マラソン好きになった話
この夏休み、私はほぼ毎日走りまくった。1日平均5キロ以上は走っていたように思う。
仕事のある平日は難しいが、土日はほぼ必ず走ってきた。これは、大学時代から続いている私の大切なルーティンだ。
しかし、中学時代まで長距離走は大嫌いだった。
中学高校と野球部だった私は、練習でとにかく走らされた。中学時代、夏休みなどは朝早く駅伝の練習で陸上部と一緒に走らされた。私は短距離は得意だったが、長距離は大の苦手だった。すぐにふくらはぎは、パンパンになるし、吸っている酸素がどんどん薄くなる気がするのだ。しまいには、顧問の先生になぜ遅いのかと問われ、
「自分は、白身魚だからです!(速筋ばかりだから)」
と返答する始末だった。
高校に入ってもやはり走り込みは続いた。陸上部と一緒に走ることはなくなったものの、学校の周りの山になっているコース(通称駅伝コース)を走るメニューが、毎週入っていた。
それを知った私はうんざりした気持ちになった。
いつもいつも、先輩や同級生に置いて行かれてばかり…。
夏が終わりそうな1年生のある日、いつものように駅伝コースを走っていると、コースの中にある病院が目についた、そしてふと思った。
「世の中には、走りたくても走れない人もいるんだ、元気に走れてるだけいいじゃないか」
誰かに会った訳でもないのに、謎の使命感に駆られ、その後怒涛の追い上げでその日の駅伝の上位に躍り出た。それからというもの、長距離を走ることが前ほど嫌いにはならなくなった。
その年の10月に行われた強歩大会(走っても良い)では、8位入賞を果たすことができ、「俺、実は長距離得意かもしれない…」と少しずつ自信を持つことができるようになった。
なぜあのとき走れてしまったのか。それは今でも分からない。謎の使命感というのも思い上がりも甚だしい。
1つ言えるとすれば、所謂「若気の至り」というやつだろう。それが30歳になった今でも続いているのだ。