三連休を取り戻す
9月18日(月)。
三連休の最終日だ。
三連休の最終日になってしまった。
金曜日の夜に同期との飲み会からご機嫌に帰宅して以降、外の空気を吸っていない。
土曜日はAmazonプライムで映画を4作品鑑賞し(ベッドの上で)、日曜日は先輩から借りた漫画を一気読みし(ベッドの上で)、そして現在、月曜日正午になってしまった。
私はインスタグラムを眺めている(ベッドの上で)。
惰性で流れるストーリーには、福岡のお祭りや宮崎の高千穂峡、静岡の海鮮丼、大阪のあべのハルカス…。さらには韓国やフランスに新婚旅行に行っている人まで。
実に活動的で、単純に嫉妬する。
対して私はというと、先述の通りの有様だ。
SNSに映された景色によって自らの行動を変えるのは癪だが、嫉妬の感情に気付いてしまったなら仕方ない。
最終日の午後に差し掛かってしまったが、三連休を取り戻してやろうではないか。
おひとり様休日満喫ツアーの開始だ。
出発
重い体をベッドから起こし、手早くシャワーを浴びる。歯を磨き、3日ぶりに髭を剃る。
シンプルなTシャツとズボンを見に纏う。
最後に、お気に入りの眼鏡をかけて家を出る。
安物だが、これをかけるといつもと違った気分になる(普段はコンタクトを着用している)。
本来ぼやけて見えるはずの見知らぬ場所が、レンズを通すことで焦点が合い、細部が明らかになっていく感覚が好きなのだ。
玄関のドアを開けた瞬間、久しぶりの外気が全身を襲う。
不意に「あっつ〜」というまあまあ大きめな独り言が口から漏れ出る。
左に目をやると、ドアの影からお隣さんの姿が見える。なんと、これが初対面。
パチクリとした大きな目が印象的だが、あれは恐らく、大きな独り言を放つ変人が自分の隣人であったことへの驚きと恐怖による、一過性のものであろう。
想定外のご対面に出鼻をくじかれたが、電車の発車メロディと共におひとり様休日満喫ツアーが始まった。
①品川神社
最初の目的地は、品川神社。
以前、用事があって品川へ向かっていた際、車窓から見えて気になっていた神社だ。
品川という巨大なオフィス街の手前にある大きな緑の塊に目を惹かれたのだ。
京急新馬場駅からすぐ。地図を見ずとも辿り着けた。
深い緑の中に、鳥居がどっしりと佇んでいる。
鳥居から階段を登り、歩みを進めていくごとに雰囲気が変わっていく。神社のすぐ近くを通る車や電車の音は、距離以上に遠ざかっていく。
世間と隔絶された神社特有の空気感に変貌していく感じ。これこれ。こういうの、好きだ。
階段を登りきり、さらに歩みを進めると朱色の社殿がある。
風が吹き、わずかに砂埃が舞う。西側からの太陽によって、キラキラと社殿を彩っているように見えた。
参拝し、おみくじを引く。
「末吉」。
全体的に良くない内容だが、出産だけは「安し」だった。
従兄弟夫妻が今月出産予定日を控えているので、写真を撮って送った。
②珈琲館 紅鹿舎
新馬場駅から京急線と山手線を乗り継ぎ、降り立ったのは有楽町。
やってきたのは「珈琲館 紅鹿舎」だ。
「有楽町 カフェ」
という安直な検索に引っ掛かった大量のお店の中で、この店の写真に一際目を惹かれた。
10分ほど並び、店内に入る。
店の目の前を通る電車の轟音から一転。正統派喫茶店といった落ち着きのある空間だ。
なんでもこの店はピザトーストの元祖らしく、そうとなれば注文はもちろん決まっている。
セットのドリンクはアイスレモンティーにした。店名に珈琲と入っているが、外の暑さと好みの問題で苦渋の選択だ。
分厚いトーストの生地は甘く、しょっぱいチーズやトマトソース、お好みでかけるタバスコともよく合う。
この分析が正しいか自信を持てない私の貧乏バカ舌でも分かる。これは美味しい。
元祖ピザトースト、恐るべし。
油分がまとわりつく口内をアイスレモンティーで流せば、大満足のうちに至福の時間は終了。
ごちそうさまでした。
③ザ・博多
本日最後の目的地は「ザ・博多」。
有楽町にある福岡のアンテナショップだ。
私は今年の3月まで、2年間福岡に住んでいた。
職場の友人が昨日から福岡旅行に行っており、出発前にお店やお出かけスポットを紹介しているうちに、福岡がとても恋しくなってしまったためアンテナショップでガス抜きをしに来た。
10分ほど店内を物色し、糸島のだいだいを使用したポン酢、九州醤油味のポテトチップス、そして、博多織の栞を購入した。
糸島のポン酢は過去にも現地で購入したことがあったが、だいだいのものは初めてなので楽しみだ。
九州醤油味のポテチは、日本全国での展開にしてほしい。切実に。おやつとしてもおつまみとしても重宝しているのだ。
そして博多織の栞。
以前からしおりを探していたのだが、どれもデザインがしっくりと来なかった。それが今回、「ザ・博多」で見つけたしおりに一目惚れだ。
220円という価格も後押しし、2つ購入した。
(ちなみに私は、仕事での名札ストラップと名刺入れも博多織の物を使用している)
急遽決定したおひとり様休日満喫ツアー。
結果は大大大満足だ。
どこも初めて行った場所だったが、期待を超えるお気に入りスポットになった。
さらに、目的地へ向かっている途中にも、新たな行ってみたい場所がどんどん増えていく。
何気ないお出かけは、これが一番の醍醐味かもしれない。
次の三連休は、初日から行動を起こすと誓い、陽が沈む前に帰路についた。
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