我らの推しが長い間探して見付けてくれたANSER。

「えー!なんでもう泣いてんの!?」

そうやってヒソヒソ言うわたしの友達も、笑いながら泣いてたのはちゃんと知っていた。

暗転していても会場の湿度でわかる。泣くのにはまだ早い。カウントダウンか始まり、これから幕が降りる。
なのに、早くもうれしい涙を抑えることが出来ずにいた。


たったの2年が、20年ほどに感じてしまうほど久しぶりのライブの幕開け。わたしはこの先、あの日の感動を忘れないと思う。



未知のウィルスと遭遇したばかりのわたしたちは、まだ戦い方を知らずにいた。
エンタメ業界も続々とライブの中止を決定し、世界的に大きな打撃を受けることになる。

笑い、演劇、そして音楽。これらは、わたしたちの生活には欠かせないものであったのに。

失ったものを指折り数え、両手だけでは足りなくて足の指まで数えて。
それでも足りなくなってしまうほどの多くのものを失ったのかと、もがき苦しんだ日もある。

明けない夜も、やまない雨もあるのかもしれないと枕を濡らし悪夢にもうなされた。

そんな暇があるなら新しい生活様式の中で何かを見つけよう…そう気がつくまでにも結構時間がかかってしまった。

悲しいや苦しい感情に上書くように、楽しいやうれしいの上塗りをしようと思ったのだった。

エンタメは、ネットを通じて家までやってくる時代になった。
オンラインライブも主流となる。

離れていてもここで繋がっている、と言う推しの姿に勇気をもらい、必ず元気でいてまた会いに行くという目標を立てていた。

約2年の時を経て、いい意味でのウィズコロナが少しずつ根付いてきた時

生であのステージを鑑賞できる機会がわたしにもやってきたのだった。

アーティストも、家族や友人など近くにいる人も守りたいからこそ大勢のファンの気持ちがひとつになるライブ。

モニターにドアップで登場すれば、黄色い声のひとつも出したくなるのだけれどそこはぐっと我慢。

歓声はなく、拍手やペンライトでのコールアンドレスポンスをしている。

わたしは、会場全体が見渡せるスタンドの高くて遠いところから見ていた。
ライトの光は、曲によっては青い海が波をたてたり、またある時は青空に見えたり。
これは月を照らすStarlightかと星空を連想することも出来た。

ペンライトを振る側にも感情がこもり、おだやかに彼を包み込むようだった。

それに答えてくれているような優しい伸びる歌声が、ど真ん中に直球で届く。

これぞ新しいヲタクの活動様式なんだと確信する。

不可能を可能にした。コロナ禍でライブ参戦は無理だと思っていたけれど、運営の方々の努力やひとりひとりの意識改革によって、こんなにもステキに形を変えて戻ってきた。


アーティストとファンという関係を越え、人と人とが向き合い想い合う時間も今となっては悪い時間ではなかったと思えるようになる。

僕の見つけた答えはファンの皆さんです。宝物です。

という言葉がわたしたちの一生の宝となったライブ。


夜が明け、雨が上がる。
雨のあとには虹が出る。

空を見れば、いつだってあの日のことを思い出すことができる。


色々あったこんな時代を生きるからこそ、結ばれた奇跡のお話。

どんな時も、清く正しくあなたを推し続けることをここに誓います。

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星野うみ。
優しくそっと背中を押していただけたら、歩んできた道がムダじゃなかったことを再確認できます。頂いたサポートは、文字にして大切にnoteの中に綴ってゆきたいと思っております。

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