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73.楽典の初歩的勉強ノート。「調」に免疫をつけたい。ブルージャイアントの空港の演奏楽曲。

楽典の初歩的勉強ノート。「調」に免疫をつけたい。ブルージャイアントの空港の演奏楽曲。


文字数 5200







以下に言う楽典ガイドというのは、
「一冊でわかる楽典」
成美堂出版
で、それを参考にしている。

楽典ガイドの引用という時は、以下は全て、同書からの引用である。



男と犬が会話している。
会話のテーマは音楽の楽典の知識についてである。
それぞれ楽典の初歩的な知識しかない男と犬とが話し合っている。






男くん、いつも通り、まあ好きに喋ってください。







僕が今気になっているのは、少し前にドビュッシーのCDを数枚聴いたんだけど、それらの演奏者、曲名がなんだかごちゃごちゃしてしまってね。気になることといえばまずはそれかな。
記憶の整理、頭の整理をしたい。

演奏者は、ギーゼキング、ミケランジェリ、ベロフ、だと思うが、誰がどの曲を演奏したのか把握できていない。

今ちょっと確認できるだけ確認してみよう。中途半端にしか確認できないので、不確かな情報だが、おそらく今確認した限りだと、僕が聴いた音源の演奏者と曲名の組み合わせは大体以下のようになる。



ギーゼキング
→ 「映像第1集、映像第2集、ピアノのために、版画 、英雄的な子守歌、ハイドン讃」がまとまって入っているCDか?
または、練習曲 第一、第二

ミケランジェリ
→前奏曲、または、映像?

ミシェル・ベロフ演奏
→ 12の練習曲



それぞれの演奏者の生没年など把握したいと思っている。そもそも最初は詩人のマラルメに関心を持つようになってその延長でドビュッシーに興味を持つようになった。

マラルメに関心を持つようになったのはヴァレリーの本からで、ヴァレリーに関心を持つようになったのは河上徹太郎と小林秀雄の本や両者の対話からだった。

河上徹太郎の本の中でギーゼキングに触れていたな。「私の詩と真実」という本の中で少しだが。それでギーゼキングのことが気にかかっていたような気もする。





男、引き続き話す。

それはともかく、最近、僕は楽曲の調というものに関心を寄せている。

漫画 ブルージャイアントの2部 シュプリーム supreme 編の6巻で、ポーランドのピアニスト、マレク・ヤニツキ(登場人物)が空港のピアノで、
「リストの ピアノソナタ ロ短調」を弾いている。

例えば、この曲の調についてあれこれ考えたい。僕は調について素人なので話せることは初心者レベルの知識のおさらいにすぎないが、初心者レベルなりに、あれこれ喋るうちに知識が自分の中に定着することを願う。




他にも、曲名と調以外に気になった描写が当該シーンにいくつかある。
四つ、気になったポイントを以下に挙げる。



ポイント1
ピアニストのブルーノとヤニツキが連弾をする。
曲は、バッハのクラヴィーア。

→ バッハの曲は耳馴染みのものがいくつもある。だが僕はどれがどれなんだか曲と名前が一致しない。知識を整理したい気持ちがある。
よく把握できていないが、パルティータ、メヌエット、とか色々な単語がある。「それはバッハ関連の単語ではない」など細かいツッコミの余地ももしかしたらあるのかもしれないが、とにかく、こうした色々な言葉や名前が曖昧漠然と頭や記憶にふわふわ浮かんでいて、なんだかそうしたものたちに秩序を与えたいと思っている。

「聞いたことはあるけど、実際よくわからない名前や単語」がクラシック音楽についてたくさんあるように感じている。スケルツォとかね。
そうした知識の整理をしたい。

メヌエットについては、手元の楽典ガイドのp44に、解説はないが、4分の3拍子の曲として紹介されている。

バッハ作曲、メヌエット  ト長調  BWV Anh. 116
→ この Anh. はBWVの中の細分類的なカタログだろうか。こうして一つチェックすると、「わからない言葉や単語」が無限に細胞分裂していって、「わからないもの」は永続的に存在し続ける感じを抱く。



ポイント2
ブルーノはヤニツキに
、「次は長めに64小節弾いてくれないか?ここからマレク(・ヤニツキ)の演奏を、クラヴィーアの 6 Ⅵ に変えて。」引用
ブルージャイアント 2部 6巻
という。

→ こうして小節の数を指定して話す様は素人には目新しくて面白く感じる。
クラヴィーアは、バッハ作の「平均律クラヴィーア曲集」と思う。一巻と二巻があり、それぞれ24曲からなる、24曲というのは、各調ごとの曲で、前奏曲とフーガから構成されているという。

調の数は全部で24個。

「Präludium und Fuge」→ 前奏曲とフーガ、
下記ページで第一巻を中心に音源の再生もできる。

Wikipedia  平均律クラヴィーア曲集
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%B3%E5%9D%87%E5%BE%8B%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%82%A2%E6%9B%B2%E9%9B%86


平均律クラヴィーア曲集
第一巻→BWV 846〜869
第二巻→BWV 870〜893



ポイント3
漫画の中で単語が二つ出てくる。
・シンコペーション
・インプロビゼーション(即興演奏)

シンコペーションはよく聞く。楽典の本でも見かけるが僕はいまだにその意味を理解していない。インプロビゼーションの方は「即興演奏」とルビがふってあって、おかげで大体の意味はわかる(と感じている)。シンコペーションについてこれから知りたい。

→ 手元の楽典ガイドには、p48に説明がある。
「弱拍にアクセントが移動し、緊張感や爽快感が増す」引用、 とある。
また、「シンコペーションを使うと、スリリングな効果を得られるので、ジャズでは特に多用されます。」引用、とラヴェルのイラストから吹き出しで書かれている。

強拍にある音を前の弱拍やウラ拍に動かし、アクセントの位置を変える、というのがシンコペーションらしい。頭ではわかったが、おそらくYouTubeなどでそれを強調したような動画を見ると、より理解が進みそうに思う。
ちなみに、シンコペーションに絡めて、同じページで「アウフタクト」についても書かれている。長くなったので、ここでは触れない。



ポイント4
漫画にて、ピアニストのブルーノは言う。「次は短く頼む‼︎ 8小節で‼︎」引用
ブルージャイアント 2部 6巻

→ポイント2に挙げた「64小節」の話と同種類。ポイント2の時は、ソロを長めに64小節、マレツキが担当したが、今回は短めで8小節。







なるほど。
君の挙げた、リストのピアノソナタ ロ短調について、
自分の手元の楽典の本を見ると、
ロ短調(Bマイナー)、 ト音記号の右の調号は♯2つ、
♯ シャープは、ファ、ド についている。

調について、♯は、ファドソレラミシ の順につくらしい。全音4音ずつ上に(これは毎回、完全5度上に上がるペースで、ということで合っているだろうか?) あたる音が追加されていく、という解釈であっているだろうか。

ファの 5度上はド、ドの5度上はソ、ソの5度上はレ、レの5度上はラ、ラの5度上はミ、ミの5度上はシ、となるので、どれも指折り数えてみたが、いちおうここまでつじつまは合っている。

しかし、僕も君も素人だから、こうしてあれこれ話していても心許ない感じはどうしてもあるね。







本当にそれは感じるね。まあ、思うことをこうして書いておけば、間違いを訂正してもらうこともやりやすい。
楽典ガイドを眺めていても、僕はどうも理解が発展していかないように感じる。稚拙でもこうして文字を駆使して、作文してみて、「知識を操作する」ということが必要なのだと思う。

西田幾多郎は、「知ったことを「使う」ということが大事だ」ということを言っていたように僕は認識している。大して彼の作を読んでいないのだけどね。
稚拙でも、書くこと、話すことで、「知識を操作・操縦」して、小慣れたものにしていくことが大事だと僕は思う。


楽典に戻ろう。
リストのピアノソナタ ロ短調 について、
ロ短調(Bマイナー) は、♯記号2つだが、♯記号2つの調はロ短調(Bマイナー)以外にも ニ長調(Dメジャー)がある。
こういうのをおそらく「平行調」というみたいだ。

楽典ガイドを見ると、ト音記号などのすぐ近くに書く♯ シャープ、♭ フラットを 「調号」と言うようで、
ふだん、音符の近くに書く♯ ♭ ナチュラル などの記号は「変化記号」(または臨時記号?)と言うらしい。

自分は、音符近くの♯ ♭なども調号と言うと思っていたが、今の自分の解釈だと、そちらは「変化記号」(臨時記号)と呼んだ方が良さそうだと思い始めている。







そうか。僕もてっきり、音符近くの♯ ♭記号を 調号と呼ぶ気持ちでいた。正直、わからないことだらけという感じがあるな。

楽典に、調について、「五度圏、サークルオブフィフス」という図がある。
それを見ると、「ロ短調 Bマイナー」と 「ニ長調 Dメジャー」 の2つの調は、五度圏の図の 時計の針の2時のところに位置している。

調は24個で、五度圏の サークルの 外側と内側にそれぞれ長調、短調が位置するようだが、時計の針と相応する図になるので、こうして何時の位置に、と言葉で容易に表現できるのは有り難い。



それにしても、
♯の調号は、
まず一個目がついた後、二個目、三個目と続く中で、
右下、右上、右下、右下、右上、右下、と続く。
もっと簡略に言えば、下上下下上下、と続く。

基本的にジグザグにつくが、♯ 4→5個目が ジグザグにならない。

それに対して、
♭の調号は、
まず一個目がついた後、♯の時は下→ 上と続くが、こちらは右上追加から始まって、その後、下上下上下 と素直にジグザグが続く。♯と違って、「下下」ということはない。
♭の場合は、一個目に対して、上下上下上下、と続く。





引き続き犬が話す。


話は変わるようだが、同主調について、
ハ長調の同主調はハ短調だと書いてある。

それだと、さっきの「リストのピアノソナタ ロ短調」のロ短調 Bマイナー の 同主調は 五度圏の5時の方向にある「ロ長調(変ハ長調) 」のようである。

ハ長調の同主調として、時計のマイナス3時分のところにハ短調がある。
ロ短調の同主調として、時計のプラス3時分のところにロ長調(変ハ長調)がある。

これをもとに考えると、〜短調があると、〜長調は、短調からみてプラス3時分のところにあると見込んでいいかもしれない。
また、逆に、〜長調があれば、マイナス3時分のところに〜短調があると見込んで良さそうに感じる。



近親調というのは、同主調、平行調、属調、下属調を指し、
それ以外を遠隔調と呼ぶ、と楽典ガイドを読んで今教わった。



それにしても、♯の調号の一個目は ファにつく。
ファにつくから、ファ→へ で ヘ長調、ヘ短調かと素人考えに連想すると、そうではない。
♯がファ・へ につく。→ ト長調 Gメジャー  または  ホ短調  Eマイナー  となる。

♯が2つつく場合、♯はファに続いてドにつく。
だが調名は、ファにもドにも関係がなく、
♯2個つく(♯設置はファ(へ)・ド(ハ)) → ニ長調 Dメジャー または  ロ短調 Bマイナー  となる。

このあたりは、楽典素人にはちょっとややこしく感じるものがある。

まあ慣れていくしかなさそうだと思う。








基本的には慣れていくしかないものかね。仕方ないと思って、こうしてあれこれ話し合ったり作文したりして、頭に慣れさせていこう。

それにしても僕は、完全〜度とか、増〜度、減〜度、長〜度、短〜度、という考えがいまだによくわからない。それらについて、もっと理解や把握度を高めたいと思っている。

さっき、完全5度などと書いたが、そうした記述もヒヤヒヤものだ。
完全5度なのか、違うのか、基準が頭に定着していないのだからね。

それから僕は、Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ Ⅵ Ⅶ みたいな記号が出てくるのにも弱い。それらがよくわかっていない。どう言う時に使われるのか。

リズム、拍、拍子。そういうものもいまいちよくわかりきっていない。
フェルマータなども名前は目にするが、よくわからない。
正直わからないものがあまりにも多い…







まあ、そう気を落とさなくても良いだろう。
とにかく、今回、リストのピアノソナタ ロ短調を出発点に五度圏 サークル オブ フィフスの図などに前よりも馴染みを持つことができた。

音名についても、イロハ〜 と ABC〜  と ドレミ〜 の対応についても、前よりは我々は速やかに、どれとどれが対応するかが頭に浮かぶようになってきた。

今後も継続してやっていけば、ごく小さい初歩の歩みでも前進していけると僕は思う。







そうだね。まあ、悲愴な気持ちになったわけではないのだ。ただちょっと、音楽の領域全体というものが、なんだか輪郭のつかみきれない漠としたものに改めて感じられてクラっときただけなのだ。

初歩的な歩みだが、今後も継続していこう。



ここまで。

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