【はじめてのスピノザ】個別具体的に考え、実験すること

 あらゆる物事が複雑化し、また集団としての価値観や道徳がめまぐるしく変化する現代社会において、長いものに巻かれるだけの姿勢では、多くのことを見落としてしまう可能性がある。

 そこで、手に取った本が本書である。私が重要だと思った箇所を、何回かに分けてまとめていきたい。

要点
・すべての個体はそれぞれに完全である
・善悪は物事の組み合わせで決まる
・個別具体的に考え、実験する倫理観

はじめてのスピノザ 自由へのエチカ (講談社現代新書) | 國分功一郎 | 哲学・思想 | Kindleストア | Amazon


要点

■すべての個体はそれぞれに完全である
 一般的観念は、これまで何度も見たものに基づいて作られた偏見である。よって、すべての存在している個体は、それぞれがそれ自体の完全性を備えている。
 よって、自然界には完全/不完全の区別がないため、それ自体が善い/悪いものもない。

■善悪は物事の組み合わせで決まる
 物事の善悪は組み合わせで決まる。例えば、音楽は善くも悪くもないが、聴く状態によって善くも悪くもなる。
 よって、自らにとって善いものとは、自らとうまく組み合わさって自らの「活動能力を増大」させるとなる。

■個別具体的に考え、実験する倫理観
 自らの活動能力を増大させる組み合わせは、個別具体的に考える必要があり、それには実験を繰り返すことを伴う。

学び ~個別に考える~

 スピノザの倫理は、組み合わせで考えるので、個々人の差を考慮する必要がある。自分にとって善いことは、必ずしも相手にとって善いとは限らないからだ。したがって、自分のことでも相手のことでも、一般的観念で決めつけずに、会話や観察によって常に思考する必要があり、これは訓練でのみ上達する。本書の後に記載があるが、「主体が常にレベルアップしなければ、真理に到達できない」ということだ。

 スピノザの倫理学はとても自らに厳しい倫理学と感じるため、あくまで自らに向けて適用しようと思う。


※本を読んで印象に残った箇所、日頃感じたことなどをメモしておく目的で作成しています。

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