【D2C】香らずに、自分にあった香りを選ぶ新時代
初めて見た時、LIONの商品とは思わなかった。
ライオンさんのクリエイティブを担当させて頂いたことがあったが、デザインのトンマナが大きく異なる。
他のライオン製品とは一線を画した、シンプル、ナチュラル、モノトーン。インテリアに馴染むデザインは、ライオンのD2C(ダイレクト・ツー・コンシューマー)ブランド「by me(バイ ミー)」だ。
コンセプトは「ちょっとしたときめきのある特別な1日に。わたしの知らない、わたしの香りに出会える。好きな香りをつくろう、好きな香りとくらそう。」
お好みの香りのエッセンスと混ぜることで、好きな香りの柔軟剤、好きな香りのファブリックスプレー、好きな香りのリフレッシュミストが作れるという。
まず感じたこと。それは、香りをECサイトで選ぶことの難しさだった。何気なく買い物しているけれど、香りを選ぶ時って、店頭で1つ1つ手にとって確かめて気分に合うものを選ぶのが一般的な買い方。
スウィートオレンジ、バニラ、サンダルウッドなど、文字だけで見ると、視覚だけではイメージしにくい気もしてくる。
PCの匂いを嗅ごうとしても、PCから匂いが漂うわけがない!
そこでせっかくなので「by me AI診断」を利用して、「Select Blend(セレクトブレンド)」シリーズの商品を購入してみることにした。
複数の設問に答えていくと、自分にあった香りを提案してくれるというこのAI。この設問がなかなか面白い。
12の質問に答え「診断」ボタンを押すと…
AIが診断してくれた3つの香り。
香り製品をECで買うのは抵抗ありましたが、AI診断機能により、新しい香りの購入体験をすることができました!
「消費者に、自社サイトでしかできない新たな購入体験を提供できること」は「D2Cサイトとして素晴らしい価値創造」だと感じます!
こうした視覚化の工夫で、「嗅がずに香りを購入する障壁」が軽減されますよね!
購入してみました♫ さて「わたしの気分にあった香り」「イメージ通りの香り」が届くか楽しみです。
D2Cサイトは、単に企業にとって利益が高いだけでなく、顧客体験価値(CX)の創造の場でもあります。リアルな顧客接点であるD2Cサイトで、顧客と至近距離でここでしかできない体験を生み出すことが、ブランドのファンをつくる。
また、話題になる商品をD2Cサイトで販売することは、広告費をかけないマーケティングにも繋がります。例えば、日清のD2Cサイトでは、「売り上げよりも話題性を。エッジの効いた企画でブランディングを重視。」とも言われています。
LIONの「LIONらしくない企業ロゴのないデザイン」「香りを嗅がずに香りを選ぶ」「自分だけのオリジナルな香りを選べる」というあらゆる面で新体験を提供する「by me」というブランドは、チャレンジングなD2Cサイトならではの企画なのかもしれません。
店頭ツールを制作していた時、「香り見本」と呼ばれる店頭ツールをよく納品していました。ドラッグストアやホームセンターの店頭にある柔軟剤・ファブリック製品売り場では、お客様に製品を選んでもらう時に欠かせないツールです。
そんな香り見本もなしに、オンラインで香りを購入する新時代がきた。そしてどんな香りが届くかワクワクしながら待つ時間。新たな購入体験をさせてくれたLIONの裏ブランド「by me」から今後も目が離せません。