によっても調整できます。
例えば、販売する商品が、今後長く自社の商品として流行らせたいものであれば、造語若しくは恣意的なネーミングを検討した方がよいでしょう。
また、販売する商品の種類が「食べ物」であれば、暗示的な商品名にした方がよく売れるかもしれません。
一方、単に売り切りの商品であり、商標権を取得するまでもない商品であれば、記述的もしくは一般名称を使用し、第三者から訴えられるリスクを回避するという選択肢もあり得ます。
新しい商品名やサービス名を検討される際には、ぜひ参考にしてみてください。