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日日是好日 「お茶」が教えてくれた15のしあわせ

森下典子

・あらすじ
お茶を習い始めて二十五年。就職につまずき、いつも不安定で自分の居場所を探し続けた日々。失恋、父の死という悲しみの中で、気がつけば、そばに「お茶」があった。がんじがらめの決まりごとの向こうに、やがて見えてきた自由。「ここにいるだけでよい」という心の安息。雨が匂う、雨の一粒一粒が聴こえる……季節を五感で味わう歓びとともに、「いま、生きている!」その感動を鮮やかに綴る。

・感想
図書館で見つけました。前々からSNSで紹介している方が多かったので、気になっていました。この本は、エッセイストの森下典子さんが大学生の時以来、二十五年間続けてきた茶道での経験や、それを通して感じたこと、学んだことを綴ったエッセイです。

就職につまずき、自分の居場所を探し求めていた筆者は、家族に勧められある日、茶道教室に通い始めます。今まで、まったく縁がなかったため、作法も何もわからない状態から始まりました。そんな筆者も、ある程度時期が経ち、最初からいた人が出産を機に辞めたり、若い後輩が入ってきました。しかし、平成に入った30代あたりで、徐々に自分が無理して続けているのではないかと思うようになってしまい、一時期はやめようかなと思う時期もありましたが、あることで重役を担うことに。そこであることに気が付きます。

「日日是好日」という故事成語は前々から、この本だけでなくいろいろなところで目にしてきました。しかし、どういう意味なのかは全く考えていませんでした。本来の意味とは多少異なるような気がしますが、「天気の日も雨の日も、すべていい日」という筆者なりの想いが込められているということを知ったときに「なんて、素晴らしい本なんだ。」と心から思いました。

人生、良いこと、悪いことがたくさん起こり、嬉しいと思ったり、辛かったり、絶望したり、何もする気になれなかったりといったこともあります。筆者も、大切なお父さんを急に亡くしたり、周りに置いてかれてしまったよう焦燥感に駆られたりしていますが、「結果、楽しければそれで良い」というメッセージが込められているように感じて、生きる上での力となりました。

・書籍情報
初版発行日:2008年11月1日

発行元:新潮社

定価:本体550円(税別)

備考
2002年1月飛鳥新社より刊行された。


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