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漫画愛をそのままで

私は漫画を読むことが好きで、この世のあらゆる娯楽で一番好きかもしれない。何もやる気が出なくて屍みたいなときも、漫画は私を元気にしてくれる。

社会人1年目の終わり頃、仕事が合わなくて退屈でつらくて、いつも救ってくれるのは漫画だった。
そのときは『消えた初恋』の1巻を読んでいる最中だった。あまりの面白さに気持ちがブワーーっと刺激されて、好きなことを仕事にしよう!と思った。その後すぐに調べて出版社に応募した。

ESを書いていても、面接の練習をしていても、自分の読書量の少なさに気づかされた。第一志望は漫画の編集だったけど、漫画のことばかり書いていれば通るものではなさそうだった。漫画の次に好きなのはノンフィクションやエッセイで、第二志望にはそう書いていた。それでもやっぱり、週刊誌のことも小説のことも聞かれる。あと漫画は単行本派だけど、最初は雑誌で連載があって単行本になるのが一般的だから、雑誌のことも知らないと話せないことがあった。話せるようになる必要があると思った。
だから好きじゃないジャンルも内容もたくさん読んだ。お金もかかったけど、これは夢への投資だと思うことにした。強制されたわけじゃないけど、自分でそうしなきゃだと思った。
自分が好きだと思うジャンルや絵柄、作家で選ぶとどうしても量は少なくなるし偏る。好きな作品も苦手な作品も比較しなくてはいけない。そういう仕事だと思った。
それがキツかった。5〜6社受けていたので、それだけの出版社が出している本をジャンル満遍なく読もうとした。どんどん読書という行為が、漫画ですら、義務でありストレスになっていった。
読んだ本に対する感想も、ごちゃごちゃした熱々の感情が入り混じったものじゃなくて、客観的で的を得た分析みたいな考察みたいなそういうことをしなきゃいけないと思っていた。だから余計に辛かったのだと今は思う。たぶん自分の混沌としたまとまりのない感想に自信がなかった。
そうすると、本当の気持ちがなんだったのかどんどん分からなくなった。評価されるための感想と、本当に思っていることが乖離してきた。

結局、2社は最終選考の一歩手前まで行けたけど、内定はもらえなかった。ちょうどその頃、会社で異動の面談も受けていて、合格通知が来ていた。内定をもらえなかったことは予想できていたし、ショックではあったけど、ようやく終われるとも思った。

その後も、インスタで発信したり、それこそnoteで感想を書いたり。色々考えたけど、そういうときに頭に浮かぶワードが『年間〇〇冊マンガを読む20代アラサー女の....』とか『生きづらさを感じるときに〜』とか、キャッチーで誰かに認めてもらえそうな数値とかフレーズとかで、なんか嫌になった。
出版社を受けているときに数えてみたら年間で200冊くらい漫画を読んでいた。たしかに量を読んで比較している人のレビューは参考になるとは思う。だけど私は、数字とかウケとかそういうのを考え出すと、この純粋な漫画が好きだ〜!という気持ちが形を変えてしまうような気がした。
それに気づけたという点では、出版社を受けて良かったなと思う。でもわからない、私の思い込みもかなり強いと思う。だから今後、実際に漫画を編集してる方に出会って話を聞いてみたいなとは思ってる。

現時点では、ただ好きでどうしようもなくて誰かに話したくなる作品だけを、愛をそのままの温度感で語りたい。愛に溢れる読者でいたいな〜〜と思っている。

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このnoteを書こうと思ったのは『ふきよせレジデンス 上・下』(谷口菜津子)を読んだことがきっかけだった。

最近このツイートで谷口さんの読み切り漫画を読んだ。めっちゃくちゃ可愛くてキラキラしている絵に、予想外なストーリー。心臓をキュッと掴まれた。この方の漫画、絶対に他の作品も好きだーーー!!と思った。

もっと読んでみたい.....と思って、軽くネットで調べてから近所の書店に買いに行った。お目当ては『今夜すきやきだよ』と『ふきよせレジデンス』だった。ふきよせ〜の上下巻を買った。
(『今夜すきやきだよ』は在庫がなくて、Amazonで買った。もうすぐ届く、楽しみ!)

家に着いてチャイラテを作って、気持ちは正座をして、いざ。
やっぱり大好きなキラキラの絵で、物語の内容も今の私にぴったりで、あぁ出会わせてくれてありがとうございます......と感動した。

同じアパートに住む住人たちと、近所にあるコンビニの話。みんな一人暮らしだけど、「独り」ではなくて、それぞれの事情にアパートの住人たちが不器用ながらも手を差し伸べてくれて支え合っていて。歌ったり美味しいものを食べたり植物を育てたり悩みを話したり。些細なことが些細じゃないくらい日々を支えてることに気づかせてくれる話だった。
私も一人暮らしで、でも遠隔で近況報告をできる彼氏がいたり、心配してくれる家族がいたり、会いたいと思える友達がいたり。会ったことがなくてもこんな人がいるんだなって思わせてくれるネット上の友達もいたり。わかるな〜と思うところと憧れるなぁと思うところがぎゅっと詰まった物語だった。

特に好きだったのは、コンビニ常連客のちょっと?だいぶ?厄介なおじいさんが「幸せな瞬間もあった。どんなに今の気分が最悪だからって、そんな自分の人生を一括りに不幸だと思いたくない。」と言う場面。
言葉そのものもそうだけど、数ページにわたる大きくて綺麗な絵を見たときにウルッときてしまって、この気持ちを忘れたくないと思ってnoteのアプリを開いてメモをとった。
(そのときのメモ)
これってもともとはゼロだったんだ。何もなかったんだ。作者の方と関わってる皆さんがストーリーを考えて、絵を描いて、一冊の漫画本にして生まれたんだ。ゼロだったところからこの作品ができて、読んだ私は泣きそうになって、途中で栞を挟んで、このnoteを書いている。奇跡だな。

映画『怪物』を観たあとの感想にも書いたけど、やっぱり今よりもう少し私は自分のことばかりではなくて人を助けたり困っている人に手を差し伸べたりしよう。自分のためだけに生きるような人間にはなりたくないな。

昨日、電車に乗っていて、小学生くらいの女の子と女性が途中から乗ってきた。2人が乗ってきた瞬間を見てなくて、他人なのか親子なのか分からなかった。私の隣に女性が座って、その隣は空いていなくて、一つ飛ばして女の子が座った。ちらっと見ると女の子が女性の方を見ていた。あ、親子かな?と思って、私は席を立ってスーッと電車内を歩いた。
すると女の子はすぐに立って女性の隣に移動して、ニコニコと喋りかけていて、よかった〜〜〜!と嬉しくなった。
そのとき、今一番うれしい気持ちなの、きっと私だろうな〜と思った。見てみぬ振りするのは楽だけど、ちょっと苦しい。お節介するのは勇気がいるけど気持ちがいい。これからも、自分のエゴでもいいから、困っている人に何かできる人でありたい。

あと何度も言っているけど、とにかく絵が可愛くて、私も可愛いものを作りたい!何か!という欲が湧き上がった。
私の行動源はこれまでも結構の確率で漫画だった。
とりあえず、普段使っているノートをステッカーでデコってみた。可愛い。

改めてこう書いてみても私の読書感想ってとっちらかっている。全然整理されてなくて、内容も伝わらないだろうなーと思う。小中学生の頃は、先生が花丸くれそうな構成で書けてたのになぁ。
でも今後も大好きな漫画についてまたnoteを書きたいな。とっちらかってるけど、嘘だけは書かない、ウケを狙ってそれっぽい文章にしない。それだけは胸に刻んだ。

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