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星を編む

凪良ゆう 2023年

・あらすじ

第20回本屋大賞受賞作『汝、星のごとく』続編!
学生時代から険悪な関係性になりながらも、いつも一緒に居続けた2人。しかし、33歳の時、大切な人とお別れとなってしまいました。残された、もう1人はどんな人生を送っていったのか、大切な人をこのような形で失って、何が変わったのか?
汝、星のごとくでは語りきることができなかったことについてまとめた1冊!

汝、星のごとく(右)と星を編む(左)

・感想

10月頃から、SNSで話は聞いておりました。今年の初めごろに読んだ、『汝、星のごとく』の続編、この一作品だけでも相当印象深いものでしたが、終わりがとても唐突だったようにも感じておりました。(ネットの口コミでも言っている人がいたような?)すると、なんと続編があるということに、やはり凪良ゆうさん!すごいなぁ!

「櫂」という男の人は作家で、様々な苦労の末やっと有名なろうとしました。しかし、週刊誌にスクープされ、事実上の引退を余儀なくされることに。しかも、病気で33歳の若さで早逝してしまいます。(この辺りは、『汝、星のごとく』を読んでみてください)彼の没後、残された人たちだけで幻の物語を世に広めようとしている姿が描かれていました。

改めて「櫂」って本当にかわいそうな人だったんだなぁと感じました。最初のころは作家業が振るわず、後年になってやっと売れてきたと思ったときに、過去をえぐられ引退し、晩年は病気にも苦しみながら壮絶な最期を迎える。でも、死んでから世の中に認められる。生きている間に何かがうまくいく人は本当に恵まれた人なんだなぁと感じました。なかにはこういう形の人もいれば、死んでからも、世の中的に認められない人もいる。そう考えると、人生は運試しのようなものだと感じました。

人の命には限りがありますが、物語は誰かによって語り継がれていく。それによってその人が物語を通して生きているということを感じました。語り継がれなければ、どんな作品も廃れてしまうものです。残された人たちが一つになって、消滅しかけた物語の再生を果たす姿は、文化が揺るぎないものであることを実感しました。

また、残された人たちの人生についても描かれておりました。生きている中で、大切な人と別れたとしても、それは自分の人生。それだけがすべてではないということが感じられました。過去に執着せず、ひたすら前を向いて歩んでいる残された人たちの姿にとても感慨深いところがありました。

凪良ゆうさんの作品、去年から色々読んでいますが、いつも感動的な作品ばかりです。次回作にも期待し、私はまだ読んでいない別作品も読んでみたいと思います。

・書籍情報

初版刊行年:2023年
刊行元:講談社
定価:本体1600円+税
ISBN978-4-06-532786-9

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