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2のn乗のザックリ計算

 デジタルは2進法の世界ですから、「2の何乗」という数字がしょっちゅう出てきます。そんなとき、まともに計算してはいられません。そこで「2の何乗」の値を瞬時にザックリ計算する方法をお教えしましょう。
 いろんな場面で使えて、重宝しますよ。掛け算の九九を学んだら、次に学ぶべきは「2 のn乗のザックリ計算」・・・いかがでしょうか。

ザックリ公式1

 2 の10乗 = 1024 ですが、これを 2 の10乗 = 1000 と計算すると、2 の n 乗のおおよその数が瞬時に計算できます。

ザックリ1

(2の0乗から 2の9乗まではその都度計算するか、覚えちゃってください )
 ここで紹介しているザックリ計算には、もちろん誤差があります。けれども、何万・何億・何兆の話をするときに、一の位や十の位がいくつかなんてどうでもいいことです。それよりもおおよその大きさを負荷なくつかむことの方が大事です。最近のデジタル機器ではこれらの位が普通に使われていますから、このザックリ計算ができるとなにかと役立ちます。いろんな場面で使えて、重宝しますよ。

ザックリ公式2

 欧米式の位取りでは、通常1000倍ごとに単位が繰り上がります。「千=thousand=キロ(K)、百万=million=メガ(M)、十億=billion=ギガ(G)、一兆=trillion=テラ(T)」です。1万倍ごとに繰り上がる日本式の位取りに比べて、欧米式のそれの方がデジタルとの相性が良さそうですね。

ザックリ2

 デジタルの世界は2進法ですから、むしろこれがデジタルの世界の正確な数え方なのです。つまり「2の10乗=キロ(K)、2の20乗=メガ(M)、2の30乗=ギガ(G)、2の40乗=テラ(T)」は近似値とうより、正式採用されているわけです。要するに微妙に差のあるこの2種類の位取りが混在しているのが現実ですが、どちらにしてもザックリ言えば同じ値なのですから、同じと見做して良いのです。

練習問題

 では、ちょっとだけ練習しましょう。なるべく早く答えてください。

(1) おおよその大きさを「千、万、億、兆」で答えてください。
  ① 2 の 13 乗  ② 2 の 24 乗  ③ 2 の 35 乗

(2) おおよその大きさを「K、M、G、T」で答えてください。
  ④ 2 の 18 乗  ⑤ 2 の 22 乗  ⑥ 2 の 46 乗

(答えは順に、8千、1600万、320億、256K、4M、64T)

問題演習

【問1】
 紙を1回折ったら厚さは2倍になります。もう1回折ったら厚さはさらに2倍になります。
 さて,厚さ0.1mmの紙を何回折ったら、東京スカイツリーの高さ(634m)を超えるでしょうか?

【問2】
 デジタルの最小単位は「ビット」で、それを8個束ねたものが1バイト(B)、つまり「8ビット=1B」です。
 1ビットのオン/オフで2種類のものを区別できます。2ビットで4種類のものを区別できます。
 さて、世界中の全ての人に異なる記号を割り振るには、何バイトあればよいでしょうか?

【問3】
 ある細胞を培養すると、1秒後に2つに分裂します。さらに1秒後にそれぞれの細胞が分裂します。
 その細胞1つを容器に入れて培養したところ、10分で容器がいっぱいになりました。
 さて、同じ容器に2つの細胞を入れて培養すると、どれだけの時間で容器がいっぱいになるでしょうか?

【問4】
 アルファベット(26文字)の大文字・小文字と数字の10文字と記号2つ(+と*など)をあわせると 64(=2の6乗)文字になります。これら64種類の文字を6個並べてパスワードを作ります。
 さて、パスワードを破るために、6文字の文字列を辞書式に順番に入力することを想定しましょう。コンピュータを使って1秒間に1通りを試みるとして、また1年=3千2百万秒として計算すると、全ての場合を試みるのにどれくらいの時間がかかるでしょうか。

 デジタルってすごいですね。余談ですが、今から「2^59 秒前」に何が起きたか、知っていますか?
 実は、宇宙が誕生したんです。137億年を秒に直して、2の何乗の形にしてみたら、こうなりました。でも、このように書くと、宇宙ができたのって、ついこの前のような気がしてくるから不思議です。

※ 解答・解説はこちら(→ 問1〜4 )をどうぞ。

フルカラーの色数

【問5】
 「現在のPCのディスプレイでは約1600万色を表現できる」 という。
 その理論を、下の語群の単語/数をすべて使い、計算式を交えながら説明しなさい。
   語群  :  バイト   256   2^10(2 の 10 乗)

※ 解答・解説はこちら(→ 問5 )をどうぞ。

私のご先祖様はぜんぶで何人いるか?

 私は父と母から生まれた(どちらも健在なのでご先祖様とは言いにくいが)。両親にもそれぞれ父母がいて、つまり私の祖父母は合わせて4人。さらに4人それぞれに父母がいるから、私の曽祖父母はぜんぶで8人です。さらに世代をさかのぼると、一世代ごとにその数は2倍、2倍となっていきます。
 反対に、ある人物の子孫の数を正確に数えるのは難しい。子供の数は人によってまちまちですから。それに比べれば、ご先祖様の数を数えるのは簡単です。誰しも父と母の2人から生まれたに違いないからです。
 ここで、2 のn乗のおおよその値を求めるのに使える便利な式を紹介しましょう。

  • $${2^{10}=1024\fallingdotseq1000}$$           … (1)

  • $${2^1+2^2+…+2^n=2^{n+1}-2\fallingdotseq2^{n+1}}$$ … (2)

 ちなみに、デジタルの世界は2進法の世界ですから、これらの式はデジタルがらみの計算をするときにとても便利に使えます。
 もう一つ前提条件を考えましょう。世代ごとの年令差、つまり親が子供を生んだときの親の年令です。昔は今より出産年令が早かったようですから、平均で25才としましょう。そうすると100年で4世代、250年で10世代ということになって、計算もしやすいですから。
 では具体的に計算してみましょう。今から250年ほど前(江戸時代)までさかのぼると、私の10世代前のご先祖様は(1)より2^10=1024≒1000人。それ以降のご先祖様は合わせて(2)より2^11≒2000人となります。今から500年ほど前(室町時代)までさかのぼると、私の20世代前のご先祖様は(1)より2^20≒100万人。それ以降のご先祖様は合わせて(2)より2^21≒200万人となります。
 どんどんいきましょう。今から750年前(鎌倉時代)までさかのぼると、私の30世代前のご先祖様は(1)より2^30≒10億人、それ以降のご先祖様は合わせて(2)より2^31≒20億人。今から1000年前(平安時代)までさかのぼると、私の40世代前のご先祖様は(1)より2^40≒1兆人、それ以降のご先祖様は合わせて(2)より2^41≒2兆人・・・???
 ちょっとありえない数字になってきたでしょうか。でも、計算上はそうなるわけです。まぁ実際には、同じ人物を何回も重複して数えていることでしょう。何世代もの間では同じ人物の子孫同士(いとこ同士もそうですね)が結婚するようなことになるのでしょうから。こうして今いったい何を計算しているのかわからなくなってきましたが、何はともあれ私のご先祖様はとにかくたくさんいるみたいです。卑弥呼だって私のご先祖様(何十世代か前のおばあちゃん)かもしれません。たぶんそうでしょう。

倍々ゲームのリアリティー

 この計算、「2の何乗しか使えないなら、適用範囲は狭い」とお思いでしょうか。いや、そうでもないのです。ちょっとアレンジすれば次のように使えます。机上の空論かと思いきや、現実世界で起きています。

1日で 10% 増えるなら、1.1 の 7 乗=1.95 より7日で倍増する。
1日で 20% 増えるなら、1.2 の 4 乗=2.07 より4日で  〃
1日で 30% 増えるなら、1.3 の 3 乗=2.20 より3日で  〃
1日で 40% 増えるなら、1.4 の 2 乗=1.96 より2日で  〃

a 日で倍増するなら、2a 日で 4 倍に、
    〃      3a 日で 8 倍に、
    〃      4a 日で 16 倍になり、
    〃      10a 日で 1,000 倍に、
    〃      20a 日で 1,000,000 倍になる。

◇      ◇      ◇

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   ▷ エクセルの限界に挑む
   ▷ 天秤ばかりのおもりは、なぜ2進法?

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