浅ましいスキ
noteに記事を投稿し始めて2年近くが経った。
2年でようやく13本の記事を書き上げ、現在公開されている。かなりの遅筆である。
元来、文章を書くのは好きな方だし、そもそも広告業に携わる身として、日頃から言葉と生きている節はある。期せずして聖教新聞のキャッチフレーズとかぶってしまったが、私は創価学会員でも公明党員でもないことを明言しておく。ノンポリでございます。
業務以外、とりわけプライベートな文章を書き続けるというのは大変なことだ。noteを始めた頃は定期的に記事を投稿しようと躍起にもなっていたが、一度途切れてしまうと一気にモチベーションが下がり、その下降気流の勢いで置かれた筆は、長いこと頭の片隅に放置されていた。2021年の暮れに、どうしても書き上げたかった文章をアップしてからというもの最近また気を持ち直しているが、いつ元の木阿弥になるかわかったものではない。
今回は、過去記事の振り返りとともに、noteのダッシュボードから見られるページビューをベースに簡単なアクセス解析をしたい。そしてnote社に苦言を呈したいと思う。
まず私が2022年2月11日時点で公開している記事13本のアクセス状況がこちら。
アクセス第1位は一目瞭然。ダントツで「粘土くさい鶏肉について」が多い。
おそらくこれはnoteの記事が基本的にSEOに強いので、note内巡回というよりも検索エンジンにおいてオーガニックで「鶏肉 粘土臭い」というキーワード検索をする人が訪問してくれるのだろう。ネットの記事というのは如何にタイトルが重要かを、サンプルは僅かながら裏打ちする例といえる。世の人々が鶏肉を粘土臭いと感じている証明でもある。な、臭えよな?
アクセスに対してスキの数が19しかないのは、文章の内容が科学的に鶏肉の臭さを追求してるわけではなく、高校の卒業文集に寄せた作文をベースに粘土くさい鶏肉に思いを馳せているだけだからだろう。思ってたのと違ってごめんね、みんな。まあ検索エンジンでたまたまヒットしたブログがどれだけ面白かったとしても、いちち「いいね」は押さないのが日本人の性質だろう。決して自己弁護ではない。
続いて第2位は、山陰旅行記である「米子 松江 どっち」。1位には大きく離されてはいるが、堂々の2位である。
この記事は鳥取県米子市と島根県松江市のどちらが栄えているかの比較を綴ったもので、これもタイトル通り「米子 松江 どっち」と検索する人がそこそこいるのだろうと推察する。当時、ずばり私が現地で「米子 松江 どっち」と検索した実体験をもとに書いているため、字の如く地に足付いたマーケティング観点のコピーライティングなのである。もともと前職の会社のブログに書いた話がオリジナルでそれをリライトしたものなのだが、当時から(タイトルが功を奏し)アクセスが多かったし、見ず知らずの人がコメントまでくれたこともあった。
スキの数が2だけなのは、そもそもこの記事が長編であること、小説風であることが原因だろう。アフィリエイト広告の「調べてみました!」的なブログを思わせるタイトルからは程遠い内容なのである。なんせシャブ中のオンナが登場するのだ。誰も最後まで読んでないんじゃなかろうか。
第3位と第4位はかなり接戦で、記念すべきnoteへの投稿1本目である「ねこのコーネ」と、「33歳、ウンコを漏らす。」だ。
「ねこのコーネ」は上位2つと違って、おそらく私のTwitterプロフィールに設定したリンクから訪問している人が一定数いることが想像される。もしくは、note内でも訪問されやすいと思われる1本目の投稿だからである。下記に説明しよう。
これは私の全ての記事で実践していることだが、いわゆるタグ付けには配慮している。極力人気がありそうな、もしくは固有名詞のタグをつけるようにして、横の繋がりを強化している。インスタっぽくて気の進まない作業ではあるが、こういうことも無頓着なままではいけないと思い、抜かりなくやっている。noteが募集しているキャンペーンタグも可能な限り対応することで、note内のアルゴリズムに優位に働くよう取り組んでいる。
一方、散歩中にウンコを漏らした報告に過ぎない後者の記事は、なぜそこそこアクセスがあるのか皆目見当がつかない。note内巡回なのかオーガニック検索なのか、どっちなんだろう。渾身の力作である「ねこのコーネ」にテール・トゥ・ノーズなのが許せない。この世はスカトロ愛好家の巣窟なのか。
第5位には、全記事の中で唯一、仕事の話を書いた「Lovely Family」がランクイン。
コーネを出演させるべく、動物病院の広告を手掛けた話で、営業から制作までほぼ全て一人で担当したという鼻につくような自慢っぽいところもあるものの、noteはクリエイティブ話にウェルカムなプラットフォームなので、それなりに好奇の目で読まれているのだろう。(絶対的な数は全然自慢できるレベルではないが)
冒頭に書いた通り、途切れていたnoteへの投稿が復活する契機となった事件である「青森で詐欺被害に遭った話」が第6位。
過去に公開した記事がじわじわとビュー数を伸ばしているのを横目に、この話は投稿してまだ2ヶ月も経っていないにもかかわらず6位につけているので、今後に期待できる。タイトルがセンセーショナルなので、興味を引くのだろう。それにしてもリンゼイだけは許さない。おい、許さないからな。これも結構な長編だが、一読してもらえると嬉しい。5泊6日の東北旅行記である。
以降は、ここ1ヶ月以内に公開した記事になるので、自ずと下位につけている。ただ、祖母が亡くなったのを機に書いた思い出話の「梅鮭おむすび」はもっと読まれて欲しい。個人的に一番好きな記事だ。もっとスキがつかないと、おばあちゃん成仏できないよ。
全期間の集計によると、スキの数は100を超えている。記事の数、無名な私のバリューを鑑みると善戦している方だと思う。読んでも特に徳のない記事ばかりだが、基本的にはいくつかスキがつくので、モチベーションにつながっている。唯一、0スキかつ最低レベルのビュー数なのが、街中でシティーハンターを見かけた「Get Wild」。
なんでや!おもろいやろ!文字数も多くないし読みやすいやろ!
イオンモールでドーナツをおかずにうどんを食べていた人の話を書いた「うどんはドーナツとマリアージュできるのか」も、岬でのり弁を食べていたカップルの話を書いた「岬にて」も、大して構成と内容は変わらないのに、この2篇は割とスキが多いのは、やはり固有名詞タグを多く埋め込んだからだろうか。今日日シティーハンターで人は呼べないのか。「冴えない羽獠」気に入ってるんだけどなあ。
公開して1週間も経っていない、スタバで出会った音楽の話「ありがとうスターバックス」と、父が体験した驚くべき出来事を書いた「コーネのファン現る」は、現状はさすがに最下位につけているが、少なくとも前者は人気のキーワードであるスタバと音楽の話なので、今後それなりにビュー数は伸びるだろうと予測される。Ludovico Einaudiを聴きながら動向を見守りたい。
と、ここまで各記事の振り返りとともに、アクセス解析の所感を述べてきた。ブログで生計を立てている人は、毎日こうやって試行錯誤しながら運営しているんだなと思うと頭が下がるのと同時に、アクセスを集めることだけに注力して面白みのないコンテンツを量産しているんだなと思うと頭が上がる。
さてここで、note社に苦言を呈したい。
投稿した記事にスキがつくのはとても喜ばしいが、このスキ(♡)ボタン、ちゃんと記事を最後まで読んだ人だけが押せるようにして欲しい。
なぜなら、記事を投稿して間も無くスキがつくことが多いからだ。これはnote内における新着記事が読まれやすいという能天気な話ではなく、新着記事をスキすることで返報性を期待する「注目されたい人間」が、無作為にクリックしているからである。
例えば自営業の人間だとか、起業したばかりの人間だとか、クラウドファンディングしている人間だとか。とにかく、♡ボタンを押したことで記事の投稿者に届く通知から自身のプロフィールページにアクセスして欲しい人間が、率先してスキを押しがちなのである。あわよくば自身の記事へのスキ返しやフォローを期待しての行為と言える。実際にスキを押したユーザーのスキ欄を見ると、出るわ出るわ、投稿まもないnote記事へのスキが。絶対読んでないじゃん。これってめちゃくちゃしょーもない。
なんと浅ましいスキだろうか。
記事を読みもしないで押されるスキほど虚しいものはない。愛の無いセックスと同じである。愛撫の無いセックスと同じなのである。ええか、ええのんか。よくないわな。
よくないので、記事の最下層までスクロールするだけじゃなくて、文字数に応じた滞在時間を適当に設定して、その時間以上ページを表示していた人だけがスキを押せるようにするのはどうだろうか。
もしそんな機能を追加してくれるのであれば、ついでに欲を言わせてもらうと、記事内のスキだと思った箇所にホットポイント的な好意のマークをつけられるようになるともっとnoteでの創作が面白くなると思う。note社の加藤社長、深津さん、いかがですか。
あとこれは完全にお節介なんだけど、公営ギャンブル(競馬・ボートレース・競輪・オートレース)の予想記事を有料で投稿している記事を取り締まってほしい。誰が読んで信じるねん、名も知れぬ遠きユーザーの予想を。それなりに読まれているとしても、それを善しとするのかnote社は。手数料で儲かればそれでいいのかお前さんたちは。あんなもの、サーバーの肥溜めでしかないだろう。
情報商材系の記事も取り締まった方がいい。記事を有料で売れるというのは画期的なプラットフォームだけど、それが(犯罪ではないものの)悪事の温床になっているのを看過してはいけないと思うんです。
最後に正義マンぶってしまったが、noteはデザインが洗練されていて書いてて気持ちがいいので、よりカイゼンされていくことを期待しています。ありがとうnote。
余談。
noteの新たなサービスとして、書いた記事を自費出版で書籍化できればいいのになと思う。ページ数に応じた明朗な料金設定と、装丁やデザインはあらかじめ用意されたいくつかのテンプレートから選べるようにして、自費出版のハードルを下げる試みだ。オリジナルデザインも対応できたりすれば、note内でそれを専門とするブックデザイナーが活動を始めるだろうし。作家気取って自己満足のエッセイ集を出したい人は多いはず。加藤社長、深津さん、これ、金になりまっせ。
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