自分史上最高の写真が撮れました
一緒に働く仲間(アミーゴ)と面談していた時のこと。
「最近のポジティブニュースを教えてください」
伝えると嬉しそうな顔でアミーゴは言いました。
「昨日、自分史上最高の写真が撮れたんですよ!!」
アミーゴのテンションの高さに思わず、私の顔も綻びました。ポジティブニュースの内容は、仕事ともプライベートとも伝えてはいません。即答かつ熱量もこもっていたので、その話をもっと聞きたくなりました。
彼女が出会った史上最高の写真とはどんな写真だったのでしょうか?
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お客さまは4人でお越しのご家族で、お父さん、お母さんと小学生ぐらいの2人の男の子でした。
その撮影スポットでは、緑色のものがカットされ、実写で再現されるクロマキー合成を行っていました。クロマキーは緑のものが合成される為、お客さまの服が緑系の色だと合成されてしまう事があります。
兄弟のお兄ちゃんのシャツが、私たちの撮影背景用のグリーンとまったく同色のグリーンでした。クロマキー合成によりお子さまの服が合成される可能性をご両親に伝えると……
「せっかくの家族写真だし服を脱ごう!」
お兄ちゃんはさっそく服は脱いでくれたものの、なんだかすっきりしない表情。お気に入りの洋服だったのかもしれません。
1カット目
「それではお撮りします!」
ファインダー越しにご家族に話かけながら笑顔の瞬間を探っていきます。
話しかけているうちに笑顔も見えてきましたが、一人だけ真顔のままです。
お兄ちゃん……。やはりご機嫌を損ねてしまったよう。ここは何とかしなきゃと普段から高めのテンションをさらに高くしました。
お兄ちゃんの気持ちが晴れるよう、自分にできるだけのことをやろう。瞬発的にお兄ちゃんを笑顔にするために自分の引き出しからでたもの。
それは「にらめっこ」でした。
「いくよ⤴!!お兄ちゃん!笑顔よ~、見て~お姉さんの顔!」
自分がどんな顔をしていたのか私もわかりませんが、顔が熱くなっていたので、真っ赤になっていたことは間違いありません。
これに反応してくれたのがご両親。
「面白い!見て!見て!あなた!お腹痛い!」
真顔でまともにこちらを見ようとしなかったお兄ちゃんもご両親と弟の溢れんばかりの笑顔と笑声につられて、こっちを見てくれました。
私が撮影中に心がけている事。
それはお子さま一人一人に声をかけることです。
「弟くんもすごくいい笑顔!お兄ちゃんニコニコもかっこいい~!」
溢れる笑顔とはこういう事なのかもしれません。堤防から水が噴き出すようにご家族の笑いが止まりません。全員が声にならない声をあげて大笑い。
2カット目。ここしかない!パシャッ!ストロボ光の煌めきも反射してしまうほど全員が口を大きく開けて笑っていて、お兄ちゃんの笑顔がとても晴れやかで印象的な写真になりました。
まさしく自分史上最高の写真が撮れた瞬間でした。
笑顔の余韻が冷めきらぬうちに仕上がった写真を見ていただきます。
笑い過ぎて息が切れ切れに笑いつかれた様子のご両親。
「みんなすごい笑顔。もちろん購入させていただきます!」
自分の笑顔や頑張りがお客さまの笑顔になる。
カメラマン冥利に尽きるとはまさにこの事です。
自分が100%の力を出せた?
お客さまに自分の100%の力を出させてもらった?
恐らくどちらもだと思います。自身の想いがお客さまに伝わり、お客さまが共鳴してくれた結果、最高の写真を撮ることができました。
お客さまとの一期一会の出会いを楽しむ中で生まれた「自分史上最高の写真」。ある意味、奇跡の出会いなのかもしれません。
素敵な出会いと自身を成長させてもらえる機会を大切にしながら、これからも「ずっと心に残り続ける想い出」をたくさん創っていきたいです。