キラキラ共和国
小川糸 2017年
・感想
10月一発目の投稿は、小川糸さんの『キラキラ共和国』です。去年、「卵を買いに」を読みました。小川糸さんはその時に知った作家さんです。あれ以降、小川さんの作品は読めていなかったのですが、図書館を適当に周っていたときに、この本を見つけました。名前が気になったのと、以前から紹介しているフォロワーさんが多いように感じ、ずっと前から気になっていました。
鎌倉で「ツバキ文具店」を営み、代書屋としても活動する鳩子は、同じく鎌倉でカフェを営んでいる、ミツローさんと結婚。ミツローさんの受け子、QPちゃんとの3人の家族の生活、そして、離婚の要望、借金返済の要求、先立たれた夫からの手紙など、代書屋として様々な仕事をこなしていく姿が描かれていました。
最初は温かみのある小説なのかと思っておりましたが、代書屋として、様々な人の要望に応えていく中で、すでにもういない人のことを思って書いたり、人と人の対立などに加担したり、切ないと感じる場面も多いと感じました。私は、「よくこんな仕事できるよな」と感じました。自分がやりたくないことでも、関係なくやっていく。これが仕事なのだなと感じました。
一方、暗い場面ばかりではありませんでした。可愛い子どもの様子が鮮明に描かれており、とても和むことの出来ます。子どもの名前はQPちゃん。子どもらしく純粋無垢だけど、でも何かそれだけは終わらせることが出来ないような部分もあり、奥の深い子だなぁと感じました。
仕事にただ打ち込むだけで、家族を大事にしない人が多いという実態を知った後に読んだので、自分は家族を大事にできる人間なのか考え直したり、家族は大事にしなければいけないものだと感じたりしました。この話は子どもと遊んだり、何かを教えたりして、家族を大事にし、仕事も精一杯に打ち込む親の姿も描かれています。これこそ、理想の家族のあり方なのではないかと思いました。
登場人物が個性的な名前ばかりでしたでした。思わず笑ってしまうほどです。詳しく書いても良いかなぁと思いましたが、多方面から怒られそうなので、ここで触れるのはやめておきましょう。気になった方は、是非『キラキラ共和国』を読んで確かめてみてくださいね。