雑記57 ラジオから: やなせたかしさんの話 「なんのために生まれて なにをして生きるのか」
雑記 ラジオから: やなせたかしさんの話 「なんのために生まれて なにをして生きるのか」
800文字ほど
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アンパンマンの作者、やなせたかしさんについての話がラジオで放送されていて、強く印象に残った。
やなせさん夫婦に子供は無かった。
夫婦は、アンパンマンを自分たちの子供と思って、大事に考えていたらしい。
奥さんは先に亡くなったらしい。
残された、作者である やなせさんは一人になり、一体自分はこの先、どう生きるべきか、何のために生きるのか、という問いが、彼の心の中を「エンドレステープ状態」で、領するようになったという。
なんのために生まれて
なにをして生きるのか
こたえられないなんて
そんなのはいやだ
というアンパンマンのマーチの歌詞は、やなせさんの心の中に無限に鳴り響いていたらしい。
夜、やなせさんが就眠しようという際にも、
「なんのために生まれて、なにをして生きるのか、こたえられないなんて、そんなのはいやだ」
という言葉が繰り返し彼の頭の中に浮かんできていたという。
この歌詞を、そういうものとして考えると、自分としては、やなせさんの心の内を思い浮かべてみて、感慨深いものを感じる。
奥さんに先立たれ、一人になった やなせさんが夜 この歌詞を 何度も心と頭の中で反芻していたと思うと、この明るい曲調がかえって、強い寂しさを感じさせるように自分にはどうしても感じられる。
奥さんはアンパンマンというキャラクターを自分の子供と思って大事にしていた。
残された自分は、残された時間で何をなすべきか。
(自分は、勝手に「時は はやく すぎる 光る 星は 消える」、「たとえ 胸の傷が いたんでも」という、歌詞の一部を連想する。)
そうした時間を過ごす内に、やなせさんは、次第に、アンパンマンランドの創設を目標にするようになったらしい。
ふとラジオで聞いた話で、自分は やなせさんについての資料などにも見聞はほとんどないのだが、どうにもこのことを繰り返し思い浮かべてしまうので、一度言葉にしておきたいと思った。