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雑記34 ノイズキャンセリング、るろうに剣心の二重の極み、左之助と安慈、植松努さんと宇宙



文字数、4100〜4300


■物理図録におけるノイズキャンセリングの記述



前に、学生向けと思われる、数研の物理図録を何気なく眺めていて、気になる記述があった。

(学生向けの図録や資料集は、学生でなくなっても学ぶことが多い。学生時に先生の一人が、「資料集は社会人になっても持っておくと何かと役に立つ」と話していたのを筆者は記憶しているが、今になってそれを実感している。
筆者の現在、所持している図録や資料集は、学生でなくなり、ある程度の年月が経過した後に、新たに収集したものばかりである。)


確か、「波」という項目にて、ノイズキャンセリングという言葉について説明していた。
(音の力の波、音波の項目の話のようである。)


筆者の表現を用いて、物理図録から学んだことを述べると以下のようになる。

ノイズキャンセリングの技術は、外からやってくる音をシャットアウトするものではない。
まず、外からやってきた音をキャッチし、解析し、その正体を明確にする。

それに、ちょうど「マイナス1」を"掛け算した音"を生成して、「外からやってきた音」と、「外からやってきた音に マイナス1 を掛け算した音」 とを衝突させ、外部音を中和、無効化するものである。

■引き続き、物理図録のノイズキャンセリングの記述について



外部音を+100 とすると、 それに対して、こちらから -100 を生成して、 足し引き 0 を目指す、というイメージだと筆者は理解している。

筆者は、物理図録の記述を読むまで、オーディオ機器(イヤホン、ヘッドホン)界隈で耳にする、このノイズキャンセリングという言葉は、単純に 外からやってくる音をシャットアウトするものと思っていた。

(外部音が +100 だとすると、それに 掛け算で "かける ×0.1" を 行い、 +10 まで 外部音を減少させるというイメージだった。
+100 ×0.1 = +10  となるイメージ)


「音の帳簿」 という、筆者が勝手に考案した概念を用いて以上のことを記述すると、

左辺・外部音(+)        右辺・内部生成(-)
100(ノイズ)                              
                                    100(ノイズキャンセリング)

となって、左辺と右辺の帳簿上の釣り合いが取れる。


■負の生成、positive、negativeという言葉について




外部音に対して、同じ値を「負の(-) 」 形にしたものをあてがう事象を「負の生成」と筆者は呼びたい。

この「負の」という言葉は、写真の「ネガティブ・ポジティブ」「ネガポジ」のように、良い悪いの意味合いを持たない、「西に対する東」と言ったような性格の言葉である。

外部音を
positive value  

内部生成するものを
negative value    

と呼称したとしても、そう出鱈目な表現ではないのではないか、と筆者の拙い英語の力を動員して思うのだが、このpositive 、negative いずれも 「西に対する東」という程度のもので、人間にとって「好ましい、好ましくない」 とか 「好都合な、不都合な」という性質は無い。


余談だが、病気の検査の「陽性、陰性」は、
陽性→positive
陰性→negative
で、
この場合は、人間にとって
「positive」が出ると何かと不都合な印であり、
「negative」が出ると好都合な印である。


日本人の一般会話の中では、positiveが良く、negativeは悪い、と単純に考えられる傾向があるように筆者は観察しているが、

この「病気の検査結果」、「写真のネガポジ」などは、そうした傾向に対し、逆向き、または無関係、という事例のように筆者は考えている。


■耳栓による「シャットアウト」、それとノイズキャンセリングの違い




一般的な耳栓(スポンジ的でつまんで小さくして耳に詰める) は、外部音のシャットアウトによる効果を狙うものだが、

こうした耳栓の、シャットアウトによる外部音の無効化は、外部音に、(正の数の0.1〜0.9) を掛け算するようなイメージである。

外部音+100 に、 かける×0.4 などの掛け算をして、+40 まで下げよう、というイメージである。


上記の「音の帳簿」の左辺・外部音 においてのみ、記入があり、右辺・内部生成の欄は記入がない状態になるが、
筆者の以前、初歩レベルのみ学習した日商簿記の帳簿記入(B/S バランスシート)を真似てみると、右辺に「結果として聴覚者に知覚される外部音、ノイズ」を記載し、


左辺・外部音(+)        右辺・内部生成(-) 及び
                                    右辺・結果聴覚される外部音

40 (=100×0.4)(ノイズ)                              

                                    40 (結果、聴覚される外部音)

のような状態になる。


筆の勢いで書いたが、筆者の日商簿記の知識は薄弱で、詳しい人の目からすると上記の記述は欠点の目立つものかもしれない。


■るろうに剣心、安慈と左之助の「二重の極み」とノイズキャンセリング、負の生成



るろうに剣心という漫画の中で、「二重(ふたえ)の極み」という技を、元僧侶であった安慈(アンジ)という人物が使う。
(安慈は、元僧侶だが、ある時に絶望して仏道に背くことをいとわない破戒僧になっている。
ちなみに、破戒→戒めを破る、であって、破壊とは異なるように思われる。)


この二重の極みは、単純な腕力での攻撃ではなく、微細な振動を対象物の内部に与え、その振動の結果として、対象内部を破壊するという技のようである。

安慈はこの技を、左之助に伝授する。
後に、左之助と安慈が敵同士となって戦うことになってしまう。仕方なしに左之助は必要に迫られ、安慈の肉体に、この二重の極みを打ち込む。

左之助は、安慈の肉体を二重の極みで破壊したと思ったが、その時に安慈は、自らの肉体に自身の手で二重の極みを打ち込むことで、左之助の二重の極みの振動を上手く相殺したようなのである。

左之助は驚くが、後に、逆に安慈が左之助に二重の極みを打ち込んだ時に、左之助が同じ事を行い、それで左之助は窮地を脱する。

(安慈が左之助の肉体に二重の極みを打ち、左之助は同時に自身の肉体に自ら二重の極みを打ち、攻撃は相殺された。)

この、左之助と安慈の「二重の極みの相殺」はあくまで創作物の世界の話だが、原理や発想としては、上記のノイズキャンセリングの話と類似点があるように筆者は考えらる。

相手の攻撃をシャットアウトするのではなく、
(n ×0.1〜0.9 のようなイメージ)

相手の攻撃の「負の複製」
(n ×(-1)というイメージ)
を あてがうことで攻撃の無効化を狙うものである。


■植松努さん、「無理だよ。」という声と、負の生成によるノイズキャンセリング




最近、ラジオで植松勉さんという方の話を聞いて、興味深く感じた。
(うえまつ  つとむ  さん)

植松さんは若い頃から宇宙について憧れの心を抱き、何か宇宙に関わる物事に携わりたいと強く願うようになったらしい。

植松さんの出身は、一般的な尺度で田舎といってよい土地のようであった。
植松さんは、「宇宙関連の物事に将来携わりたい」と周囲の人に話すと、必ず反対され、それは無理だよ、と諭されたという。

「宇宙関連に携わるには東大に行かなければならない。この地方から東大に行った人はまだ誰もいない。だから君にはそれはどうあっても無理だよ。」
という意味のことを、大人や周囲の人間から、多く聞かされたという。

植松さんは、それを鵜呑みにはしなかった。
植松さんは、
「宇宙好きである自分の観察では、宇宙関連の物事に携わっている人の中に、東大や宇宙系の専門の学校に通わないルートを辿っていった人がどうも少なからずいるように思われる。
周りの大人達は、東大に行かないと無理と言っているが、それは不正確で、鵜呑みにするべき話ではなさそうだぞ。」
という意味のことを心の中で思った、と話していた。


■植松努さん 「無理だよ。」という声と、それに対する二つの対応の仕方 ①シャットアウト ②ノイズキャンセリング 、その併用


何か人と違ったこと、変わったことをしようとすると、その行動がうまくいかない理由や、失敗する理由を、入念に説いて聞かせようという人は、今も昔も世の中に少なからずいるように筆者は考える。

そういう場合に、何か自分の心で決めた道を歩もうとする「挑戦者」と、(割と善意や好意からのケースも多いが)  その道を歩むことを諦めさせようと試みる「声多き傍観者」との様々な人間模様が生まれる。

そうした、「それは無理だよ。」「あきらめた方が賢いよ?」という外部からの言葉に対して、それを耳にする「挑戦者」の立場からすると二つの態度の取り方がある。

一つは①シャットアウトであり、もう一つは「負の生成」「負の内部生成」による②ノイズキャンセリングである。

①の シャットアウトは、「無理だ。諦めなさい。」と話す人との接触を減らす手である。

②の ノイズキャンセリングは、「無理だ。諦めなさい。」と話す人の言い分をキャッチして、その内容を把握し、その矛盾点を明確にする道である。

「Aという理由によって、それはうまくいかないと断言できるよ。」と言われた時に、その言葉をキャッチして、事物をよく観察し、

「Aという理由によって、それがうまくいかないと あの人は言っているが、自分の観察する所では、例えば 20の前例があり、その内の 14例が成功している。"100%成功しないものだ"と事前に言い切ることは自分には妥当なものとは思えない。」
というような想念、もしくは文面を、心の中に持てると、

「無理だ。」というノイズ(+100) は、
「無理だ、と言い切るのは理屈に合わない。」 というノイズキャンセリング(-100) の生成によって、足し引きゼロの、効力の無い状態になる。

この二つの態度、シャットアウトと ノイズキャンセリングは、二者択一のものではなく、併用が可能である。

「声多き傍観者」にいたずらに悩まされることを避けたい「挑戦者」は、

まず、その声の多くをシャットアウトし、それでも耳に入ってくる「無理だよ、諦めなさい。」という声を、自己内部で「負の生成」(ノイズキャンセリング)によって中和する、

という二段構えの方策を取ることが可能である。


■ ここまでです。


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OndokuAikouka(音読研究×小林秀雄散策)
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