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雑記36 西野監督 日本vsセネガル戦のオフサイドトラップ、一回目があるとその後警戒し続ける

文字数 2800〜3000

■注:

以下の記述には、ハイキュー全国大会編のアニメ劇場版未公開の烏野対鴎台(かもめだい)に関する記述が少し含まれている。(大筋ではなく、ある一得点の詳細についての記述。)
「原作を読んでおらず、劇場版公開までできるだけ内容を知らない状態でいたいと望む方」は、当記事の閲覧を控えた方が良いのではないか、と筆者は考えている。

■西野さんの話、日本vsセネガル


以下、本文:
サッカーワールドカップ2018年大会の、日本代表の数試合の振り返りとして、当時の代表監督だった西野朗さんと、代表監督経験のある岡田武史さんとで行われた対談番組を昔、視聴した。

その内容が面白く感じられ、時々思い出すので、その中の一部について触れたい。


西野さんと岡田さんは、日本対セネガルの試合について触れていた。

(2018年ワールドカップ グループステージ第2試合目、
日本はコロンビア相手の第1試合に勝利しており、
セネガルはポーランド相手に勝利しての第2試合目。)

(岡田さんの話だと、グループ内の4チーム全てが1試合ずつを終えた上で、4チーム中で、セネガルが一番強いのではないか、と岡田さんの周囲では評判になっており、2試合目で対戦する日本は苦戦するだろう、という予想が盛んだったらしい。)


前半終了間際に、セネガルにフリーキックが与えられ、日本は警戒しないといけない状況になった。
その時に日本は、かなり大胆なオフサイドトラップをかけて、それが成功した。
セネガルからすると急に罠にはまってしまい、思いがけない形で得点のチャンスを失ってしまった。

日本のその時のオフサイドトラップは、試合後、巧妙で大胆な見事な手腕として話題になったらしく、今でも「日本 セネガル オフサイド」などで検索すると、当時の(2018年) 記事がいくつか検索結果に表示される。

■オフサイドトラップについての西野さんのコメント概要



西野さんは、この「攻めた」オフサイドトラップについて以下のような意味のことを話していて、筆者にはそれが興味深く感じられた。

  • (以下の言葉は、筆者による発言の解釈。)

    「この勇気を出したオフサイドトラップは、相手のチャンスを一回分、無効にできる、という そういう単発の効果を狙う、というようなレベルの話じゃなくて、

    セネガル側に
    "こいつら、こんな大胆な仕掛けをしてくるなんて驚きだ。一体、次は何をしてくるんだろう?"

    "相手は、まだまだ他にもこちらの予想していない落とし穴を仕掛けているかもしれない。なんかいやだな。"

    と思わせることが目的だった。

    こちらに対する苦手意識を持たせること。「まだ、色々罠、落とし穴が待ち構えているかもしれない」と相手が勘繰って、自分で自分の心理を窮屈な不自由な状態にしていくこと。

    そういうことを狙ったプレーだった。

    これを1回成功させられれば、別に2回目、3回目を実際に繰り出さなくても、他の種類の罠を繰り出さなくても、気持ちの上で相手に対して試合中、ずっと優位性を持てるようになる可能性がある。

    そういうことを目指したプレーだった。だから、このプレーは、何が何でも、どこかの機会に"絶対に"実行するように伝えた。」

こうした、ある「一回」によって、相手がその後、継続して苦手意識を持つ、落とし穴を警戒し続ける、というケースはスポーツにおいて色々ありそうに思う。

その「一回」は、実は「最初の一発」しか無いケースもあり、しかしその場合も、「仕掛けられた側」はその後、二回目、三回目をずっと継続して警戒し続ける。

そして、二回目、三回目は、全然実行される可能性がなかったことがずっと後になってからわかる、というケースもありそうに感じる。

その「一回」がなければ、受ける側は、そのことについて全く警戒しないでいられる。

その「一回」があると、それ以後、二回目、三回目を、予期して、それを防ぐために色々な精神的なエネルギーを余計に割かなければならなくなる。

■スラムダンク、沢北の桜木への警戒のケース


スラムダンクの、湘北 対 山王戦で、桜木が山王の沢北のドリブルの進行ルート上に不意に出現し、沢北は対応できず桜木に衝突して、沢北のオフェンスファウルになった。

沢北はそれをきっかけに、桜木の挙動に神経を使うようになる様子が描かれている。

桜木のチームメイト、宮城の見立てでは、桜木が同じプレーを10回やれば、9回は 桜木側の失策になり、桜木のファウルとなるようなものだが、運良く桜木がうまく相手のファウルを誘う結果になる出来の良い「一回」が最初に来た。

沢北は桜木のことを宮城くらいによくわかっていたら、桜木への警戒にそれほど神経を割かなくても良かったのかもしれない。

■ハイキューのケース、月島のプレー



ハイキュー 第357話と358話において、烏野 対 鴎台の試合にて、月島と星海(ほしうみ) がネット際でマッチアップしている。

星海がスパイクし、月島がミドルブロッカーとしてスパイクをブロックしようとする。

(ちなみに、その場面は、星海がレフト側からスパイクを狙う。それに対して烏野は ブロック2枚。
ブロック側の目線で言うと、ブロック2枚は、右側に影山、左側に月島。)

月島はスパイクに対してブロックに行くが、その時、星海がブロックの手に当ててブロックアウトを狙っていることを察知する。

(月島はスパイカーの視線がブロッカーの手に集中していることを観察して、それでブロックアウトを狙っていると判断する。)

月島は、星海のブロックアウトを狙ったスパイク時に、手をボール軌道上から避け、結果、星海の打ったボールは、大きくコート外へ飛んでいく。

月島の目論見が成功し、星海のブロックアウト狙いの強打は失策となった。

それを見ていた、試合外の人たちが話し合う内容を、筆者の理解で言い換えると以下のような内容になるのでは、と筆者は考えている。

星海は、ブロックアウトを狙ってブロッカーの手に当てる、というプレーが、ブロッカーの反応次第で無効化される可能性があることを「知ってしまった。」

星海にとって、ブロックアウト狙いの強打は一つの武器だが、それがこれからは「常に落とし穴に遭遇する危険性をはらんだものだ」、ということを頭に刻まざるを得なくなってしまった。
その心理的な影響は、この試合中ずっと続く。

■ブロックアウト対策、日本代表の石川選手のグーの手のブロック

(月島のプレーからの連想だが、確か、パリ五輪 バレーボール 日本対イタリア戦などでブロックアウト狙いの傾向のある選手に対して、石川選手が、ブロックの手を、ジャンケンでいう「パーからグーに」とっさに変更している場面があった。
パーの形だと、攻撃側はブロックの指先にボールを触れさせて得点にしやすい。
とっさにグーの形になっていると、攻撃側は相手の指先狙いのスパイクを打つ場合、意図が失敗しやすくなる。)

■おわりに



二度あることは三度ある、というが、「一度あったことは二度ありそうだ」、と警戒するのも自然な感情だと筆者は思う。

西野さんの、オフサイドトラップについて話した言葉が面白く感じ、それから連想された桜木 対 沢北のケース、月島 対 星海のケース、を並べて書いた。

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