非日常がもたらすものー作業×自然×人ー
先日私的な用事でコテージにお邪魔しました。コテージは相方のお父さんが管理していて、庭周りもすごくきれいに整えていらっしゃいます。そこで庭周りの草むしりをお手伝いさせていただけることになり、少し前に農園プロジェクトをしたのを思い出したので今回はその話を交えながら感じたことを少しお話ししたいと思います。
まずは少し前に試みた農園プロジェクトについて。ある病院での話なのです。屋上庭園がある病院です。しかしその病院の屋上庭園はあまり手入れも行き届いておらずせっかくのスペースがまったく無駄になってしまっていたそうです。そんな話を友人の作業療法士から聞きました。ここでは名前を伏せさせていただきますが、その友人は農園スペースをどうにか有効活用したいと色々動いていたそうです。実際、作業療法として園芸や農業を“作業”として提供する例は結構あります。園芸療法自体は色々な研究で身体的、精神的に良い活動であることが示唆されており、今もエビデンスの構築が進んでいる最中です。
そんな園芸療法を病院の屋上で取り組みたいと友人に相談されすごく面白そうだったので何か協力してできないかと考えました。ちょうど私は大学院在学中だったので文献データへのアクセスは容易であったのと、文献レビューなども形式的にやっていたのである程度自信がありました。そこで、友人が屋上庭園を開発するためのプレゼンづくりの手伝いができると思いました。私が色々科学的な根拠を集めて友人がそのデータを使ってプレゼンを作成するという流れで進みました。作っている最中、こだわったのは屋上庭園の開発で患者様の利益だけでなくその活動を通した病院自体の利益をより深く考えたことです。
というのもその時点で私たちは病院は経営的な側面での制約が大きいと気づいていたからです。どんなにいいアイデアでも良いことでも、利益が乏しいのであればなかなかOKが出づらいのです。これは本当に仕方のないことで病院自体が経営破綻して無くなってしまえば想像に難いほどの人が困るからです。そういった背景も見えていたのであえて利益を生める枝を探りました。その病院の特色、社会資源、さらには周囲の地域資源までどうにか活用できないか捻りました。
そうして行ったプレゼンの結果は…
残念…。企画採用とはなりませんでした。
今後の反省も考えて不採用となった理由を聞いてみました。理由は、屋上庭園での野鳥の被害とのこと。よくよく考えると私たちはメリットになることはすごくよく考えれていたと思います。一方で企画のデメリットに関しては人的コストなどは考えていましたが活動そのものから生じるデメリットに関しては深掘りできていなかったと感じました。また、直接は言われませんでしたが、企画のメリットに関しても実現可能性に関しては具体的に示すことができていなかったことも敗因の一つであると考えています。
話は戻りますが、そういった背景もあり今回半日ほど庭の手入れを手伝って思うところがありました。自然の中で作業をすることで都会の喧騒から解き放たれ清々しい気持ちと程よい疲れを経験できました。「入院中の患者さんにも病院の中で非日常を体験してもらいたかった…」この気持ちが拭えません。
誰かのためになる、これは良いことだからやった方がいいという物は世の中に溢れかえっていると思います。そういった理想を忘れては行けないと感じる一方で今回の経験を通してその理想を叶える力について考えさせられました。世の中基本的には人と人との間の利益相反で回っていることがほとんど。そんな中でいかに自分が思い考える“良いこと”を通せるかはその利益相反の仕組みをマクロにそしてミクロにとらえ、伝えられるかが大切なのだと知りました。起業、経営を考えるものにとって重要なスキルの一つを知れて本当にいい経験でした。
ではまた!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?